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令和3年度施政方針

更新日:2021年2月24日

はじめに

令和3年「石巻市議会第1回定例会」に「令和3年度各種会計予算並びに諸案件」を提案するにあたり、市政運営に取り組む所信の一端と施策の大要について御説明申し上げます。

はじめに、あの未曾有の被害をもたらした東日本大震災から間もなく10年を迎えようとしております。いまだに多くの市民の皆様が津波被害による深い傷跡と悲しみの記憶を残しており、最愛の御家族を亡くされた御遺族の皆様の悲しみは、言葉では言い尽くせないものとお察し申し上げます。
改めまして、震災でお亡くなりになられた方々の御霊に謹んで哀悼の誠を捧げますとともに、御遺族の皆様に心からお悔みを申し上げます。これからも私たちは、失われた多くの命を思い、震災の教訓を生かすための努力をしてまいります。

さて、平成21年4月、市長に就任して以来、「市民が豊かな自然環境の中で、このまちに住むことに誇りを持ち、健康で楽しい、充実した人生を送ることのできる舞台づくり」を使命とし、生活者の視点に立ち、清新で公正、そして透明性の高い施政方針を基本として、協働のまちづくりを推進する「地域自治システムの構築」や、魅力あふれる定住自立圏の形成を目的とする「定住自立圏構想の推進」、災害に強いまちづくりと賑わいを創出する「水辺の緑のプロムナード構想」、そして農林水産業の活性化に資する「地産地消・6次産業化の推進」などに取り組んでまいりました。

しかし、平成23年3月11日に発生した東日本大震災により状況は一変しました。多くの市民の生命と財産が一瞬にして奪われた、あの悲惨な光景を目の当たりにしたとき、その思いを「ふるさと石巻の復興」へと一新し、「市民の皆様の元気な笑顔を取り戻し、未来につなぐまちづくり」を目指し、復旧・復興の完結に向け、一心不乱に邁進してまいりました。

平成23年12月に策定した震災復興基本計画においては、津波減災を意識し、多重防御と高台移転を基本に整備を進め、市民の命を守り、二度と津波犠牲者を出さないまちづくりとともに、これまで住み慣れた住宅が被災し、多くの市民の方々が仮住まいを余儀なくされたことから、生活再建に向けた恒久的な居住環境の確保を最優先課題とし、新市街地及び半島沿岸部の防災集団移転促進事業をはじめ、既成市街地の復興土地区画整理事業及び復興公営住宅の整備を進めてまいりました。

東日本大震災後のまちづくりの基本的考え方として、「災害に強く安全・安心でコンパクトなまちづくり」を目指し、市街地部では、石巻駅周辺の防災機能を高めるため、市立病院、防災センター、ささえあいセンター等を集約した津波復興拠点整備事業の推進とともに、中心市街地に賑わいの創出と交流拠点となるかわまち交流拠点整備事業を進めてまいりました。

半島沿岸部では、雄勝、北上、牡鹿地区の再生と賑わいを取り戻すため、各エリアにおいて、行政機能や観光交流機能等の公共施設等を集約する拠点エリア整備事業を進めてまいりました。

東日本大震災からの復興について、国においては、地震・津波被災地域は復興の総仕上げの段階とし、令和3年度以降の10年間を第2期復興・創生期間と位置づけ、復興庁の設置期間延長、規制の特例の対象地域の重点化等の対応を行っており、宮城県においても、「新・宮城の将来ビジョン」の初年度を迎えるにあたり、被災地域の実情を踏まえ、復興の完遂に向けたきめ細かなサポートに取り組むとしております。

本市では、本年4月が市長改選期にあたります。また、これまで復興の道標としてきた震災復興基本計画の計画期間が終了し、現在、本市の最上位計画となる第2次総合計画基本計画を策定中でありますことから、これまで取り組んできた施策と既に方針を明らかにしている施策を申し述べることとし、「新型コロナウイルス感染症への対応」、「復興完結と震災伝承」、「人口減少対策」、「SDGsの推進」の4つの項目に整理し、その概要を述べさせていただきます。

新型コロナウイルス感染症への対応

「新型コロナウイルス感染症への対応」についてでありますが、日本全国で新型コロナウイルスが猛威を振るい、本市におきましても、地域経済や市民の生活が深刻な影響を受けております。国においては、新型コロナウイルス感染症の影響拡大を受け、経済あっての財政という考えの下、昨年7月に「経済財政運営と改革の基本方針2020(骨太方針2020)」を定め、さらに12月には、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図るとして、「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」を閣議決定したほか、宮城県では、県民の命を守ることを最優先とした上で、アフターコロナにおける時代の変化を捉えた取組を加速化させ、経済の再生や雇用の維持とともにデジタル化や新たな地方創生の取組を推進するとしております。現時点においては、感染症の収束が見通せない状況でありますので、市民の皆様が安心して生活を送ることができるように、感染拡大の防止とともに、診療体制の強化につなげるため、検査体制の充実を図ってまいります。

また、ワクチン接種については、1月14日付けで新型コロナウイルスワクチン接種対策室を設置したところであり、国・県からの情報が入り次第、接種に向けた迅速な対応ができるよう、接種体制の整備に万全を期してまいります。

落ち込んだ地域経済への対応については、先行きの見通せない事業者の経営状況等を見極めながら、必要な支援策を講じるほか、販路拡大につながる取組や雇用促進に対する支援を行います。また、コロナ禍による廃業や解雇等による経済的困窮に陥る世帯への対応については、質の高い支援の実施に努めてまいります。

復興完結と震災伝承

「復興完結と震災伝承」についてでありますが、震災からの復興に際し、安全・安心な生活環境を一日も早く整えるため、未完了のインフラ整備の早期完成を目指してまいります。

被災者の心身のケア及びコミュニティ形成等については、一人一人の状況に応じた、きめ細かな支援を継続して行ってまいります。

震災伝承については、震災の教訓を生かし、災害発生時に児童生徒が自らの命を守るために、適切な判断や行動ができるよう、実践的な避難訓練を通じて主体的に行動する能力を育成する防災教育を推進するとともに、震災遺構の門脇小学校及び大川小学校の整備が完了することから、地域や語り部と連携を図りながら、震災の事実と教訓を伝承してまいります。

人口減少対策

「人口減少対策」についてでありますが、安定した雇用の創出については、地域産業の経営力の強化に取り組むとともに、担い手不足の解消に向けた人材確保のための支援を行ってまいります。

 移住・定住の推進については、関係人口から移住者へつながる取組を推進するとともに、地域への愛着を育む取組や専門人材の育成、雇用創出につながる企業誘致を推進してまいります。また、交流人口の拡大に向けては、1年延期となった東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向け、復興ありがとうホストタウンとして、チュニジア共和国との交流を推進するほか、第40回全国豊かな海づくり大会についても、成功に向けて取り組んでまいります。

結婚・妊娠・出産・子育ての切れ目のない支援については、若い世代の経済基盤の不安定解消や、家庭内で支え合うライフスタイルの形成に向けた取組を推進してまいります。

SDGsの推進

「SDGsの推進」についてでありますが、本市がSDGsを原動力とした地方創生の推進を図ることで、未来都市石巻の実現を目指してまいります。今後10年間で「2030年のあるべき姿」を実現し、未曽有の大震災からの復興とその後の更なる飛躍を果たすためには、震災に起因する人口減少・少子高齢化の加速化等の課題解決に早急に取り組む必要があり、新産業の創出による地域経済の活性化や、環境に優しい新たな移動手段の構築により、高齢者の孤立防止や外出機会の創出を図るモデル事業に取り組んでまいります。

具体的な取組としては、公共交通と地域カーシェアリングを結びつける地域交通情報アプリケーション(ローカル版MaaS)を活用し、電動により時速20km未満で公道を走るグリーンスローモビリティを地域の支え合いによる新たな交通手段として活用してまいります。また、使われなくなったハイブリッド自動車の基幹ユニットを回収し、電気自動車等として再製品化するハイブリッドリユース事業を展開し、次世代対応型モビリティとして、資源の有効利用の促進及び温室効果ガスの排出抑制に寄与することで、本市を電気自動車の普及推進を図る都市として世界にアピールしてまいります。

予算編成等

次に、予算編成について申し上げます。

令和3年度は、震災復興基本計画の計画期間の終了に伴い、通常時の予算規模への転換を図ることを基本に、今後の厳しい財政状況を見据え、前年度決算額を基準とした、歳入予算に見合った歳出予算とする予算編成を実施いたしました。また、本年4月が市長改選期にあたるため、新規の政策的経費については、基本的に当初予算への計上を留保し、補正予算で対応することとしております。

この結果、令和3年度予算は、一般会計で749億円、土地取得特別会計をはじめとする6特別会計で337億円、下水道事業会計で141億円、病院事業会計で61億円、全会計の総額で1,288億円でございます。

なお、本市の財政状況につきましては、人口減少や新型コロナウイルス感染症の影響により、歳入の根幹をなす市税や地方交付税の減少が見込まれ、歳出においては、扶助費などの社会保障費に加え、新たな公共施設の維持管理経費の増加も見込まれております。

今後も、安定した財政運営が行えるよう、市税などの自主財源の規模に見合った予算編成を進め、安定、かつ持続可能な財政運営に努めてまいりたいと考えております。

組織機構の見直しにつきましては、これまでも様々な行政課題に対応するため、柔軟な改編に取り組んでまいりましたが、復旧・復興事業の進捗に合わせた効率的な組織体制や、復興後の地域の発展を見据えた新たな行政課題への対応を図る必要があります。このため、半島沿岸地区の拠点整備の完了など、復興事業の進捗に伴う事業量の変化に対応した組織の改編を行ってまいります。また、行政のデジタル化の集中改革を推進するための組織を確立してまいります。

以上が令和3年度に臨む私の基本姿勢と令和3年度の予算案であります。

むすび

間もなく震災から10年を迎えます。復興も総仕上げの段階となり、完結までは後一歩となりました。今年3月には、東日本大震災で犠牲になったすべての生命に対する追悼と鎮魂の場となる石巻南浜津波復興祈念公園が開園するとともに、本年4月には、本市の文化芸術活動の拠点となる複合文化施設「マルホンまきあーとテラス」が開館し、これまでの復興に向けた取組が着実に形になってまいります。

今日まで着実に歩みを進めて来られたのは、全国の自治体職員の皆様をはじめ、国、県、企業、ボランティア、更には世界の国々の方々から頂戴した御支援の賜物であり、ここに改めて感謝申し上げます。

本市の復興後のまちづくりを考えたとき、持続可能で活力あるまちとするためには、地方創生への更なる推進が必要であり、新たな時代のまちづくりに向けて踏み出してまいりたいと考えております。昨年7月にSDGs未来都市及び県内で初めてとなる自治体SDGsモデル事業に選定されたことは、大きな成果であり、将来を見据えた持続可能なまちづくりの一歩を踏み出したものと実感しております。

私の施政方針としては、今回が最後となります。市民の皆様、そして議員各位におかれましては、これまでの3期12年間、市政運営に多大なる御協力をいただきましたことに対し、心より感謝申し上げますとともに、残された任期につきましても、石巻市の持続的発展に向けて全力を傾注してまいります。

結びに、市民の皆様のお力添えと議員各位のより一層の御理解、御協力をお願い申し上げまして、令和3年度の施政方針といたします。

 

このページへの問い合わせ

部署名:復興企画部 政策企画課
電話番号:0225-95-1111

企画調整担当
政策推進担当