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所信表明

更新日:2025年6月9日

令和7年石巻市議会第2回定例会(令和7年6月10日)

本日ここに、令和7年石巻市議会第2回定例会の開会に当たり、2期目の市政運営について、市民の皆様、そして議員各位に対し、私の所信を申し述べる機会をいただいたことは、誠に光栄であり、心より御礼申し上げます。

市民の皆様から、再び市政を託していただいた重責に、身の引き締まる思いを抱くとともに、私の愛する「ふるさと石巻」を、持続可能な未来へと創生する強い決意を新たにしているところであります。

市長就任1期目は、新型コロナウイルスによるパンデミックとロシアによるウクライナへの軍事侵攻という世界的な危機が重なり、かつてない制約下における市政運営は大きな試練となりました。そうした中にあっても、東日本大震災からの復旧・復興を最優先に、復興財源を活用したハード事業の総仕上げに全力で取り組むとともに、心の復興や地域コミュニティの再構築といったソフト事業にも意を用いてまいりました。

これまで、本市の最重要課題として様々な対策を講じてきた「人口減少対策」でありますが、基礎自治体としての限界もあり、いまだ十分な成果が得られていないのが現状であります。

国が地方創生の本格的な取組を始めてからの10年間を総括し、次の10年を見据えて起動する「地方創生2.0」の基本的な考え方を踏まえ、本市が抱える諸課題に向き合ってまいります。その結果、今後、人口減少のペースが緩やかになったとしても、当面は人口・生産年齢人口が減少し続ける現実を正面から受け止め、その規模が縮小しても経済成長を遂げ、地域社会が機能し続けるための適応策を講じてまいります。

今後は、市議会や経済界をはじめとするオール市民で積み重ねてきた歩みを礎に、激的に変化している社会情勢や根強い地域課題に柔軟かつ的確に対応しながら、市政の革新的な発展と飛躍を目指す全く新たな4年間のスタートとして、全身全霊で取り組んでまいります。

私たちは今、100年・200年に一度ともいえる産業革命の最中にあって、産業・経済、そして社会基盤の大転換期に直面しております。時代の大きなうねりを冷静に見極めながら、その要請に的確に応え、未来への道筋を示すことが求められる時期に立たされています。

加えて、アメリカによる関税引上げの動きは、自由貿易体制といった戦後システムの大きな試練として世界全体を不確実性の渦に巻き込み、我が国においても、貿易の縮小や為替変動など様々な影響が懸念される状況です。

デジタル技術の進展は予測を超えて加速しており、産業はもとより私たちの働き方や暮らし、さらには行政サービスの在り方までも大きく変えつつあります。生成AIの活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、高度化・複雑化する行政課題に対応するための核心的な施策であり、中長期的な視点に立った着実な取組が求められております。

さらに、地球温暖化に起因する環境への影響はより深刻さを増しており、持続可能な社会の実現への取組は、今を生きる私たちに課せられた重大な使命です。健全な地球環境を次の世代へと引き継いでいくためには、地域においても一体となってGX(グリーントランスフォーメーション)に取り組む姿勢が不可欠であります。

そして、我が国全体の構造的課題である人口減少は、基礎自治体の存続基盤を揺るがす深刻な問題です。近年、これまでの人口減少問題や地方創生への取組を省み、新たな国・地方の役割分担の見直しが必要と言われておりますが、依然として東京圏への一極集中の流れが続いており、地方にとって、とりわけ生産年齢人口の減少は、地域の担い手不足をはじめ、地域経済やコミュニティの維持にも大きな影響を及ぼしています。

こうした時代の潮流、過去に例のない不確実性の中で、将来を見据えた地方創生・まちづくりと持続可能な行財政運営の実現に取り組むこれからの4年間は、石巻市自体の持続可能性の礎を築く全く新しい局面での市政運営となります。私自身その責任の重さを考えるとき、押し潰されそうな重圧を感じておりますが、一方その歴史に耐え得る使命感に、初当選・初登庁時に立ち戻り、武者震いも感じております。

 それでは、総合計画に掲げる六つのまちづくりの基本目標に沿って、その主な取組について述べさせていただきます。

一つ目は、「住民同士の絆・支え合いで安全安心に暮らせるまち」についてであります。

住民の日常的なコミュニケーションを促進し、それぞれが信頼できる結びつきを形成しながら、住民同士の支え合いを軸とした防災機能強化や持続可能な公共交通の構築など、安全安心に暮らせるまちを目指してまいります。
多様化・複雑化する地域課題に対応し、住民主体の活力ある地域づくりを目指して、市内16地区全てに住民自治組織の設立を目標に、「ずっと住みたい地域づくり支援事業」に取り組み、これまで14地区において設立が実現したことから、残る2地区の早期設立に向けて、引き続き支援してまいります。

人口減少が進行する中にあっても、地域に活力をもたらし、産業を担う多彩な人材の確保と育成は、ますます重要となっております。本市においては外国人住民が年々増加しており、漁業や建設業、介護などの幅広い分野において、技能実習生や特定技能者をはじめとする外国人住民の方々が、本市の産業を支える上で欠かせない担い手として従事されています。地域の担い手不足やコミュニティの維持が課題となる中、外国人を含む多様な人材が共に暮らし、働く環境づくりは、地域の持続的な発展には欠かせませんので、日本人と外国人の双方が互いに尊重し合い、安心して働き、学び、暮らすことのできる「多文化共生のまちづくり」に取り組んでまいります。
人口減少は確実に進行していく深刻な問題であり、従来の移住定住推進事業を継続しつつも、全ての地域で定住人口の増加を見込むことは、現実的に困難と言わざるを得ません。こうした中で、これからは主な生活拠点とは別に、特定の地域にも生活拠点を持つ二地域居住など、多様なライフスタイルに着目し、地方への人の流れを創出・拡大していくことが期待されます。本市におきましても、二地域居住者の負担軽減や生活環境の整備といった中長期的な課題の解決に向けて、官民が連携した先導的モデル事業に取り組み、都市と地方に拠点を持ち、自由に行き来して暮らす新たな暮らし方として、「二地域居住の推進」を図ってまいります。

二つ目は、「都市と自然が調和し快適とやすらぎが生まれるまち」についてであります。

道路や下水道などの生活基盤を充実させるとともに、台風や津波などの災害による被害を最小限に抑える都市の形成や地球環境と本市の環境のつながりを意識した海、山、川などの自然環境の保全により、都市機能と自然環境が調和した、快適とやすらぎが生まれるまちを目指してまいります。
こうした持続可能な社会の実現に向けて、「環境基本計画」の策定・実施を着実に進めるとともに、市民・事業者と行政とが連携し、2050年温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ・石巻」の実現に向けた取組を進めてまいります。

また、これまでの粘り強い要望活動によって、国際拠点港湾「仙台塩釜港石巻港区」における耐震強化岸壁の整備が進められているところです。引き続き、三陸沿岸道路や石巻新庄道路などの陸路と海路の結節点となる石巻港を核とした物流拠点都市の形成に取り組むとともに、防災拠点としての更なる機能強化に向けて、官民が一体となった要望活動も継続してまいります。

三つ目は、「共に支え合い誰もが生きがいを持ち自分らしく健康に暮らせるまち」についてであります。

医療・介護の連携や人材確保・育成、健康増進を推進するとともに、子ども、高齢者、障害者など誰もが生きがいと役割を持ち、支え合う地域共生社会の実現に向け、地域包括ケアを推進することで、全ての人々が自分らしく健康に暮らせるまちを目指してまいります。

急速に進展する少子高齢化や労働力不足が懸念される中にあっても、将来にわたって地域医療、介護、福祉等のサービス水準を維持していく必要があります。そのためには、医療、介護、福祉等にかかる費用や人材を地域全体で確保、管理するとともに、各施設が役割分担を図りながら、切れ目のない支援体制を構築していくことが求められます。こうした取組を通じて、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、多職種間における顔の見える関係性を土台とした「ヘルスケアネット」の構築に取り組み、医療、介護、福祉等の連携を一層強化してまいります。

また、地域の宝であり、市の宝である子どもたちが、健やかで幸せに成長できる「こどもまんなか社会」を実現するため、「第3期石巻市こども・若者未来プラン」を着実に実行し、子どもや子育て当事者等の声にしっかりと耳を傾けながら、子どもの権利の普及啓発や安心して過ごせる居場所の充実に積極的に取り組んでまいります。
加えて、本市に住み続けたいと思えるシビックプライドの醸成を図り、市民の皆様が身体的、精神的、社会的に、将来にわたって幸福な状態で生活を送ることができる社会を目指してまいります。

四つ目は、「多彩な人材が活躍し誇りと活気にあふれるまち」についてであります。

農林水産業や製造業、観光業など、多様な産業構造と港湾や漁港などの産業基盤が整った本市の特性を活かした産業の振興をはじめ、多様なニーズに対応できる就労環境の整備、地域企業の人材育成の支援により、多彩な人材が活躍できる、誇りと活気にあふれるまちを目指してまいります。
本市が有する豊かで魅力あふれる地域資源や産業基盤を活かした「稼ぐ力の強化・創出」は、あらゆる施策の推進力として欠かせない取組であります。
少子高齢化に伴う人口減少下において、本市が目指す「稼ぐ力の強化・創出」には、質の高い労働生産性の創出・醸成が期待されますので、その礎となる児童生徒の教育水準の向上にも努めてまいります。
地球温暖化の影響に伴う海水温の上昇などによる海洋環境の変化を踏まえ、持続可能な水産業の構築に向けた新たな形として、陸上養殖への期待が高まっております。気候変動の影響を受けることなく生育環境を管理できることから、安定した原魚確保が見込まれるため、本市におきましても、陸上養殖の普及を促進してまいります。
また、食や環境への関心の高まりを背景に、世界的に有機食品の売上が増加を続け、国内市場も拡大傾向にある中、オーガニック農法は、農業を持続的に発展させるための有効な手段の一つとなりますことから、有機農業の普及、啓発に取り組むとともに、「有機農業実施計画」を策定し、「石巻市オーガニックビレッジ宣言」を見据えた取組も進めてまいります。

五つ目は、「豊かな心を育みいのちを未来につなぐまち」についてであります。

子どもたちの学力向上や豊かな心の育成に必要な教育環境を整えるとともに、生涯学習の充実や社会活動参画への促進と、伝統文化を継承する人材育成を推進し、豊かな心を育み、いのちを未来につなぐまちを目指してまいります。
グローバル化の進展に加え、生成AIをはじめとするデジタル技術進展の加速、さらには価値観やライフスタイルの多様化も相まって、私たちの社会はかつてないほど複雑化を深めており、子どもたちが活躍する2040年代の社会を予測することは困難な様相を呈しております。

こうした変化をも踏まえ、昨年12月に文部科学大臣が中央教育審議会に検討を諮問した2030年代の教育の在り方も注視しつつ、未来を生きる子どもたちにとって、どのような学びが必要であるのかを考えて実践する「将来世代の育成」は、「国家百年の計」や「米百俵の精神」を持ち出すまでもなく、施政の最重要課題であります。

子どもたちがこれからの社会を主体的に生き抜いていくために、一人一人が自己の可能性を発揮し、他者との共生を通じて自己肯定感を高められるような取組を推進してまいります。
 
また、本市の未来を担う全ての幼児、児童生徒が、豊かな心情や学ぼうとする意欲、健全な生活態度といった「学びの土台」をしっかりと身に付けられるよう、それぞれの段階に応じた考える力、考え方の修得、充実に全力で取り組んでまいります。

生成AIをはじめとするデジタル技術が加速的に進化する現代において、その技術を適切に習得し、リスクを抑制するためにも、リベラルアーツ(一般教養)の習得はますます重要となりますことから、引き続き教育環境の充実に努め、将来を担う皆さんが、その基礎をしっかりと修められるよう取り組んでまいります。

六つ目は、「市民の声が共鳴し市民と行政が共に創るまち」についてであります。

市民が積極的にまちづくりに参画できるように、市民の声を行政運営に反映させる仕組みを構築し、行財政改革や情報発信を推進することで、市民の声が共鳴し、市民と行政が共に創るまちを目指してまいります。
これまで、市民の皆様が行政に参加する機会を積極的に設けるとともに、常に現場主義を貫き、皆様の声一つ一つに真摯に向き合ってまいりました。今後は、動く市長室等を通じて各地域の課題やニーズを的確に把握し、その解決に向けて取り組むとともに、地域の将来像を皆様と一緒に思い描きながら、何が大切かを一つ一つ確かめていくような気持ちで対話を重ねてまいります。

また、生成AIの活用やDXの推進が急務となっていることから、従来から取り組んでいる行政手続における電子申請の更なる拡充に向けた取組に加え、窓口における手続の簡略化やオンラインサービスに不安やためらいを感じる方の負担軽減を図るとともに、デジタル入力による業務効率化を進めるため、「書かない」「待たない」「迷わない」窓口の導入を目指してまいります。
一方、本市が直面する厳しい財政状況や社会環境の変化に対応していくためには、本市が持つ経営資源をこれまで以上に集中的かつ効率的に活用していくことが必要不可欠です。令和7年度を終期とする「石巻市行財政改革推進プラン2025(ニーゼロニーゴ)」に掲げた目標の達成に向けて、引き続き全庁一丸となって取り組むとともに、その検証・分析結果について、令和8年度以降を見据えた次期プラン「2030(ニーゼロサンゼロ)」に反映し、長期的な視点での行政目標を明確にし、社会情勢や市民ニーズの変化を的確に捉えながら、持続可能な財政基盤の構築と質の高い公共サービスの提供を目指してまいります。

政策を着実に実現、推進していくためには、財源の確保も重要でありますことから、ふるさと納税の収入増加に向けて、あらゆる機会を捉え、自ら先頭に立って積極的にPRしてまいりました。今後もデータに基づく戦略的な対応に加え、魅力ある返礼品の開発や安定した在庫の確保に向けた事業者との連携を強化し、毎年度5億円の増額を図ることで、令和10年度には寄附金額40億円の達成を目指してまいります。

以上、今後4年間に臨む基本姿勢について述べさせていただきましたが、今日、政策評価は、本市の政策の「現在地」を正しく知り、その現在地から「目的地」に向けたナビゲーション機能を果たす極めて重要な政策ツールであります。先行きが不透明な状況下であればこそ、政策評価の機能を積極的に活用し、前例のない課題にも果敢に挑戦し、政策を前に進める行政を実現してまいります。
これまでの事務事業評価の結果や取組実績の比較検証を踏まえた更なる改善に努め、「第2次総合計画基本計画」の各種指標の評価・検証を引き続き実施し、PDCAサイクルの確立を着実に進めてまいります。

さらに、現在策定を進めている令和8年度を起点とする後期基本計画において、市民満足度調査で得られた結果などを踏まえた重点改善分野への取組を強化する施策の立案に、私の思いをしっかりと反映させるとともに、具体的な実行手法につきましては、総合計画実施計画に掲載し、断固たるリーダーシップをもって、着実に推進してまいります。

また、施策の進行管理においては、「施策が狙った成果によって、どのような効果が生み出されたか」という視点が重要です。そのため、施策の狙いであるアウトカム指標に着目し、ロジックモデルを活用することにより、施策目標に至るまでのプロセスを図式化し、市民の皆様に分かりやすく説明することで信頼の醸成につなげてまいります。

併せて、達成すべき最終的な目標を明確にし、その成果に至るまでの活動を的確に評価できるシステムを構築し、可視化することで、予算執行に基づく成果と照らし合わせながら施策を検証するとともに、必要かつ適切な予算配分によって施策の効果を向上させ、市民ニーズを的確に捉えた施策のブラッシュアップを図ってまいります。

一方、社会保障経費の増大や復興事業に伴い新たに整備された公共施設の維持管理経費の増加、さらには老朽化対策への対応などにより、本市の財政状況は一層厳しさを増しております。こうした状況を踏まえ、各種施策を着実に推進していくためには、安定した財源の確保と賢い支出が極めて重要であり、健全で持続可能な財政基盤を確立することは、市長としての重大な責務であると強く認識しております。

これからの市政運営に当たっては、「やりたいことを足し算していくだけでなく、時には、やめるという引き算の視点を持つ」ことも求められます。
限られた財源をいかに有効に活用するかを見極めるためにも、各種事務事業や施策については、その必要性、有効性、効率性の三つの視点に加え、EBPM(証拠に基づく立案)の考え方を取り入れながら、その効果を丁寧に検証し、不断の見直しを進めてまいります。

目まぐるしく変化する時代の潮流を的確に捉えつつ、引き続き市民の皆様との対話を通じて、地域の課題や多様化するニーズを丁寧に把握し、それらを政策に反映していくことが、これまで以上に重要となります。
まだ生まれていない世代を含む将来世代の視点に立って、真に必要なことは何か、議会の皆様や市民の皆様にも一連の政策評価を活用いただき、丁寧な対話・議論を重ねながら、皆様と一緒に石巻の未来を創ってまいります。
引き続き、各地域が持つ歴史や風土、文化など、多様な地域資源を活かし、地域間の一体感を育み、住民同士の絆を深め、それぞれの地域が有するポテンシャルと魅力を地域の皆様のプライドに昇華、醸成していただく中で、市民一人ひとりが幸せと満足を実感できる「住むことに誇りが持てるまち、石巻」の実現に向けて、全身全霊で取り組んでまいります。

 結びに、市民の皆様並びに議員各位の一層の御理解と御支援を賜りますよう衷心よりお願い申し上げ、私の市政運営に対する所信表明とさせていただきます。

 

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部署名:復興企画部 政策企画課
電話番号:0225-95-1111

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