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令和4年度施政方針

更新日:2022年2月25日

はじめに

令和4年「石巻市議会第1回定例会」に「令和4年度各種会計予算並びに諸案件」を提案するに当たり、市政運営に取り組む所信の一端と施策の大綱について御説明申し上げます。

はじめに、新型コロナウイルス感染症の収束がいまだ見通せない中、感染拡大の防止に向けて、日夜最前線で御対応いただいている医療従事者等の皆さまをはじめ、感染防止対策の徹底に御協力をいただいている市民の皆さま、事業者の皆さまに対しまして、心から感謝申し上げます。

昨年4月に執行された市長選挙において、市民の皆さまの負託をいただき市長に就任してから、間もなく1年となります。

私が目指すまちづくりは、市民、経済界などをはじめとした各団体、議会、行政が一体となった「オール市民」でのまちづくりであり、地域課題や多様化する市民ニーズを迅速かつ的確に把握し、市民サービスの更なる向上を図っていくため、現場主義を貫き、常に市民の皆さまの声に耳を傾けながら、市政運営に臨んでまいりました。

こうした考えのもとで、私は、市民の皆さまの健康と命を守り、低迷する地域経済をいち早く立て直すため、「新型コロナウイルス感染症対策」と、地域独自の祭りやイベントの開催等を通じた賑わいと魅力を創出し、「全ての世代が生きがいを持って活躍できるまちづくり」を最重点施策とし、各種復興事業の推進や国が進める地方創生等に取り組んでまいりました。

「新型コロナウイルス感染症対策」につきましては、石巻赤十字病院、地元医師会、薬剤師会等の関係団体と連携を図りながら、迅速なワクチン接種体制の確保に努めてきたほか、ウェブ上での接種予約を市職員が代行して行う窓口の設置など、全庁を挙げて取り組んでまいりました。

また、PCR検査につきましては、2市1町連携による、石巻市地域外来・検査センターを開設し、石巻圏域のPCR検査体制の充実を図ってきたほか、昨年10月には、市役所本庁舎1階に、民間企業と連携したPCR検査所を設置し、市民の皆さまの日常生活における不安の解消を図ってまいりました。

さらに、公立の保育施設、教育施設における感染症対策の徹底を図り、安全・安心な保育・教育環境の確保に努めてきたほか、中小企業、小規模事業者の経営がひっ迫している状況に鑑み、飲食店等が行う新しい生活様式への対応や、ポストコロナ・ウイズコロナ時代を見据え、事業の再構築を図る事業者の取組等に対して、本市独自の支援策を講じてまいりました。

また、生活困窮世帯及びひとり親家庭に対して、国等の制度活用に向けた周知徹底を図るとともに、臨時特別給付金等の速やかな支給に努めてきたところであります。

「全ての世代が生きがいを持って活躍できるまちづくり」につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響で、多くのイベントが中止や延期に追い込まれる中ではありましたが、「東京2020オリンピック聖火リレー」が、約1年間の延期を経て、本市においても開催され、市内を駆け抜けた聖火ランナーの皆さんが、たくさんの「笑顔」と「元気」を届けてくれました。

その後開催された「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」は、雄勝地区出身で、男子バレーボール代表として日本のベスト8進出に貢献した藤井直伸選手の活躍や、本市で事前合宿を行ったチュニジア共和国男子競泳選手の金メダル獲得など、私たち市民に大きな感動と誇りを与えてくれたほか、パラリンピック選手が、自らの障害と向き合いながらひたむきに挑戦する姿は、私たちの心に、多様性を認め合い、支え合う共生社会の実現に向けた、力強いメッセージを残してくれました。

また、漁業の振興と発展を目的に、本市を主会場として県内で初めて開催された「全国豊かな海づくり大会」は、天皇、皇后両陛下にオンラインで御臨席を賜るなど、本市が復興に向けて歩んできた姿と「水産都市・石巻」を、広く国内外に発信する場となりました。本市において、全国規模のイベントを無事成し遂げることが出来ましたことは、大きな成果であり、今後の更なる飛躍に向けた糧にしてまいりたいと考えております。開催に当たって御尽力いただきました国及び県をはじめ、関係者の皆さまに心から感謝申し上げる次第です。

さらに、本市において14年ぶり2度目の開催となった「全国鯨フォーラム2021石巻」では、捕鯨産業の維持と鯨食文化を継承していく責務を一層強くしたところであり、鯨のまち石巻を全国に発信することが出来ました。引き続き、鯨食文化の普及啓発を図るとともに、この文化を観光資源としても有効に活用し、地域振興にも繋げてまいりたいと考えております。

「SDGsの推進」につきましては、「石巻市SDGs未来都市計画」に基づき、小・中学校や企業等を対象とした出前講座やシンポジウムの開催などによる普及啓発活動を行ってまいりました。「いしのまきSDGsパートナー」の登録数が、80団体を超えるなど、本市の取組が、着実に実を結んでいるものと思っております。

また、自治体SDGsモデル事業として、「グリーンスローモビリティ」を活用した実証実験を行い、地域の支え合いによる新たな移動手段としての確立に向けた検証を進めているところであり、利用者の意見等も伺いながら、更なる利便性の向上を図るとともに、関係事業者の技術力向上に繋げてまいります。

「復興事業」につきましては、地盤沈下に伴う冠水対策として整備を進めている雨水排水ポンプ場11施設のうち、既に稼働中の4施設に加え、令和3年度は、新たに3施設が完成し、稼働を開始したほか、今年3月には、災害時の避難道路として整備を進めてきた「石巻かわみなと大橋」が開通を予定しております。

また、東日本大震災を教訓に、津波等の災害時、河川内に不法係留された船舶が、市街地に流れ込む被害を防ぎ、市街地の安全・安心を確保する施設として、「南浜マリーナ」が、昨年8月に供用を開始しております。

さらに、東日本大震災で全壊した「石巻文化センター」と「石巻市民会館」に代わる施設として、昨年4月に「マルホンまきあーとテラス」が、11月には、同館内に「石巻市博物館」がそれぞれ開館するなど、復興の完結に向けて、また一歩前進できたものと思っております。

東日本大震災から10年の節目となった、昨年3月には、国と県、市が整備を進めてきた「石巻南浜津波復興祈念公園」が開園したほか、「震災遺構大川小学校」が昨年7月から一般公開を開始し、また、「震災遺構門脇小学校」は、本年4月からの一般公開を予定しております。最大の被災都市となった本市の責務として、震災の記憶と教訓を後世に伝え継ぐことにより、一人でも多くの人が自分自身と大切な人の命を守る行動に繋げてまいりたいと考えております。

また、避難生活の長期化や、災害公営住宅等への移転など、被災された方々を取り巻く生活環境が変化する中で、人と人との繋がりや生きがいを持ち、安定的な日常生活を営んでいただくため、「心の復興」や、コミュニティ形成の促進等、各地域の復興の進展に伴う課題に対応した支援を継続して進めてまいりました。

未利用となっている移転元地の利活用といたしましては、「移転元地等利活用推進事業補助金」の創設等による土地利用推進施策を講じ、新たに農業利用や地域の緑化推進による土地利用が図られており、引き続き、移転元地の利活用を推進し、半島沿岸部の活性化と地域交流の拡大を図ってまいります。

国においては、昨年9月、日本のデジタル社会実現の司令塔として「デジタル庁」が発足し、国民生活の利便性向上や自治体における行財政運営の効率化を図るため、地方自治体においてもデジタルトランスフォーメーションの推進に取り組むことが求められました。

本市におきましては、昨年12月に策定した、「石巻市デジタル・トランスフォーメーション推進方針」に基づき、デジタル技術やデータの活用により、各種行政手続等における市民の利便性を向上させるとともに、デジタルを前提とした業務プロセスの見直しによる効率化を図り、人的資源を行政サービスの更なる向上に繋げてまいりたいと考えております。

本市の昨年末時点での人口は、13万8,686人であり、一昨年末と比較すると、2,138人の減少となっております。平成17年の合併時、17万人余りだった人口が、初めて14万人を割り、人口減少に歯止めがかからない状況が続いております。
 
こうした現状を踏まえ、昨年策定した「第2次石巻市総合計画」は、「ひとりひとりが多彩に煌めき 共に歩むまち」を将来像に掲げ、6つの基本目標のもと、少子高齢化などによる社会情勢の変化、多様化する市民ニーズ、硬直化する財政状況等に危機感を持って対応するとともに、将来にわたって活力ある、持続可能な地域社会の実現に向けた地方創生の取組を「人口戦略」に位置付け、各種施策を進めることで人口を維持し、市民が住むことに誇りを持てるまちづくりを推進するものであります。

重点施策

それでは、令和4年度に取り組む6つの重点施策について、述べさせていただきます。

1.全ての世代が生きがいを持って活躍できるまちづくり

一つ目は、「全ての世代が生きがいを持って活躍できるまちづくり」についてであります。

多彩な祭りやスポーツ、文化芸術活動などを通じて、多くの人々が集まり、誰もが生きがいを持って活躍できる魅力あるまちづくりを推進するため、次の各施策を進めてまいります。

まず、「交流人口の拡大」に向けた取組といたしましては、本市最大のイベントである「石巻川開き祭り」をはじめ、各地域の歴史や文化等を伝える魅力ある祭りの開催及び支援を行っていくほか、「アート」「音楽」「食」の総合芸術祭、「リボーンアート・フェスティバル」の開催に向けた支援を行うとともに、複合文化施設「マルホンまきあーとテラス」を文化芸術活動の拠点として活用し、様々なイベントや企画展・特別展の開催を通して、市内外からの誘客を図ってまいります。

また、中心市街地の賑わい創出を図るため、かわまち交流拠点を起点に歩いて楽しめるウォーカブルな商店街の実現に向け、若者の意見やアイデア等も取り入れながら検討を進めるほか、中心市街地において開催するイベントや文化芸術活動を支援してまいります。

スポーツを通じた地域活性化と交流人口の拡大に向け、県内にフランチャイズを置くプロスポーツチームやオリンピアン・パラリンピアン等による各種スポーツ教室、交流イベント等を開催するほか、将来を見据えた取組として、官民が一体となり、スポーツと様々な地域資源を掛け合わせ、戦略的に活用した取組を推進する組織である「スポーツコミッション」の設立に向け、調査・研究を進めてまいります。

また、スポーツ実施率の向上による健康増進と誰もが安心してスポーツに親しめる環境を整備するため、総合体育館の設備改修を実施するほか、陸上競技場の整備に向け、県北東部の拠点競技場としての位置付けを視野に入れながら、施設規模や機能等について、引き続き、関係団体等を交えた調査・検討を進めてまいります。

次に、「高齢者の生きがいづくり」に向けた取組といたしましては、高齢者の皆さまに、自分らしく生き生きと健康的な日常生活を送って頂くため、各地域の集会所等を会場として、生活に関する相談や健康指導、日常動作訓練などを実施し、心身機能の維持・向上や社会的孤立の解消を図るとともに、自らの知識と経験を生かした創造的活動と趣味の場を提供し、生きがいづくりを支援してまいります。

次に、「豊かな自然保護と魅力の発信」に向けた取組といたしましては、本市最大の魅力である豊かな自然をフィールドとした体験活動などを通して自然の魅力を発信するとともに、地球温暖化や生物多様性への影響など、地球規模で進行する環境問題を認識し、環境保全活動の重要性を広く普及啓発するため、「環境フェア」の開催や「環境市民」の育成等に努めてまいります。

また、海洋汚染や温室効果ガスの問題など、プラスチックごみがもたらす地球環境への影響が深刻化する中、我が国においても「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が、本年4月から施行されます。家庭から排出されたプラスチック製容器包装・製品につきましては、プラスチック資源として分別回収することが求められますことから、本市におきましても必要な準備を進めてまいります。

次に、「SDGsの推進」に向けた取組といたしましては、SDGsの理念である「誰一人取り残さない」社会を構築していくためには、一人一人がSDGsの考え方を理解、そして共感し、経済、社会、環境に関わる様々な課題に対し、多様性と包摂性を持って行動していく必要があります。

この理念を広く周知し、市民の皆さまをはじめとした多くの方々の行動に繋げていくため、SDGsの推進に賛同する企業、団体等との連携を一層強化していくほか、持続可能な地域社会の構築には、広域的な視点に立った考えも必要であることから、今後につきましては、石巻圏域での推進を表明した上で、東松島市、女川町と連携した普及啓発活動に取り組んでまいります。

また、新たに、(仮称)いしのまき圏域SDGs未来企業制度を創設し、圏域各市町による独自のインセンティブ付与や地元金融機関等と連携した優遇融資などの支援を行い、企業等におけるSDGsの目標達成に向けた取組を後押ししてまいります。

2.安全・安心なまちづくり

二つ目は、「安全・安心なまちづくり」についてであります。

全国各地で大規模な自然災害が頻発する中、来るべき災害に備え、ハード・ソフト一体となった万全の防災・減災対策を講じていくことが必要となります。

また、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、安全・安心な日常生活を支えるための医療提供体制の確保と、高齢者のみならず、生活上の困難を抱える障害者など、全ての人が安心して自分らしい生活を送ることができる社会の実現に向け、次の各施策を進めてまいります。

まず、「災害に強いまちづくりの確立」に向けた取組といたしましては、宮城県が令和3年度末公表予定の津波浸水想定の動向を注視しながら、津波に関する災害対応をはじめとする本市の「地域防災計画」の見直し作業に着手し、誰もが安心して暮らせるまちづくりの実現に向けた災害対応を図ってまいります。

大雨等の自然災害から市民を守り、安全・安心な暮らしを確保するため、雨水排水施設の整備を推進するとともに、建物所有者等が行う止水板設置工事等に係る費用を助成し、浸水被害の軽減を図ってまいります。

また、災害時における迅速かつ安全な避難を可能とするため、引き続き「七窪蛇田線」の整備を推進し、災害に強い道路交通ネットワークの構築を図ってまいります。

原子力災害時における避難計画の実効性を高めるには、災害に強い避難道路の整備が不可欠であることから、原子力災害から住民の身体、財産を守る責務を有する国及び事業主体である県に対し、避難道路の整備をより一層強く求めていくとともに、毎年実施している訓練の検証を繰り返し行うことで、避難計画の継続的な改善を図り、実効性の更なる向上に繋げてまいりたいと考えております。

また、消防団員確保や団員数の減少は、各地域における防災力の維持向上には大変重要な課題であることから、本年度より消防団員の報酬などの見直しを行い、処遇改善を図っていくほか、道路交通法の改正に伴い、消防団車両の運転に必要となる準中型自動車免許取得に係る費用を助成し、若年層の消防団員確保に向けた取組を進めてまいります。

次に、「市民の健康・命を守る医療体制の充実」に向けた取組といたしましては、休日、夜間の初期医療体制を確保するとともに、救急患者搬送機関及び病院群輪番制病院との円滑な連携のもと、重篤な救急症例に対する高度な医療提供体制の確保に努めてまいります。

市立病院におきましては、東北大学病院及び東北医科薬科大学病院との更なる連携を図り、医療の充実に努めてまいります。

また、新型コロナウイルス感染症への対応として、より感染力の強い変異株の出現による急速な感染拡大に備え、PCR検査を行う石巻市地域外来・検査センターの運営を継続し、圏域の検査体制の充実を図っていくほか、ワクチンの追加接種を集団・個別接種の併用により順次実施してまいります。

次に、「介護従事者の働く環境整備と人材育成の強化」に向けた取組といたしまして、介護従事者の処遇改善、労働環境整備について、国への要望を継続して行ってまいります。

また、質の高い介護人材の確保に繋がるよう介護に対する意識の醸成、重要性を普及啓発するとともに、介護事業所に勤務する職員を対象とした出前講座を開催するなど、介護人材の育成と強化を図ってまいります。

次に、「地域共生社会の実現」に向けた取組といたしましては、全ての市民が、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、「地域包括ケア」を推進し、在宅医療と介護の一体的な提供に向けた、医療・介護関係者の研修、情報共有支援等を通じた連携体制の強化を図るほか、身近な地域において高齢者、障害者、子どもなどを対象に行う日常生活上の助け合い活動に対する支援を行ってまいります。

また、行政や社会福祉協議会をはじめとした関係団体の横断的な連携を推進するとともに、地域住民の身近な相談役である民生委員・児童委員の負担を軽減するため、必要に応じて活動をサポートする、民生委員協力員制度を新たに創設し、住民同士が助け合い、支え合うことができる体制づくりを進めてまいります。

さらに、障害者の自立と社会参加への支援を行うとともに、障害者の日常生活や社会生活への理解を深めるため、市民を対象とした研修等の開催を通して広く啓発し、誰もが認め合い、支え合いながら、安心して暮らせる障害福祉の充実を図ってまいります。

また、障害の有無にかかわらず、誰もが安心して暮らせる共生のまちづくりを推進するため、石巻駅前広場のバリアフリー化工事を進めてまいります。

3.人口減少対策と地域コミュニティの強化

三つ目は、「人口減少対策と地域コミュニティの強化」についてであります。

人口減少を緩和するためには、若い世代の定住に向けた総合的な支援のほか、積極的な移住促進策を行っていく必要があります。

また、超高齢社会を迎え、地域住民同士の繋がりや支え合いが、今後ますます重要となることから、次の各施策を進めてまいります。

まず、「結婚から妊娠、出産、子育てまでの切れ目のない支援」といたしましては、結婚を希望する独身者への出会いの場の提供や、新しく結婚生活を開始する若者世帯に対する支援を行い、未婚・晩婚化の抑制及び本市への定住者の増加を促進してまいります。

妊娠期から出産後の不安定な時期に、一人で問題を抱え、孤立する親の増加が社会的な問題となっている点に鑑み、育児ヘルパーによる家事・育児支援や助産師による専門性を活かした相談会の開催など、安心して子供を産み育てられる環境づくりを一層進めてまいります。

また、子育て応援アプリ「ISHIMO」により、健康診断や予防接種、イベント情報等をリアルタイムで配信し、子育て世帯をサポートしてまいります。

就労形態の多様化等に対応した保育環境の充実を図るため、保育施設での一時預かりや延長保育を継続して実施するほか、休日及び夜間保育の実施に向けた準備、検討を進めてまいります。

また、共働き世帯や核家族世帯の増加に伴い、放課後児童クラブの利用を希望する児童数は、今後も増加することが見込まれることから、必要な地区に新たな施設を開設するとともに、開設時間の延長や学習支援など、多様な利用者ニーズに対応するため、クラブ運営の民間委託を推進してまいります。

子ども医療費につきましては、18歳到達年度の末日まで自己負担額を無料化し、子育て世代の経済的負担軽減を図ってまいります。

次に、「教育環境の充実」に向けた取組といたしましては、子供たちの豊かな成長を支える「地域とともにある学校づくり」の実現に向け、本年度、新たに8校を加えた計18校に「コミュニティ・スクール」を導入し、学校運営に地域の声を積極的に反映することで、地域と一体となった特色ある学校づくりを進めてまいります。

また、市内の全小・中学校において、年2回の標準学力調査を活用した学力向上のためのPDCAサイクルを確立し、各学校や学年ごとの課題に対応した指導計画の作成と計画に沿った指導を展開することで、子供たち一人一人の学力の向上を図ってまいります。

さらに、GIGAスクール構想に基づき整備したタブレット端末を活用し、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、個別最適な学びの実現を図っていくとともに、タブレット端末の教育的効果を最大限発揮するため、授業で使用する電子黒板の拡充整備や、児童生徒が家庭で自学自習ができるようタブレットドリルの導入を推進するなど、より深い学びが展開される授業づくりに努めてまいります。

また、「学校施設整備保全計画」に基づき、校舎、体育館、プールの改良及び改築工事等を進めるとともに、学校給食を通じた食育の推進や、保護者との連携による生活習慣の確立に向けた啓発などに取り組みながら、体力や運動能力の向上が図られるよう、教育活動全体の環境づくりに努めてまいります。

次に、「移住促進と関係人口の創出」に向けた取組といたしましては、移住相談窓口を通じた積極的な情報発信や移住希望者に対する的確なサポートを行うほか、移住体験機会の提供や、居住環境の整備に対する支援を行ってまいります。

また、都市部の若者等が本市に一定期間滞在し、働きながら地方での暮らしを体験できる、「ふるさとワーキングホリデー事業」を新たに実施し、本市の魅力を体感いただくとともに、関係人口の増加に繋げてまいります。

次に、「持続可能な公共交通ネットワークの整備」に向けた取組といたしましては、地域住民の日常生活の移動手段である公共交通の維持や利便性の向上、運行経費の縮減など、地域の特性を勘案した効率的な路線再編事業に取り組むとともに、持続可能な公共交通ネットワークの整備を目指し、今年3月策定予定の総合交通計画に基づく各種施策を推進してまいります。

特に、高齢化率の高い半島沿岸地域につきましては、高齢者による運転免許証の自主返納が促進される中、通院、買い物等の日常生活を送る上で、交通手段の確保が必要不可欠であることから、高齢者が地域に安心して住み続けられる環境を確保するため、「コミュニティカーシェアリング」の活用なども含め、事業者や関係団体との連携を図りながら対策を講じてまいります。

次に、「地域コミュニティの充実と強化」に向けた取組といたしましては、地域コミュニティの基礎となる自治会において、少子高齢化の進展や、価値観の多様化、ライフスタイルの変化などにより、地域の繋がりの希薄化が進んでおり、未加入者も増えておりますことから、自治会への加入促進に向けた取組を、各自治会と連携して進めてまいります。

また、地域住民による地域課題の解決を目指し地域自治システムの推進を行ってまいりましたが、事業の趣旨を継承した上で「ずっと住みたい地域づくり支援事業」に名称を改め、地域住民の力や知恵を生かした住民満足度の高い地域社会づくりを目指し、各地区の町内会長連絡協議会や区長会等をベースに意識醸成を図りながら、住民自治組織の設立に向けた支援を行い、市民の皆さまがずっと住みたい地域づくりを進めてまいります。

さらに、地域コミュニティ形成の場となる集会所につきましては、市民と協働のまちづくりを推進する上で重要な施設でありますことから、自治会長などを対象に実施いたしました調査結果を基に、実態に即した補助金交付制度の見直しを行ってまいります。

4.産業の発展と雇用創出

四つ目は、「産業の発展と雇用創出」についてであります。

本市の産業構造は、第1次産業から第3次産業までバランスよく集積されていることが特色でありますが、少子高齢化に伴い、第1次産業の担い手不足は特に顕著であり、東日本大震災の影響により失った販路の回復など、様々な課題への対応が必要となっております。

また、若者の定住促進には、安定した雇用の確保も重要であることから、次の各施策を進めてまいります。

まず、「地場産業の支援と高度化」に向けた取組といたしましては、地域資源を活用した新商品の開発や販路の拡大、地域ブランド力の向上を推進するため、「6次産業化・地産地消推進センター」において、農林漁業者と第2次、第3次産業事業者が、ネットワークを形成して取り組む商品開発や、新ブランド確立に向けた調査、研究を支援し、地場産業の底上げと地域資源の高付加価値化を図ってまいります。

また、水揚げ量を確保し、本市水産業の基盤を安定的なものとするため、ギネス世界記録に認定された「最も長い魚市場」を積極的にPRしながら、関係団体との協同による漁船誘致活動を、私自らが先頭に立って、より一層推進してまいります。

さらに、民間企業が行う国際社会に通用する衛生認証の取得など、石巻産水産物の販路拡大に向けた取組を支援してまいります。

雄勝地区の伝統工芸品である「雄勝硯」の継承と生産基盤の強化を図るため、雄勝硯生産販売協同組合が行う販路開拓や後継者の育成等の取組を支援するほか、建築資材や美術品、工芸品としての雄勝石の魅力を広く発信してまいります。

次に、「1次産業における担い手の育成」に向けた取組といたしましては、従事者の高齢化や後継者不足等により、担い手の確保が喫緊の課題となっていることから、移住希望者や若者に対して1次産業の魅力を発信し、新たな担い手の確保に努めてまいります。

農業分野におきましては、農業経営体の経営体制や技術の高度化による受け入れ体制の充実を図っていくほか、農業担い手センターを活用した農業体験プログラムの提供をはじめ、新規就農者が営農開始時に必要となる経費の一部を支援してまいります。

また、漁業分野におきましては、漁業関連団体が行う求人活動や研修会の開催支援を行うほか、漁業担い手センターを活用した就業機会の提供をはじめ、資格取得や独立に対する支援を行ってまいります。

次に、「企業立地の促進」に向けた取組といたしましては、本市の助成制度及び優遇制度を活用し、県内外企業への積極的な誘致活動を展開するとともに、様々な企業ニーズに対応するため、桃生地区など、内陸部における産業団地の形成に向けた適地調査を実施してまいります。

また、金融機関や経済団体等と連携し、創業希望者を対象とした無料の経営相談や各種セミナーを開催するほか、創業間もない方々に対する新商品等の販売やPR機会の提供など、より総合的な支援を行っていくことで新規創業を促進し、地域産業の更なる活性化と雇用の創出に繋げてまいります。

次に、「全世代の就労対策と支援」に向けた取組といたしましては、国及び県と連携し、就労を希望する全ての方を対象とした出張相談会や合同企業説明会を開催するほか、高校3年生を対象とした企業見学会等を開催し、若者の地元定着を促進してまいります。

また、高齢者が、健康で、働く意欲と能力がある限り年齢にかかわりなく活躍することができる「生涯現役社会」の実現を目指し、先月設置した「高齢者仕事掘り起こし会議」において、関係機関等との連携を図りながら、意欲ある高齢者の掘り起こしと働く場の確保に向けた、調査、検討を進めてまいります。

5.物流拠点の形成と新たな観光の構築

五つ目は、「物流拠点の形成と新たな観光の構築」についてであります。

道路網や港湾をはじめとした社会インフラの強化は、新たな企業の進出をはじめ、既存企業の競争力強化にも繋がるほか、災害発生時における物資輸送など、防災面においても重要な役割を果たします。

また、各地域の特色ある観光資源を様々な形で発信し、市内における新たな観光周遊ルートの構築を図るため、次の各施策を進めてまいります。

まず、「物流機能の強化」に向けた取組といたしましては、海上輸送の拠点となる国際拠点港湾「仙台塩釜港 石巻港区」の機能強化に向けて、官民挙げた要望活動を展開するとともに、石巻港区の利用促進を図るため、港湾管理者等と連携したポートセールスを展開してまいります。

また、「石巻新庄道路」の早期実現及び「国道108号石巻河南道路」の整備促進について、関係自治体とともに国・県への働きかけを進めてまいります。

次に、「新たな観光資源の構築と情報発信の強化」に向けた取組といたしましては、「いしのまき水辺の緑のプロムナード」を、市民の皆さまにもより安全で快適に利用していただくため、市内高校生との協働による施設整備を進めるとともに、官民連携によるイベント等を開催し、観光資源としても積極的に活用してまいります。

また、昨年オープンした「南浜マリーナ」を市民や観光客が海や川の魅力を享受できるマリンレジャーの活動拠点施設として活用するとともに、県内初となる「海の駅」への登録を目指してまいります。

港を活用した観光、交流の促進を図るため、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえつつ、国際拠点港湾「仙台塩釜港 石巻港区」に大型客船等の誘致を推進し、寄港歓迎イベント等を開催してまいります。

また、中心市街地の活性化と連動したまちなか観光拠点として、「中瀬公園」及び「東中瀬橋」の整備を推進するとともに、牡鹿地区を代表する観光施設「御番所公園」内の遊具施設等を更新し、観光客数の増加に繋げてまいります。

環境省が設定した「みちのく潮風トレイル」の更なる利用促進を図るため、関係機関等と連携し、市内各地区の豊かな自然環境と美しい景観を広く発信するとともに、必要な施設整備も検討してまいります。

また、本市をモデルに開発したRPGなどの新たな観光コンテンツや、豊かな自然資源を活かした体験型コンテンツなどの拡充を図るとともに、SNS、PR動画などのデジタル媒体やガイドブック、観光大使など、多様な手法を活用しながら、より効果的な情報発信の強化に努めてまいります。

さらに、映画やドラマのロケ誘致に向け、せんだい・宮城フィルムコミッション等と連携したPR活動を行ってまいります。

6.広域連携体制の強化

六つ目は、「広域連携体制の強化」についてであります。

全国的な人口減少や少子高齢化が進む中、広域自治体が相互に役割を分担し、連携・協力することで、圏域全体として必要な生活機能等の確保を図り、定住人口の維持と地域の活性化に繋げていくため、次の各施策を進めてまいります。

まず、「定住自立圏構想の実現」に向けた取組といたしましては、東日本大震災からの復興を最優先とするため、震災後中断していた協議を、東松島市、女川町合意のもと、昨年12月に再開したことから、引き続き、石巻圏域定住自立圏の形成を推進するとともに、「石巻圏域定住自立圏共生ビジョン」の策定を進めてまいります。

次に、「広域観光の推進」に向けた取組といたしましては、2市1町で構成する一般社団法人石巻圏観光推進機構との連携、協力体制を一層強化し、多彩な地域資源を活用した新たな観光周遊ルートの開発等による旅行商品の充実を図り、石巻圏域への観光客誘致に繋げてまいります。

また、女川町と連携し、「仙石東北ライン」の女川駅までの増便要望を継続して行ってまいります。

予算編成

次に、予算編成について申し上げます。

令和4年度当初予算編成に当たりましては、「持続可能な財政基盤の確立」を図ることを基本方針とし、「復興予算から通常予算への転換」、「歳入に見合った予算編成」、「事務事業の検証と見直しの徹底」の3つの方針を掲げ、限られた財源を有効活用し、中長期的な視点から身の丈にあった予算編成を行うことといたしました。

この結果、令和4年度予算は、

一般会計で、729億円、

水産物地方卸売市場事業特別会計をはじめとする5特別会計で、333億円、

病院事業会計で、60億円、

下水道事業会計で、124億円、

全会計の総額で、1,246億円でございます。

本市の財政状況につきましては、人口減少や新型コロナウイルス感染症の影響により、歳入の根幹をなす市税の減少が見込まれるとともに、地方交付税は、今後、大幅な増加は見込めない状況にあります。

歳出におきましては、扶助費などの社会保障費に加え、新たな公共施設の維持管理経費の増加が見込まれております。

将来を見据え、安定かつ健全な財政運営が行えるよう、市税などの自主財源の規模に見合った予算編成を進め、持続可能な財政運営に努めてまいりたいと考えております。


なお、財源確保に向けた取組といたしまして、全国各地の皆さまから寄せられる本市のふるさと納税「がんばる石巻応援寄附金」の更なる増加を目指し、石巻観光協会や地元企業、生産者等と連携を図りながら、地場産品を活かした魅力ある返礼品の充実や、効果的な情報発信に努めてまいります。

組織機構の見直しにつきましては、これまでも直面する行政課題に対応し、柔軟な改編に取り組んでまいりましたが、復旧・復興事業の収束と急速に進む人口減少等の行政課題に対応した、効率的・効果的な組織体制への転換が求められます。

このため、震災からの復興により肥大化した組織のスリム化と、地方創生への対応など、本市の将来を見据えた組織への改編を行うとともに、職員の人材育成と組織内部のチェック機能の向上を図ってまいります。

以上が令和4年度に臨む私の基本姿勢と令和4年度の予算案であります。

むすび

 2022年の幕開けと合わせ、石巻南浜津波復興祈念公園において、約720発の花火が、石巻の冬の夜空を彩りました。「希望の花火」と名付けられたこの花火は、世界中の皆さまから頂いた復興支援への感謝と新型コロナウイルス感染症の一日も早い収束などを願い、市民有志の皆さまが企画し、打ち上げたものであり、当日ライブ配信された動画を通して、多くの方々にも御覧いただいたと伺っております。
 
東日本大震災から間もなく11年、今もなお、全国の自治体の皆さまをはじめ、多くの皆さまから継続した御支援を頂いております。

復興完結は、私の使命であり、市民の皆さま、そして、これまで温かい御支援をくださった多くの皆さまの願いでもあると思います。

世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスは、私たちの平穏な日常を奪い、今も多くの方々の不安は解消されておりません。

しかし、この苦難を乗り越えた先には、必ず、希望に満ちた明るい未来が待っているはずです。

「明けない夜はない」そう信じて、皆さまとともにこの苦難を乗り越えてまいりたいと思います。

石巻の豊かな自然、食、日和山から見る風景、世界一の魚市場、そして市民(ひと)、私が生まれ育った「この故郷(まち)」の全てが、私の誇りです。

この「誇れるいしのまき」を、次の世代にもしっかりと継承していくため、引き続き、全力で市政運営に取り組んでまいります。

結びに、市民の皆さまのお力添えと議員各位のより一層の御理解、御協力を賜りますよう衷心よりお願い申し上げまして、令和4年度の施政方針といたします。

 

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部署名:復興企画部 政策企画課
電話番号:0225-95-1111

企画調整担当
政策推進担当