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令和8年度施政方針

更新日:2026年2月10日

はじめに

令和8年「石巻市議会第1回定例会」に「令和8年度各種会計予算並びに諸案件」を提案するに当たり、市政運営に取り組む所信の一端と施策の大綱について御説明申し上げます。

世界に目を向けますと、紛争の長期化や地政学的緊張の深刻化により、エネルギー価格の高止まりや穀物をはじめとする食料の価格変動、さらには安定供給への懸念が深刻化するとともに、供給網の再構築を迫られるなど、世界経済を取り巻く不確実性は、これまで以上に高まっております。

一方、国内においては、人口減少・少子高齢化という構造的課題が一層深刻さを増し、労働力の偏在や社会保障費の増大が顕在化しております。そうした中、物価上昇が生活者や事業者に重くのしかかり、賃金と物価の好循環の実現が急務とされるなど、地域経済の持続性が問われるとともに、生活格差の固定化や社会的孤立を防ぐ、包摂的な社会の実現が強く求められております。

こうした状況を踏まえますと、生成AIをはじめとするデジタル技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、人手不足の解消にとどまらず、新たな付加価値の創出を図る上で、極めて重要な要素であります。これらの技術を的確に使いこなす人材の育成に努めるとともに、行財政運営の一層の高度化を進めていかなければなりません。

さらに、近年、頻発・激甚化する気候変動に伴う異常気象は、災害リスクの増大にとどまらず、熱中症をはじめとする住民の健康や食料安全保障など、日々の暮らしの幅広い分野に大きな影響を及ぼしております。このため、脱炭素化と地域の持続的成長を両立させるGX(グリーントランスフォーメーション)の推進が、これまで以上に求められております。

こうした中、本市では、令和8年度を起点とする後期の総合計画基本計画を策定いたしました。本計画においては、前期基本計画の評価結果や市民満足度調査結果の分析を踏まえ、「人口減少の抑制」、「教育環境の充実」、「稼ぐ地域づくり」、「安心して住み・働ける環境整備」の四つを重要施策の柱として位置付けております。また、課題を体系的に整理し、解決すべきポイントを明確にしたロジックモデルを活用することで、施策の目指す姿を明確にし、その成果へとつながる取組を適切に評価できる仕組みを構築いたしました。

政策や施策がどのように策定、実行され、どのような成果を上げているのかにつきましては、EBPM(合理的な根拠に基づく立案とその効果検証)の考え方に基づき、分かりやすい形での可視化に努めてまいります。まだ生まれていない世代も含む将来世代の視点に立ち、真に必要なことは何か、議会や市民の皆様には、この評価の仕組みを最大限活用いただきながら、石巻の未来について対話や議論を深めてまいりたいと考えております。

さて、令和7年度は、石巻市新市施行から20周年を迎える節目の年となりました。記念式典では、各地域が紡いできた歴史や風土、文化を改めて振り返るとともに、本市が有する多様な魅力やポテンシャルを内外に発信し、持続可能な地域を将来世代へ引き継いでいく決意を新たにする一年となりました。

一方で、昨夏の本市では、連続猛暑日が観測史上最長を記録するとともに、少雨による渇水への警戒が強まりました。さらに、クマの目撃情報が相次ぎ、地域に不安が広がるなど、自然環境の変化が市民生活に及ぼす影響の大きさを実感する年でもありました。

こうした中、産業・経済の活性化をはじめ、地域間連携による観光ネットワークの形成や物流の効率化に資する国道108号石巻河南道路が本格着工されました。また、国道398号沿線地域の発展振興、災害時の緊急輸送、避難経路の確保や市街地の渋滞緩和に資する石巻バイパス(沢田工区)も着実に事業進捗が図られており、今後も関係自治体と連携し、国・県への働きかけを継続するとともに、三陸沿岸道路をはじめとする陸路と海路の結節点である石巻港を核に、物流拠点都市の形成に取り組んでまいります。

これらの政策を着実に推進・実現していくためには、財源の確保も重要であります。その一助として、ふるさと納税による収入の増加を図るため、自ら先頭に立って、あらゆる機会を捉え積極的なPRに取り組んでまいりました。併せて、企業訪問や事業者向け研修会の実施をはじめ、魅力ある返礼品の掘り起こし、寄附者の多様なニーズへの対応、さらには各種ポータルサイトを活用した効果的な広告戦略など、幅広い施策に取り組んだ結果、昨年12月末現在において、寄附件数は約14万7千件、寄附金額は約23億1千万円に達し、寄附金額は前年度同期比で約1.3倍となるなど、着実に成果を上げることができました。

本市の魅力をより多くの方々に知っていただくとともに、寄附金については、定住支援や情報教育環境整備などに充当し、併せて返礼品を通じた地域経済への波及効果を高めるなど、持続可能なまちづくりにつながる取組を進めることができました。

さて、私たちは今、100年・200年に一度とも言われる産業革命の渦中にあって、産業や経済、さらには社会基盤が大きく転換する局面を迎えております。こうした時代の大きなうねりを冷静に見極め、その要請に的確に応えながら、未来への確かな道筋を示していくことが求められております。

国際社会においては、ガザ紛争やウクライナ侵攻はいまだ終結の見通しが立たない中、ベネズエラ情勢を受け、アメリカによる軍事作戦が報じられるなど、事態の急変も相次ぎ、世界情勢は一層不透明感を増しております。加えて、経済格差の拡大やインターネットを通じた情報・人の流れの加速を背景に進んできたグローバル化に対する反発が各国で広がり、ポピュリズムや自国第一主義という形で顕在化しています。こうした動きの中で、民主主義や自由貿易体制は揺らぎ、世界は国際協調から自国中心の内向きな姿勢へと転じつつあります。

このような状況の下、我が国は、少子高齢化に伴う人口減少をはじめ、国際情勢の不安定化、エネルギーや食料を巡るリスクの高まりなど、複合的かつ構造的な課題に直面しております。国は、生産性の向上や供給構造の強化を通じて経済の成長基盤を確かなものとし、「強い経済の実現」を図るため、責任ある積極財政の下、物価高対策や将来の成長につながる分野への投資、さらには危機に備えるための戦略的な投資を進め、力強く持続的な経済成長を目指す方針を示しており、地域経済を後押しする政策運営を期待しているところであります。

こうした中、本市の最重要課題である人口減少は、地域の活力や行政サービスの持続性に直結する極めて深刻な問題であり、人口、特に生産年齢人口の減少が続くという現実を踏まえれば、人口という「量」を成果指標とする考え方から、市民生活の「質」を重視する考え方へと、政策の軸足を移していかなければなりません。

これまでの出会いから結婚、妊娠、出産、子育てまでの切れ目のない支援をはじめ、移住・定住などの人口減少抑制施策を磨き上げるとともに、将来を担う人材の教育環境の充実を図り、地域の中で学び、働き、暮らし続けたいと思えるまちづくりを進めてまいります。

併せて、地域に根ざす人材、文化、自然といった特色ある資源を再構築し、新たな価値を創出する稼ぐ地域づくりを推進するとともに、教育、医療、住環境など生活の質を高め、人口減少が進む中にあっても、安心して住み・働ける環境整備に取り組んでまいります。

一方で、これらの取組を着実に進めていくためには、安定した財政基盤の確立が不可欠です。政策・施策・事務事業の体系をロジックモデルにより明確にし、PDCAサイクルに基づく継続的かつ効果的な検証・見直しを行うことで、事業の選択と集中に不断に取り組み、限られた資源で最大の成果を生み出す成果志向重視の予算・事業編成を強化してまいります。

目まぐるしく変化する時代の潮流を的確に捉え、施策の立案やブラッシュアップを進めていくためには、行政自らが変化に対応できる体制を整えるとともに、スピード感ある対応が求められます。このため、複数の職員が参画し、EBPMに基づいて施策の方向性や核となるアイデアについて集中的に議論するワークスタイルを、業務の入口として確立してまいります。

重点施策

それでは、令和8年度に取り組む六つの重点施策について、述べさせていただきます。

1.住民同士の絆・支え合いで安全安心に暮らせるまち

一つ目は、「住民同士の絆・支え合いで安全安心に暮らせるまち」についてであります。

地域のつながりの大切さを改めて実感する今日、住民が地域で安心して暮らし続けるためには、日常的なコミュニケーションを促進し、互いに信頼し支え合う結びつきを強めていくことが重要です。

また、防災機能の充実や持続可能な公共交通の構築など、安全安心に暮らせるまちづくりに向け、次の各施策に取り組んでまいります。

まず、「共生型社会に向けた地域コミュニティ活動活性化の充実」に向けた取組といたしましては、多様化・複雑化する地域課題に対応した住民主体の活力ある地域づくりを目指し、「ずっと住みたい地域づくり支援事業」として、住民自治組織の設立に取り組んできた結果、昨年8月、市内16地区全てにおいて住民自治組織が設立されました。今後も、住民自らが地域の特色や住民の力を生かしながら、地域課題の解決に向けた「自助・共助」を基本とした主体的な活動が展開できるよう、引き続き支援してまいります。

また、「多文化共生のまちづくり」に向け、外国人相談窓口を開設し、各種手続や生活・就労に関する幅広い相談に対応するとともに、日本語や日本文化を学ぶ機会を提供するなど、本市在住の外国人の皆さんが安心して暮らせる環境づくりに努め、そうした取組を通じて、それぞれの背景や文化を持つ市民が相互に理解を深め、共に支え合う地域社会の実現を目指してまいります。

次に、「少子高齢化社会に対応する移住・定住の促進」に向けた取組といたしましては、移住を希望される方々に対し、本市の豊かな自然や文化に包まれた暮らしやすさを知っていただくため、「移住促進イベント事業」として、特に首都圏や県内の大学に通う学生の皆さんに対し、本市の魅力を発信するとともに、移住の検討から移住後に生じる様々な不安などを気軽に相談できる窓口を設置するほか、生活の具体的なイメージをつかんでいただける「お試し移住体験事業」などを継続してまいります。

また、主な生活拠点とは別に、特定の地域にも拠点を持つ多様なライフスタイルに着目し、「二地域居住推進事業」として、空き家の活用や本市ならではの体験メニューの提供を通じ、関係人口の拡大による地域活性化も図ってまいります。

併せて、住所地以外の地域に継続的に関わる方々を登録できる「ふるさと住民登録制度」の創設に取り組み、交流・参画の裾野を広げることで、地域の活力向上につなげてまいります。

さらに、「定住促進住宅取得等補助事業」をはじめとする、定住につながる生活基盤の確保に向けた取組を進めるとともに、「地域おこし協力隊事業」により、地域に根ざした人材を確保し、地域課題の解決と持続可能な地域づくりに貢献する人材の育成にも努めてまいります。

次に、「安心して暮らすための地域防災力などの向上」に向けた取組といたしましては、平時からの備えをより確かなものとし、市民一人一人が防災に対する意識を高めていくことが重要であります。そのため、「自助・共助・公助」の役割分担を基本としながら、「防災行政無線更新事業」及び「災害情報発信事業」により、津波避難対策の強化や災害時における防災情報の発信体制の整備に取り組み、地域防災力の一層の向上に努めてまいります。

次に、「誰もが平等に生きるための男女共同参画社会の推進」に向けた取組といたしましては、「第5次石巻市男女共同参画基本計画」を策定し、困難な問題を抱える女性への支援の充実や、性の多様性に対する理解の促進をはじめ、地域や職場、各種団体など、あらゆる場面における男女共同参画の推進に努め、市民一人一人が自分らしく生きることのできる環境づくりを進めてまいります。

併せて、パートナーシップ宣誓制度の導入により、多様な価値観を認め合う社会の実現に取り組んでまいります。

次に、「持続可能な公共交通ネットワーク整備の推進」に向けた取組といたしましては、少子高齢化に伴う人口減少や地域の輸送資源・移動ニーズの変化を踏まえ、公共交通の再構築を進めてまいります。

また、運転免許証返納者の移動に係る負担を軽減するため、実証的に行ってきた路線バスの運賃助成につきましては、その実施結果を踏まえ、住民バス等への拡充を図り、公共交通の利便性の向上及び利用促進を図ってまいります。

次に、「未来につなぐ震災伝承の推進」に向けた取組といたしましては、門脇小学校及び大川小学校の二つの震災遺構を活用し、防災意識の向上に努めるとともに命を守る行動につなげてまいります。

また、震災伝承みやぎコンソーシアムへの参加やいしのまき防災・伝承コミュニティとの連携を深めながら震災伝承施設等を相互にPRするとともに、防災教育旅行の積極的な誘致を図り、震災の記憶と教訓を広く後世に語り継いでまいります。

2.都市と自然が調和し快適とやすらぎが生まれるまち

二つ目は、「都市と自然が調和し快適とやすらぎが生まれるまち」についてであります。

社会情勢が大きく変化する中にあっても、将来にわたり市民の生活と命を守り、誰もが安心して暮らせる持続可能なまちを実現するためには、道路や下水道などの生活基盤の充実はもとより、近年、頻発化・激甚化する自然災害の被害を最小限に抑える都市形成が重要です。

また、人口減少社会を見据えた都市機能と本市が誇る豊かな自然環境が調和した、快適でやすらぎのあるまちづくりに向け、次の各施策に取り組んでまいります。

まず、「豊かな自然環境の保全・生活環境の充実」に向けた取組といたしましては、「石巻市環境基本計画」を策定し、本市が目指す環境の実現に向け、市民・事業者・行政が意識を共有し、それぞれの役割を果たしながら協働する取組を推進することで、持続可能で全ての人が心豊かに暮らせる地域社会の実現を目指してまいります。

併せて、市民・事業者と連携しながら、2050年温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す、「ゼロカーボンシティ・石巻」の実現に向けた取組を進めてまいります。

また、単独処理浄化槽やくみ取り槽から合併処理浄化槽への転換を促進するため、合併処理浄化槽設置に係る補助対象要件の拡充を図り、公共用水域の水質保全にも取り組んでまいります。

次に、「持続可能な社会を目指すごみの減量化と資源循環の推進」に向けた取組といたしましては、本年10月から開始するプラスチック類の再資源化を見据え、収集・処理体制の構築に向けた準備を着実に進めているところであります。今後、家庭から排出されるごみの更なる削減を図るとともに、資源の有効活用を通じてリサイクル率の向上に取り組むなど、循環型社会の実現に努めてまいります。

次に、「安全安心な住環境と都市機能の整備の推進」に向けた取組といたしましては、避難路としての機能が脆弱な寄磯浜前浜地区において、緊急搬送や災害時の円滑な避難を可能とする避難道路の整備を進め、地域住民の安全安心の確保を図るとともに、生活道路としての利便性の向上を図ってまいります。

近年、線状降水帯や集中豪雨の発生が頻発化していることから、「緊急冠水対策事業」として、冠水常襲箇所における被害の軽減・解消に引き続き取り組むほか、「公共下水道事業」により、汚水処理施設及び雨水排水施設の整備を着実に進め、衛生的な生活環境の確保と大雨時における浸水防除に取り組んでまいります。

また、「立地適正化計画」に基づくコンパクトシティの形成につきましても、実効性のある施策の検討を重ね、「コンパクト・プラス・ネットワーク」を基軸としたまちづくりを推進してまいります。

これまでの粘り強い要望活動により、国際拠点港湾「仙台塩釜港石巻港区」における耐震強化岸壁の整備が進められております。定時性・高速性に優れた三陸沿岸道路や石巻新庄道路といった高規格道路の整備・計画検討が進んでいる優位性を活かし、陸路と海路の結節点である石巻港を核とした物流拠点都市の形成を目指すとともに、防災拠点としての港湾機能の更なる強化や石巻新庄道路の早期実現に向け、引き続き官民一体となった要望活動を展開してまいります。

3.共に支え合い誰もが生きがいを持ち自分らしく健康に暮らせるまち

三つ目は、「共に支え合い誰もが生きがいを持ち自分らしく健康に暮らせるまち」についてであります。

全ての市民が健康で安心して暮らすためには、医療・介護の連携強化をはじめ、人材の確保・育成や健康増進の取組を着実に進めることが重要です。

子どもから高齢者、障害のある方まで、誰もが住み慣れた地域で生きがいと役割を持ち、自分らしく暮らせるまちづくりに向け、次の各施策に取り組んでまいります。

まず、「安心して妊娠・出産・子育てができる環境の充実」に向けた取組といたしましては、様々な課題を抱える妊婦や子育て家庭の現状を把握し、子育てに関する各種事業の利用促進に努める中で、これまで3歳児健診以降、就学前健康診断まで健診の機会がなく、社会性や行動面などの発達評価が十分に行えない実情を踏まえ、新たに「5歳児健康診査」を実施し、切れ目のない包括的な支援体制の構築に取り組んでまいります。

また、保護者の冠婚葬祭や学校等行事により、一時的に家庭での養育が困難となる児童については、これまで「子育て短期支援事業」として、里親家庭において養育又は保護を行ってきましたが、保護者の入院などの緊急性の高いニーズに対応できるよう、民間事業所を委託先に加えることで、迅速な養護体制を整え、保護者の心身の安定につなげてまいります。

地域の宝であり、市の宝である子どもたちが、健やかで幸せに成長できる「こどもまんなか」社会の実現に向け、子どもや子育て当事者等の声を丁寧に聴きながら、子どもの権利に関する普及啓発を進めるとともに、安心して過ごすことのできる居場所の充実や環境整備のほか、本市への誇りや愛着、地域社会との関わり意識の醸成に取り組んでまいります。

次に、「生きがいを持ち自分らしく暮らせる高齢者福祉の充実」に向けた取組といたしましては、高齢者が住み慣れた地域で、健康的な日常生活を送ることができるよう、地域の集会所などを活用して各種介護予防事業を実施し、心身機能低下の防止に取り組んでまいります。併せて、社会的な孤立感の解消や仲間づくりにつながるよう、高齢者の多様な趣味活動の場の充実や地域における自主的な活動への支援を進めてまいります。

次に、「共に安心して暮らせる障害福祉の充実」に向けた取組といたしましては、障害のある方が住み慣れた地域で自立した生活を継続できるよう、本人の自立や社会参加を支援するとともに、障害のある方やその家族からの相談に丁寧に対応し、必要な情報提供や支援を行える体制の充実に取り組んでまいります。

次に、「誰もが元気に暮らせる心と体の健康づくりの推進」に向けた取組といたしましては、東日本大震災により顕在化した、地域医療資源の偏在や産科・小児科医の不足といった課題に対応するため創設した「医療施設開設支援事業」により、地域に必要な医療機能の確保に努めてまいります。

併せて、「診療所運営事業」として、離半島部を含む地域住民が安定して外来・入院診療を受けられる体制を維持するとともに、「地域診療体制推進事業」として、医療機関との連携を強化しながら、日常診療から緊急時の救急医療に至るまで、切れ目のない医療サービスの充実を図ってまいります。

また、病院局と保健福祉部がそれぞれ担ってきた医師等の確保や医療機関の運営について、個々の病院や診療所単位ではなく、病院局に一元化する「医療局構想」の検討を進め、より効率的で持続可能な地域医療の実現を目指してまいります。

さらに、市立病院においては、東北大学及び東北医科薬科大学からの医師招聘により、消化器内科や整形外科の診療体制を拡充しつつ、期待の大きい緩和ケア病棟の受入れを一層強化するとともに、診療所へ移行する牡鹿医療センターにおいては、従来の医療機能を維持しつつ、牡鹿地区のニーズを踏まえた医療サービスの充実を図ってまいります。

次に、「みんなが共に支え合う地域共生社会の実現」に向けた取組といたしましては、高齢化率の上昇に伴い、今後更なる介護ニーズの増加が見込まれ、事業者が安定的にサービスを提供できる環境の整備が重要となります。適切な水準の介護報酬の設定を含む介護職員の処遇改善や労働環境の整備に加え、過疎地域等における介護サービス提供に係る介護報酬加算について、国に対し、引き続き要望してまいります。

また、介護人材の育成強化を図るため、介護事業者が主催する、地域住民への介護福祉に関する意識啓発を目的としたイベント開催の支援を継続することで、多くの地域住民に介護の仕事の魅力ややりがいを広く伝えるとともに、様々な年代の方々に介護福祉の仕事に関心を持つ機会を提供し、介護人材の掘り起こしや確保につなげてまいります。

さらに、高齢者、障害者、子ども等も対象に通所サービスを提供する「共生型地域包括ケアサービス事業」を継続し、保健・福祉を必要とする方々の居場所の確保や見守り等を行い、利用者相互の交流を促進することで、社会的孤立の解消と心身機能の維持・向上に取り組んでまいります。

誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、多職種間における顔の見える関係性を土台とした「ヘルスケアネットの構築」に向けては、本市をはじめとする石巻圏域の自治体や医療機関が一体となり、石巻赤十字病院を中核とする枠組みの下、まずは、地域医療連携を目指した合同研修会の開催など、連携・共同が可能な取組から着実に推進してまいります。

また、被災者支援として、これまで福祉コミュニティ支援や個別の相談支援に取り組んでまいりましたが、依然として、高齢化や地域の担い手不足、孤立・孤独といった課題を踏まえ、「地域福祉支援等推進事業」として、地域互助団体等の活動を支援するとともに、生活相談については、民生委員や地域包括支援センター等と連携し、地域で見守る体制を構築することで、一人一人に寄り添った支援に取り組んでまいります。

4.多彩な人材が活躍し誇りと活気にあふれるまち

四つ目は、「多彩な人材が活躍し誇りと活気にあふれるまち」についてであります。

本市は、豊かで魅力あふれる地域資源を有し、漁港や港湾などの産業基盤が整っていることで、第一次産業から第三次産業までがバランスよく発展してまいりました。しかしながら、少子高齢化の加速に伴う生産年齢人口の減少や気候変動による自然災害の頻発、さらには物価高騰の影響など、複合的な課題に直面しています。特に水産業においては、漁獲量の減少や燃料費の高騰に加え、ALPS処理水の海洋放出に伴う風評被害の影響を未だに受けています。

こうした状況を打開し、稼ぐ地域づくりを推進するため、地域資源の活用や販路の拡大、担い手の確保・育成に取り組むとともに、企業の経営体質強化や新たな価値の創造に挑む事業者の支援、雇用の場を確保するため、企業立地の促進や創業支援を推進し、市民と一体となった活気あふれるまちづくりに向け、次の各施策に取り組んでまいります。

まず、「賑わいと活気にあふれる商工業の振興」に向けた取組といたしましては、一次産業事業者の経営多角化や所得向上、さらには地場産業の振興を促進するため、「6次産業化推進事業」として、地域資源を活かした商品開発やブランド力の向上、販路開拓などに対する支援に取り組んでまいります。

また、「中心市街地賑わい創出事業」として、「空き地・空き店舗活用事業助成金」により、中心市街地に点在する空き地や空き店舗を活かした取組を後押しするとともに、新規出店希望者に対しては「街なか出店サポートセンター」による総合的な支援を行い、魅力ある店舗や人が集う居場所を増やすほか、中心市街地でのイベント開催への支援を通じ、新たな魅力と賑わいを創出し、交流人口の拡大につなげてまいります。

次に、「持続可能な漁業・水産加工業の振興」に向けた取組といたしましては、地球温暖化の影響による海水温の上昇に加え、漁場や水産資源を取り巻く環境の変化に伴う漁獲量の減少、さらには海洋プラスチック問題への対応をはじめとする海洋環境を巡る様々な動きなど、水産業界は多くの課題に直面しております。こうした厳しい状況を踏まえ、苦境に立つ水産業を将来にわたり支えていくため、漁港を有する関係自治体と連携しながら、国をはじめとする関係機関に対し、長期的な視点に立った支援を求めてまいります。

石巻漁港をはじめとする各漁港における施設の機能強化、改良や整備を計画的に進めるとともに、石巻魚市場の水揚げ高の増加や水産加工業者への安定した原料供給等を図るため、国・県等に対し、環境改善や安全性の向上について要望するとともに、県内外の船主・生産者組合等への漁船誘致活動を継続的かつ効果的に実施してまいります。

また、近年、海洋環境の著しい変化を背景に、主要魚種の不漁が続くなど、水産業を取り巻く状況は厳しさを増しております。こうした課題に対応するため、「陸上養殖システム導入支援事業」により、新たに陸上養殖に参入する事業者の取組を支援し、水産物の安定的な供給を確保するとともに、将来にわたり持続可能な水産業の構築に向けた取組を進めてまいります。

他産地との競争が激化する中、同一魚種との差別化を図るため、「石巻産水産物ブランド創出事業」として、水産物の品質向上と安全安心の確保に取り組んでまいります。併せて、「金華ブランド」については、石巻市漁船誘致及び原魚等確保推進委員会の活動を通じて、知名度の一層の向上を図ってまいります。

また、第一次産業における就業者の減少や高齢化への対応としては、若者や就業希望者を対象に、第一次産業の魅力を積極的に発信するとともに、「担い手育成総合支援事業」により、就業相談から就業・独立支援、さらには就業後のフォローアップ活動等まで一貫した伴走型支援を実施し、就業者の受入体制の充実とその定着の促進に引き続き取り組んでまいります。

次に、「魅力的な農林畜産業の振興」に向けた取組といたしましては、食や環境への関心の高まりを背景に、世界の有機食品の売上げは増加しており、国内市場の拡大傾向を踏まえると、オーガニック農法は、農業が持続的に発展していくための有効な手段の一つであります。これまで、地域の生産者や関係機関と連携し、環境保全型農業に取り組んできたところであり、先般、石巻市有機農業推進協議会が策定した「石巻市有機農業実施計画」の推進に向け、「石巻市オーガニックビレッジ」を宣言いたしました。引き続き「有機農業産地づくり事業」として、国内外で拡大する有機農産物市場に対応するとともに、生物多様性の保全や環境負荷の低減、資源循環の促進に資するオーガニック農法の普及・拡大に向けた取組を推進してまいります。

また、石巻市産の木材需要の拡大により、本市の木材加工企業や林業者等、木材産業界の振興を図るため、「石巻市産木材利用住宅促進事業」として、石巻市産の木材を一定量以上使用して一般住宅を新築する施主に対し、建築費用の一部を助成してまいります。

次に、「地域資源を活かした観光事業の振興」に向けた取組といたしましては、「観光PR事業」として、各種SNSを活用した情報発信の充実とフォロワー数の拡大を図るとともに、SNSを契機とした誘客の実現に向けて取り組むほか、各地で開催されるイベントへのブース出展や、「いしのまき観光大使」の発信力を活かしたPR活動など、より効果的な手法を幅広く活用し、情報発信の一層の強化を図ることで、更なる観光誘客に取り組んでまいります。

また、本市の特産品を全国に広くPRし、販路拡大と販売促進を図るため、県外で開催される物産展等のイベントに参加する事業者に対し、「石巻市物産展等参加支援補助金事業」として参加経費の一部を支援し、地域経済の活性化を推進してまいります。

さらに、観光交流人口の拡大を目指し、本市最大のイベントである石巻川開き祭りをはじめ、サマーフェスタ・イン・かほく、おがつ海鮮まつり、かなんまつり、ものうふれあい祭、北上にっこりまつり、牡鹿鯨まつりなど、各地域で受け継がれてきた歴史や文化、四季折々の豊かな自然が融合した魅力ある祭り等の開催を支援し、賑わいの創出を図ってまいります。

国内外からの観光誘客の推進に向けては、仙台塩釜港石巻港区への大型客船の誘致活動を積極的に行うとともに、寄港時には関係団体と連携し、充実したおもてなしの実施や観光客の周遊促進を図るなど、国際拠点港湾を生かした地域活性化に取り組んでまいります。

また、本市とともに日本遺産「みちのくGOLD浪漫」の推進に取り組む関係自治体と連携し、日本遺産認定ストーリーに関連するスポットを巡るスタンプラリーの実施や日本遺産の関係イベントへの出展などに取り組むほか、本市独自の取組として「日本遺産関連商品開発補助金事業」を実施することにより、日本遺産及び本市の観光資源の認知度向上並びに観光交流人口の拡大を促進するとともに、金華山への渡島ニーズに対応するため、「金華山航路定期運航支援事業」として、定期船の増便に要する経費の一部を助成し、金華山へのアクセスの充実と観光地としてのイメージ向上を図ってまいります。

市内観光施設の中でも高い人気を誇る、道の駅「上品の郷」において、集客の核となっている温泉保養施設改修に向けた設計に着手し、より快適で満足度の高い施設の提供を通じて観光客数の増加に努めてまいります。併せて、「マンガを活かしたまちづくり」の中核施設である石ノ森萬画館については、カフェの席数拡充や内装デザインの充実を図るなど、来館者の満足度向上と市内外からの更なる誘客を促進してまいります。

さらに、周遊観光の促進と滞在時間の延伸を目指し、一般社団法人石巻圏観光推進機構との連携・協力体制を一層強化するとともに、本市及び圏域ならではの観光資源を活かした教育旅行やサイクルツーリズムなどの推進に取り組むほか、更なる誘客拡大を図るため、広域観光の推進にも積極的に取り組んでまいります。

次に、「企業誘致の推進と新たな産業の創出」に向けた取組といたしましては、世界的な物価高騰や建設コストの上昇、人材確保の不安など、企業の投資判断を取り巻く環境は依然として厳しい状況にありますことから、本市での新たな投資や事業拡大につながるよう、企業ニーズの把握や立地環境の魅力発信に加え、時代の変化に対応した助成制度へ見直しを行い、本市産業の対応力の強化と雇用の創出を図るため、引き続き私が先頭に立って、企業立地の促進等に取り組んでまいります。

また、本市産業の活性化と新たな産業創出を図るため、「産業振興対策事業」として、関係機関との連携による市内事業者や創業希望者を対象とした相談会やセミナーの開催のほか、本市独自の補助制度により、包括的な創業支援を進めてまいります。

さらに、「地域資源活用産業化促進事業」として、次世代放射光施設「ナノテラス」活用の促進など、先端技術の導入による地場産品や地域特性を活かした、地域資源の付加価値の向上と市場開拓を後押しすることで、地元企業の更なる発展につなげてまいります。

次に、「未来の産業を担う人材の確保と育成」に向けた取組といたしましては、「雇用対策連携事業」として、関係機関と連携を図りながら、一般、高齢者、高校生を対象とした合同企業説明会を開催するとともに、高校生のための企業見学ツアーを実施し、求職者の就業促進と企業の人手不足の解消に加え、若者の地元への定着を促進してまいります。

また、地域経済を支える中小企業においては、少子高齢化による市場縮小や人手不足が深刻化し、従来の経営手法では持続的な成長が困難な状況にありますことから、企業に対し、守りから攻めの経営への転換を促し、経営体質の強化や新たな事業展開を推進するため、「プロフェッショナル人材雇用助成事業」により、成長戦略を担う人材の雇用を促進してまいります。

5.豊かな心を育みいのちを未来につなぐまち

五つ目は、「豊かな心を育みいのちを未来につなぐまち」についてであります。

今日、グローバル化の進展に加え、生成AIをはじめとするデジタル技術の革新、さらには価値観やライフスタイルの多様化が相まって、私たちの社会はこれまでにない複雑さを増しており、子どもたちが活躍する2040年代の社会を明確に見通すことは、困難な様相を呈しております。

また、少子高齢化に伴う人口減少下において、本市が目指す「稼ぐ地域づくり」には、将来にわたり地域経済を支える高い労働生産性を発揮できる人材の育成が不可欠であり、本市の消長にもかかわりますので、その礎となる児童生徒の教育水準の向上は極めて重要です。

こうした時代であるからこそ、未来を生きる子どもたちにどのような学びが必要かをしっかり考え、将来世代の育成に向けて着実に実践していく「教育環境の充実」は、施政における最重要課題であります。

一方、スポーツ活動を通じた交流による健康づくりの推進や互いに教え合い学び合う生涯学習の充実、さらには郷土の歴史や文化、自然に触れる機会を広げることで、地域への愛着を育み、いのちを未来へとつなぐまちづくりに向け、次の各施策に取り組んでまいります。

まず、「安全に安心して学ぶための教育環境整備の推進」に向けた取組といたしましては、国際化、高度情報化、技術革新等社会情勢の変化に対応した情報教育環境の構築を目指すため、授業におけるデジタル教材を表示する大型提示装置について、これまでの普通教室への配置から特別教室へ拡充し、活用できる教科が広がることで、児童生徒の理解力や論理力、集中力の向上を図るとともに、協働学習における発表や議論を活発化させ、主体的に学ぶ意欲を高めてまいります。

また、児童期から本を読むことの楽しさを知り、生涯にわたって本に親しめる読書習慣を身に付けるため、「電子図書整備事業」として、全児童に配付したタブレット端末を活用し、児童が自主的に、いつでも、どこでも、好きなだけ、気軽に本を読むことができる環境を継続してまいります。

これまで、食材料費の高騰を受ける中にあっても、「学校給食保護者負担軽減事業」により、保護者負担額を据え置いたまま、栄養面や量に配慮した給食の提供を継続してまいりました。今般の、国による小学校給食費の抜本的な負担軽減を目的とした交付金制度の創設を踏まえ、本市といたしましては、国が示す基準額と実際の給食費との差額について、引き続き支援することで、児童の保護者に新たな負担を求めることなく、質と量が確保された学校給食の提供に取り組んでまいります。

「学校統廃合の推進」に向けては、保護者の皆様をはじめ、地域の皆様の学校に寄せる思いや考えを丁寧に伺うとともに、子どもたちの将来を見据え、「石巻市立小・中学校学区再編計画」について御理解いただけますよう、皆様方と意見を重ね、推進に努めてまいります。

次に、「社会を生き抜く力を育てる学校教育の充実」に向けた取組といたしましては、生成AIを適切に活用するための知識・スキルの習得を図るに当たり、単に技術として使いこなすことにとどまらず、生成AIにどのような情報を与えるべきか、また、生成された表現や内容が正確で妥当なものかを自ら吟味し、判断する力を身に付けることが重要であります。こうした力は、私たち人間がこれまで社会の中で培ってきた道徳性や倫理観を確かな土台とし、その上に、情報を批判的に捉える力や主体的に考え行動する力といった、現代社会に求められる資質・能力を重ねて形成していく必要があります。

生成AIのある社会が当たり前となるこれからの時代におきましては、人間ならではの思考力、判断力、創造力、さらには他者への配慮や責任感といった倫理観が、より一層重要となりますことから、こうした力を備えた子どもたちを育てる基礎を築くため、生成AIと適切に向き合い、その特性を理解した上で活用できる力を育成する教育を、着実に推進してまいります。

また、子どもたちがこれからの社会を主体的に生き抜いていくためには、知識や技能の習得にとどまらず、思考力・判断力・表現力を生かしながら、社会性や責任感を育んでいくことが重要であります。このため、「学校わくわくプラン推進事業」として、児童生徒の学習意欲や活動意欲を高める取組をはじめ、公共施設を活用した校外学習や様々な専門分野の講師による体験活動の充実を図ってまいります。併せて、発達段階や学習環境の違いを踏まえ、複数の視点から支援を行うマルチレベルアプローチ理論に基づき、小中連携による実践を進めることで、児童生徒一人一人が自らの可能性を発揮し、他者との共生を通じて自己肯定感とともに自己有用感を高められるよう取り組んでまいります。

いずれにいたしましても、人口減少が進む本市において、将来世代の基礎的な教養と論理的思考力の習得は極めて重要な課題であります。このため「学力向上推進事業」として、タブレット端末を活用したデジタル思考ツールを導入し、子どもたちの思考力の向上を図るとともに、全国学力・学習状況調査の正答率を全国平均に近づけることを目標に、年2回実施する標準学力調査の分析結果を授業改善に的確に反映させ、教員の指導力の向上に取り組むなど、リベラルアーツの礎の習得・強化に注力してまいります。

併せて、「石巻市子どもの体力向上プラン」に基づき、「体力向上推進事業」として、各学校のアクションプラン作成や石巻専修大学と連携したICT活用による授業づくりを推進するとともに、こうした取組を家庭や地域と共有しながら運動に親しみ、目標に向かって努力する児童生徒の育成に取り組んでまいります。

次に、「いのちを守る防災教育の推進」に向けた取組といたしましては、児童生徒があらゆる災害に直面した際にも、自らの命を確実に守り抜く力を身に付けられるよう、「防災教育充実事業」として、防災教育副読本を活用した授業の実践や復興・防災マップの作成などを通じて、災害対応力の育成に取り組んでまいります。

また、東日本大震災から15年が経過し、在籍する児童生徒の全てが震災未経験世代となることを踏まえ、震災遺構等を活用した記憶と教訓の伝承にも取り組んでまいります。

次に、「地域ぐるみで子どもを育てる教育活動の推進」に向けた取組といたしましては、地域と学校が目標や課題を共有し、協働しながら子どもたちの成長を支える仕組みを構築するため、「コミュニティ・スクール推進事業」として、地域と学校が一体となって実施する教育活動や地域活動の充実を図ってまいりました。引き続き、検討推進委員会、推進フォーラムの開催や各学校運営協議会の運営を通じて、学校や地域が抱える課題の解決に努めてまいります。

また、全ての児童が放課後の時間を安全安心に過ごしながら、学習やスポーツ、異年齢交流などを通じて社会性や豊かな人間性を育む体験の場を確保するため、「放課後子ども教室推進事業」として、地域の方々に御協力をいただきながら、令和8年度は新たに4校で放課後子ども教室を開設し、地域全体で子どもを育む体制の更なる充実を図ってまいります。

併せて、「ふるさと子どもカレッジ事業」として、市内各地域の特色を生かした体験活動を実施することで、子どもたちの豊かな心と郷土愛を育んでまいります。

次に、「豊かな地域社会を育む生涯学習の推進」に向けた取組といたしましては、「第3次石巻市生涯学習推進計画」を策定し、学びを通じて市民の人生を豊かにするとともに人と人とのつながりを創出し、生きがいを持って、自分らしく安心して暮らすことができる地域の実現を目指してまいります。

また、博物館における企画展・特別展の開催や博物館講座、ワークショップ等の教育普及活動の展開により、市民に文化・芸術に触れる場を提供することで、心の豊かさの醸成を図るとともに、次代を担う子どもたちの知的好奇心や探求心を育むための企画にも取り組んでまいります。併せて、博物館所蔵資料の調査研究を進め、その結果を広く公開することで、本市の魅力の再発見や郷土愛の醸成などに努めてまいります。

さらに、「文化芸術事業」として、質の高い文化芸術の鑑賞機会や市民参加型の文化芸術活動の機会を提供することで、文化芸術がもたらす心豊かで活力ある地域づくりを推進してまいります。

次に、「生涯にわたるスポーツ活動の推進」に向けた取組といたしましては、市民が心身ともに健康で、いきいきとした豊かな生活を営むことができるよう、「スポーツ振興事業」として、スポーツの持つ力を最大限に活用し、スポーツを「見ること」や「すること」の楽しさを広く伝えるとともに、日常生活の中に、スポーツに親しむ機会を広げ、市民一人一人の多様なアクティブライフの実践と定着を促進してまいります。

また、「スポーツ交流事業」として、「ツール・ド・東北」や「いしのまき復興マラソン」などの大規模イベントの開催に加え、プロスポーツチームやトップアスリートと連携した取組を展開し、スポーツが生み出す人の流れや賑わい、地域への関心の高まりといったスポーツの力を通じて、交流人口の拡大を図るとともに、地域の活性化につなげてまいります。

6.市民の声が共鳴し市民と行政が共に創るまち

六つ目は、「市民の声が共鳴し市民と行政が共に創るまち」についてであります。

市政への市民参加を更に促進し、市民の視点に立った責任ある市政運営を貫くことが私の使命であります。

市政情報を分かりやすく適時に発信するとともに、地域の多様な声に真摯に耳を傾け、市民の皆様の思いを行政運営に的確に反映するための仕組みづくりこそ、その実現を支える基盤となります。

また、限られた行財政資源を最大限に活かし、堅実で健全な行財政運営を推進するとともに、その成果を将来に繋ぎ得るよう、市民と行政が共に創るまちづくりに向け、次の各施策に取り組んでまいります。

まず、「市民に寄り添い信頼される行政運営の推進」に向けた取組といたしましては、これまで、市民の皆様が行政に参画する機会を積極的に設けるとともに、常に現場主義を貫き、皆様の声一つ一つに真摯に向き合ってまいりました。今後の「動く市長室」につきましては、地域の課題や要望を伺う場にとどめることなく、人口減少が加速し、限られた行財政資源の下で、市政運営に資するよう「地域の将来像を市民の皆様と共有しながら考える」対話を重視した取組へと転換してまいります。

さらに、「市民ニーズの把握」を政策形成に欠かすことのできない重要なプロセスとして位置付け、幅広い市民の声を的確に捉えることができるよう、適切かつ有効な手法の検討を進めてまいります。

また、少子高齢化に伴う人口減少が深刻さを増す中、若い世代をはじめとする多様な人々に選ばれるまちを実現していくためには、SNSをはじめとする広報機能を一層強化し、本市の取組や魅力を分かりやすく発信していくことが重要であります。本市の取組に共感し、応援してくださる市民の輪を広げ、そうした皆様の主体的な発信を通じて、本市の魅力がより多くの方々に共有される好循環を生み出してまいります。

生成AIの活用やDXの推進が急務となる中、デジタル技術を活用した「書かない・待たない・迷わない窓口」の実現を目指し、行政事務の効率化を図るとともに必要な機能を精査し、市民の皆様の利便性向上につながる窓口改革に取り組んでまいります。

次に、「持続可能な行財政運営の推進」に向けた取組といたしましては、限られた行財政資源をこれまで以上に集中的かつ効果的に活用していくことが重要であります。財政の機動性、弾力性を示す経常収支比率など財政の健全性を評価する主な指標が、平成17年の合併時に改善の機会を逸し、東日本大震災を経て更に悪化しており、類似団体と比較いたしますと最下層に分布していることから、経営的視点に立った行財政運営の最適化・構造改革が不可欠であります。そうした状況を踏まえ、「持続可能な自治体経営を目指し、未来に向けて最適化する行財政運営の推進」を基本方針とし、「石巻市行財政改革推進プラン2030(ニーゼロサンゼロ)」を策定いたします。

本プランでは、経常経費の抑制をはじめとする財政構造の健全化を最重要課題と位置付け、緊要な行政サービスの維持・向上には工夫を凝らし、人口規模や税収構造に即した行財政運営への転換を目指し、政策評価体系を取り入れた総合計画との連動やEBPMを意識した施策の推進など、新たな視点を取り入れつつ、「成果志向の予算・事業編成の強化」、「公共施設等総合管理計画と個別施設計画の連携強化」、「人的資源の最適化と簡素で効率的な業務体制の強化」の三つを重点項目の柱として、不退転の決意で行財政改革を進めてまいります。

さらに、閉庁後の事務処理等により恒常的な時間外勤務が発生しておりますことから、プランに掲げる取組の一つとして、「行政庁舎の窓口開庁時間短縮」の検討も進めるなど、業務の効率化と人件費の抑制を図ってまいります。

また、生成AIを含む各種デジタルツールの利用環境をブラッシュアップし、業務の自動化・効率化を一層推進することで、限られた人的・時間的資源をより効果的に再配分できる体制の構築を進めてまいります。併せて、既存業務の徹底した見直しを進めるなど、職員のワークライフバランスの実現や働きやすい労働環境を整えることで、効率的な業務体制への転換によって生み出された時間を、課題解決に向けた取組や業務改善等に活用し、職員数が制約される中にあっても、「新たな発想」や「チャレンジする気力」の創出につなげてまいります。

質の高い行政サービスを将来にわたり維持していくためには、人材こそが最大の資源であります。「第3次石巻市人材育成基本方針」を策定し、職員一人一人が行財政課題に主体的に向き合い、自らの能力を最大限に発揮し、市民の声やニーズを的確に把握し、行政サービスの向上に反映できるよう、計画的かつ継続的な人材育成を推進してまいります。

さらに、類似団体と比較して人口千人当たりの職員数は2番目に多く、時間外勤務手当の額が最も高い現状を踏まえ、「職員定員適正化計画」に基づく適正な職員数の確保と業務効率化・マネジメントの強化を図るとともに、会計年度任用職員の配置に当たっては、その役割や担うべき業務内容を改めて整理し、業務の特性や職員の業務量との均衡を十分に考慮した適正な配置を行うことで、人的資源の有効活用と人件費の適正化に努めてまいります。

社会保障経費の増大、復興事業で新たに整備した公共施設の維持管理経費の増加や老朽化対策など、今後更に行財政需要が高まる状況を踏まえ、歳入の確保策として、「債権管理条例」を制定し、債権回収手続の徹底や計画的な債権回収を一層強化するとともに、遊休資産の売却、国債等の債券による基金運用を進めてまいります。併せて、税収確保の一助として、ふるさと納税制度を活用した、がんばる石巻応援寄附金についても、データに基づく戦略的な対応に加え、魅力ある返礼品の開発や安定した在庫の確保に向けて事業者との連携を強化し、毎年度5億円の増額を図ることで、令和10年度には寄附金額40億円の達成を目指してまいります。

予算編成・組織機構の見直し

次に、予算編成について申し上げます。

令和8年度当初予算編成に当たりましては、社会保障経費の増加のほか、これまでにない物価高騰の影響による厳しい財政状況を踏まえ、「財政基盤の強化」と「事業の推進」の両立を基本方針とし、財政調整基金繰入金の抑制、徹底した行財政改革の推進、厳選した事業の推進の三つの方針の下に一般財源の削減目標を掲げ、取り組んだところであります。

この結果、令和8年度予算は、「一般会計」で、812億円、「水産物地方卸売市場事業特別会計」をはじめとする4特別会計で、350億円、「病院事業会計」で、62億円、「下水道事業会計」で、136億円、全会計の総額で、1,360億円となっております。

依然として本市の財政状況は、財政調整基金から相当規模の取崩しをせざるを得ない厳しい状況にあり、市民サービスを将来にわたり安定的に提供していくためには、機動性や弾力性のある財政構造への転換など、将来世代への責任を見据えた中長期的な視点に立ち、財政の健全性を確保していくことが不可欠であります。

市民の皆様の御理解をいただきながら、行政として担うべき役割や事業を再点検し、持続可能な規模へと財政基盤を立て直すとともに、行財政改革に強い覚悟を持って取り組んでまいります。

組織機構の見直しにつきましては、様々な行政課題に対応し、柔軟な改編に取り組んでまいりましたが、国の第2期復興創生期間が令和7年度をもって終了することを踏まえ、本市においても、復興に対応した体制から、将来を見据えた平時の体制への転換が求められます。

今回の見直しにつきましては、現組織を基本としつつ、震災からの復興を推進するために設置した復興企画部を「企画部」に改め、復興から将来に向けた体制への転換を図るとともに、脱炭素社会の実現に向けた各種施策を一体的に進めるため、環境課と廃棄物対策課を統合し「環境未来推進課」に、市税等の収納に加え、災害援護資金貸付金等の債権解消に向けた体制を強化するため、納税課を「収納推進課」にそれぞれ改め、総合計画の実現に向けた政策をより強力に進める効果的・効率的な組織体制の構築を図ってまいります。

今後も、持続可能な行政運営の実現に向け、社会情勢の変化や市民ニーズを的確に捉えながら、実効性の高い組織の構築に努めてまいります。

以上が令和8年度に臨む私の基本姿勢と令和8年度予算案であります。

むすび

我が国が直面する人口減少・少子高齢化は、将来的には地域社会や行政の在り方にも関わる極めて深刻な課題であります。本市におきましては、結果として合併時に機会を逸した合理化・効率化に加え、復興事業により整備した公共施設の維持管理費の増加や老朽化対策への対応、社会保障経費の増大に加え、市民生活に密着した廃棄物処理や少子化に伴う学校統廃合など、多大な財政需要が続くことから、持続可能な市政運営を進める上で、事業の選択と集中は避けて通れない喫緊の最重要課題であります。

つきましては、後期の総合計画基本計画策定過程において構築したロジックモデルを活用しつつ、EBPMに基づく予算編成を通じ、予算と政策の質の向上に取り組む一方、各施策が狙いとする成果を検証するとともに、効果が見込める事業は一層のブラッシュアップを図り、費用対効果が乏しい事業についてはスクラップを含めた見直しを断行してまいります。

本年は、変化とスピードの時代と言われた昭和が幕を開けてから、百年という節目の年を迎えます。人口、特に生産年齢人口の減少が続く現実を受け止めなければならない令和の時代は、新たな価値と暮らしを創出し、互いに支え合いながら挑戦を続ける「再生と創造、共生と挑戦の時代」であると捉えております。こうした中、今を生きる私たちに求められているのは、まだ生まれていない将来世代も含め何が大切なのか、地域の将来像はどうあるべきか、一つ一つ積み上げていくことではないでしょうか。

現下の厳しい財政状況を乗り越えていくためには、「石巻市行財政改革推進プラン2030」を強力かつ着実に推進していく必要があり、その具体的な手法に加え、意思決定のプロセスや施策の進め方についても、市民の皆様はもとより、本市で活動する多様な関係者皆様の理解と共感をいただくことが重要であります。

今まさに、苦渋の選択を乗り越えるための意思疎通の環境整備が求められておりますことから、ロジックツリーやEBPMの手法を、事務事業評価や施策評価にとどめることなく、議会の皆様や市民の皆様との対話・説明のツールとして積極的に活用し、「情報」、「立場」、「本市の目指す姿」を共有しながら、賢い選択と集中の下、的確な政策立案につなげるとともに、行財政運営の透明性と説明責任を確保してまいります。

東日本大震災は、多くの尊い命や日常を一瞬にして奪い、計り知れない深い悲しみをもたらしました。震災による心の傷は簡単に消えるものではありません。しかし、我々石巻市民は、あの言語に絶する惨状に耐え、そして人々の強い絆の中で立ち上がり今日に至りました。この人々の絆の強さと一人一人の不屈の精神力・行動力は、本市の誇るべき資質・資産であります。私はこの圧倒的なポテンシャルを信じて、再び市民のお一人お一人と手を携えて行財政改革に取り組むことで、本市の行財政基盤を再構築いたします。

多くの課題に直面する中にあって、「自助・共助・公助」の役割分担を基本としながら、行政と市民が一体となって知恵を出し合い、積み重ねていくことこそが、私の愛する「ふるさと石巻」を確かな将来へとつないでいく鍵となります。

東日本大震災からの復興に当たっては、全国津々浦々から復興特別税など、多大な御厚意を賜りました。その御恩を胸に、オール市民で未来を切り拓き、市民一人一人が幸せと満足を実感できる「住むことに誇りが持てるまち、石巻」の実現に向け、全身全霊で取り組んでまいります。

昨年4月、市民の皆様から再び市政を託していただき、皆様の幸せを第一に考えながら、コロナ禍や気候変動・温暖化を経て、生きとし生きるものや自然界にも思いを巡らせ、座右の銘である「忘己利他」、「己を忘れ他を利するは慈悲の極みなり」の思いを一層強くし、全力で市政運営に取り組んでまいる覚悟であります。

結びに、市民の皆様のお力添えと議員各位のより一層の御理解、御協力を賜りますよう衷心よりお願い申し上げまして、令和8年度の施政方針といたします。



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部署名:復興企画部 政策企画課
電話番号:0225-95-1111

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