令和3年6月18日 多核種除去設備等処理水の海洋放出決定に反対する意見書
石巻市議会にて提出された意見書の内容について掲載します。
多核種除去設備等処理水の海洋放出決定に反対する意見書
政府は、東京電力・福島第一原子力発電所で増え続ける多核種除去設備等処理水(以下「ALPS処理水」という。)について、海洋放出による処分を行うという方針を、去る、4月13日に決定しました。約2年後をめどに放出を始められるよう、東京電力に設備の設置などを求めていくというものであります。
平成23年3月11日の東日本大震災の発生から10年が経過し、本市では、国内外の多くの皆様から物心両面にわたるご支援に加え、国の特例的な財政支援や各種の規制緩和など被災地に寄り添った政策を講じて頂きながら、復旧・復興に市民一丸となって取り組み、復興の完遂まであと一歩のところまで来ております。
本市の基幹産業の一つである水産業においても、関係者の懸命な努力により、漁業生産額や加工品出荷額も震災前の水準までほぼ回復するなど、前途に明るい兆しが見えてはいるものの、東京電力・福島第一原子力発電所の事故から10年が経過した今でも、ホヤ・マツタケなど日本からの農水産物の輸入を規制している国や地域があります。
このような状況下にあって、ALPS処理水を海洋放出することになれば、新たな風評被害が発生することは必至であり、震災によるあらゆる苦難を乗り越えてきた水産業者の努力が水泡に帰しかねません。一説によれば、処理水の海洋放出作業の終了する期間は、40年前後といわれております。海に境界はなく福島県のみならず隣接する本県を始め、東北や北関東沿岸部を含む広範囲にその影響が及びます。
関係者の理解が得られないまま海洋放出が実施された場合、特に最大被災地から立ち直りつつある本市の水産業にとって、深刻な影響が発生することが危惧され、水産関係者の不安は計り知れないものがあります。
ALPS処理水に対する理解が十分でない現状において、更には風評被害に対する具体的な対応策が示されていない状況下にあっては、海洋放出は認められず、断固反対するものであります。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
令和3年6月18日
内閣総理大臣 殿
農林水産大臣 殿
経済産業大臣 殿
環境大臣 殿
復興大臣 殿
原子力規制委員会委員長 殿
宮城県知事 殿
宮城県石巻市議会
議長 大森 秀一
このページへの問い合わせ
部署名:石巻市議会事務局
電話番号:0225-95-5080(直通)