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平成29年度施政方針

更新日:2017年2月21日

はじめに

 平成29年「石巻市議会第1回定例会」に「平成29年度各種会計予算案並びに諸案件」を提案するに当たり、市政運営に取り組む所信の一端と施策の大要について御説明申し上げます。

 

 平成21年4月に石巻市長に就任し、平成25年4月に改めて多くの市民の皆さまから負託をいただき、間もなく2期8年が過ぎようとしています。

 平成25年市議会第2回定例会での所信表明において、私は、市民の皆様とともに、復興事業を進め、創造性と可能性にあふれた新しい石巻市をつくりあげると申し上げ、「市民生活の復興」、「災害に強いまちづくり」、「産業の再生と雇用の確保」、「市民主体による創造的なまちづくり」の四つの柱を基本姿勢として、万里一空の思いで市政運営に当たってまいりました。

 この間、被災された方々の住まいの再建や生業の確保を最優先に進めてきたほか、医療・福祉、公共交通インフラ、消防防災施設、水産振興の拠点施設の整備、更にはコミュニティの再生など一歩一歩ではありますが、着実に前に進めてまいりました。

 

 さて、東日本大震災から早や6年が経過しようとしております。各種復旧・復興事業が進む一方で、いまだに多くの方々が、仮設住宅等での生活を余儀なくされている現状を踏まえ、一日も早い自立再建に踏み出していただくことが最大の課題と捉え取り組んでまいります。

 さらに、恒久住宅等への移行後の孤立防止といった復興の進展に伴う新たな課題にも対応してまいります。

 震災により著しく人口が減少している半島沿岸部につきましては、総合支所を核としたエリアに、行政、商工、観光機能を集約したコンパクトシティ化を進めるとともに、公共交通や地域包括ケアのネットワークを形成し、新たなにぎわい交流の拠点形成に進取果敢に取り組む決意であります。

 また、内陸部につきましては、地域間の人口移動の状況を考慮しながら必要な生活基盤を整備し、地域コミュニティの形成を図り、市域の均衡ある発展に努めてまいります。

 さらに、震災直後から、全国自治体の皆様や国、県、企業、ボランティアの方々、更には世界中の皆様から心温まる御支援や御協力をいただいていることに、御恩と感謝を決して忘れることなく、強い決意をもって取り組んでまいります。

 

 平成28年度は、復興を更に確かなものにしていく再生期3年目の年として、生活の基礎となる住まいの再建、失われた医療施設等の再構築、産業の再生に向けた基盤づくりなどを確実に進めることができ、目に見えて復興がより実感できた年でもあり、今後の発展期につながる重要な年となりました。   

 具体には、新市街地の土地区画整理事業につきましては、全体で1,401区画のうち、累計1,296区画の宅地を供給しており、あけぼの北、新渡波、新渡波西及び新蛇田地区で宅地の供給を完了しております。

 また、既成市街地の土地区画整理事業につきましては、新門脇、湊東、湊北、下釜第一及び中央一丁目地区において、全体で1,162区画のうち、今年3月までに累計752区画の引き渡しを見込んでおります。

 半島各地区における防災集団移転促進事業につきましては、46地区65団地、1,229区画のうち、今年3月までに累計64団地、917区画の宅地供給を見込んでおります。

 復興公営住宅につきましては、昨年11月に、復興公営住宅事前登録状況及び自立計画届出書における集計結果を踏まえ、供給計画戸数を4,500戸から

 4,700戸に改定し、今年3月までに市街地で、累計3,449戸、半島部で、累計224戸の完成を見込んでおります。

 また、被災された方々の現状と課題に応じた具体的な支援を実施するために、昨年6月に「石巻市被災者自立再建促進プログラム」を策定し、仮設住宅の解消に向けた様々な課題に対応できる体制を構築し、きめ細やかな支援を実施しているところであります。

 市民の健康維持のために不可欠な医療施設等の整備につきましては、昨年9月に石巻市立病院を開院し、また、昨年12月に夜間急患センターを開設したほか、先月には、雄勝地域住民が安心して医療が受けられるように、雄勝診療所を開所いたしました。

 被災企業の移転先として整備を進めておりました産業用地につきましては、昨年6月に須江地区が、また、昨年12月には不動町地区がそれぞれ全面供用を開始したところであり、産業活動の早期回復と安定した雇用の確保に向け、順次土地の引渡しを行ってまいります。

 水産業の振興につきましては、市の管理漁港34漁港全てにおいて復旧工事に着手、うち7漁港の工事が完了し、本市の基幹産業である水産業の復興に向けて、更に前進したところであります。

 北上地区において取り組んでおりました、次世代施設園芸導入加速化支援事業につきましては、昨年8月に施設整備が完了し、トマトやパプリカが出荷されるとともに、施設の稼動に伴う雇用創出が図られました。

 

 国の地方創生の取り組みにつきましては、地方の「平均所得の向上」を目指すため、ローカル・アベノミクスの一層の推進、東京への一極集中の是正、ライフスタイルの見つめ直しなど、地方創生の更なる深化に向けた政策の推進に取り組むこととしております。

 本市においては、「石巻市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に位置づけした各種事業を着実に進めるとともに、進捗の検証と改善を行っていくPDCAサイクルを確立してまいります。

 また、人材の育成と安定した雇用を創出するとともに、交流人口の拡大に努め、さらには、安心して子育てできる環境整備を図るなど、市民の安心、安全な暮らしを実現してまいります。

 

重点的に取り組む施策

 それでは、平成29年度に取り組む5つの重点施策について述べさせていただきます。 

1 安心して暮らせるまちづくり

 

 まず、一つ目の「安心して暮らせるまちづくり」についてでありますが、被災された方々の生活の基礎となる「住まいの再建」の更なる加速化に向けて、全ての地区で土地区画整理事業や防災集団移転促進事業による宅地供給を進めるとともに、復興公営住宅の建設を一段と加速してまいります。

 また、入居要件緩和に伴う復興公営住宅への入居希望調査を進め、必要整備戸数を精査するとともに、建設場所や整備手法について早急に検討してまいります。

 先ほど申し上げましたとおり、本市における最大の課題は仮設住宅の解消であり、再建先がない方々の最後の受け皿が公営住宅であると捉え、仮設住宅からの移転を促進してまいります。

 しかし、克服すべき困難な課題が山積しており、昨年6月に策定した「石巻市被災者自立再建促進プログラム」を実効あるものとするため、特定延長スケジュールを見据え、全庁を挙げて取り組んでまいります。

 ところで、本市は、固有の歴史・文化や形態をもった多様な“まち”が分散して立地しておりますが、総合支所を拠点としてコンパクトシティ化を進めるとともに、人が集い、人と人とが行き交い、コミュニケーションするまちづくりを進めることで、地域に新たな魅力を創出し、賑わいと活力のある街として生まれ変わるため、これまで以上にまちづくりに最大限の力を注いで取り組んでまいります。

 さらに、あらゆる災害から市民の尊い生命と財産を守るため「災害に強いまちづくり」を推進することが重要であり、東日本大震災を経験した自治体として、その教訓を活かす努力を怠ることなく、災害に強い社会インフラの整備や磐石の消防体制を備えるとともに「自助」、「共助」、「公助」に基づく防災体制の強化を推進してまいります。

 しかし、震災後、市民の皆様の生活環境が大きく変化するとともに、コミュニティの希薄化が進み、安心・安全な暮らしに不安を抱いている市民が多いのが現状であります。新しい地域コミュニティの形成は、住民が助け合って生活を営む基盤であるとともに、災害発生時における重要な役割を果たすものと考えております。コミュニティの再構築や孤立防止といった復興の進展に伴う課題の解決に取り組み、地域の安心・安全な暮らしを保障することが最も大切であると考えております。

 これら、「安心して暮らせるまちづくり」のための施策の展開といたしまして、「市民生活の復興に必要な基盤づくり」、「市民生活に密着した社会インフラの整備」、「市民が安心して生活するための防災対策」の3つの区分を設けて取り組んでまいります。

 

2 産業の再生と人材育成

 二つ目の「産業の再生と人材育成」についてでありますが、産業の再生は、本市の経済基盤を取り戻し、市民生活を支える雇用の創出に繋がる最優先課題であり、復興事業完了後の「まち」が、急激な人口減少社会にあっても、震災前のような地域内でヒト、モノ、カネが還流する「まち」に戻るには、ものづくり産業の早期復興と商業や観光の再生と賑わいづくりが必要であります。

 産業の基盤整備に係る土地区画整理事業や漁港施設等の復旧を加速化させるとともに、先進的技術を活用した新産業の創出や農林水産業の高度化による事業規模の拡大等に取り組んでまいります。

 また、産業を支える根幹は人材の育成であり、特に、第一次産業における担い手は、高齢化が進むとともに、年々減少傾向にあるため、担い手の確保は急務となっています。本市の農林水産業を持続可能な産業として発展させるためには、引き続き担い手育成に対する積極的な支援策等を実施してまいります。

 さらに、後藤新平が亡くなる直前に残した「人を残して死ぬ者は上だ」の名言に学び、創業による新たな雇用の創出等を図る取り組みや支援を積極的に展開し、若者や女性が活躍できるまちを目指して、新たな人材の発掘や育成に努めてまいります。

 「街なか居住」が進み、定住人口が増加している中心市街地では、かわまち交流拠点整備を進めており、震災以前の活力を回復するとともに、新たな価値創造に繋げていきたいと考えております。

 半島部においては、行政、医療、福祉、教育等の機能が集積した拠点エリアの整備により賑わいの再生と観光産業の活性化を推進するとともに、石巻広域圏の2市1町が連携して設立する「(仮称)DMOいしのまき」が主体となって、観光ニーズに基づく様々な地域資源を活かした着地型観光商品の開発を進め、効果的なプロモーションにより交流人口の拡大を図ってまいります。

 これら、「産業の再生と人材育成」のための施策の展開といたしまして、「産業の復興に向けた基盤づくり」、「産業の育成支援と雇用対策」、「観光産業の振興」の3つの区分を設けて取り組んでまいります。

 

3 子育てしやすい環境づくり

 三つ目の「子育てしやすい環境づくり」についてでありますが、本市は、東日本大震災以降、急激な人口減少に直面しており、人口減少対策は危機感を持って取り組まなければならない喫緊の課題であります。

 また、人口減少の要因として若い世代の人口流出が、昭和60年代から続いており、人口減少は、将来の経済規模や生活水準の低下を招くばかりでなく、将来に対する不安につながることから、子育て世代を対象とした環境づくりや施設整備を推進してまいります。

 また、定住や地域外から若い世代の移住を進めるためには、医療や教育環境の整備、定住支援策や雇用の創出が必要であり、多様な主体と連携して効果的な支援を推進してまいります。

 特に、少子化対策や子育て支援策の推進は、「石巻市まち・ひと・しごと創生総合戦略」においても人口減少対策の中心的テーマであり、本格的に少子化に立ち向かうためには、更なる施策の充実が不可欠であります。

 子どもを産み、育てやすい環境の整備は、出生率回復につながる少子化対策として有効な施策であり、結婚から子育てまでにかかわる施策を総合的に展開することが、本市の活力ある未来を切り開くために必要であります。

 これら、「子育てしやすい環境づくり」のための施策の展開といたしまして、「結婚から子育てまでの切れ目のない支援」、「子どもたちの健全な育成のための支援」の2つの区分を設けて取り組んでまいります。

 

4 市民の健康づくりの推進

 

 四つ目の「市民の健康づくりの推進」についてでありますが、市民が心身ともに健康で生活していくためには、生涯にわたる健康づくりを進めることが必要であることから、一人ひとりの健康づくりをみんなで支えるまちづくりを推進し、健康寿命の延伸を目指してまいります。

 市民の健康を後押しする保健政策は、健康な生活を送れるよう支援環境を整えることであり、医療体制や多様な主体による支援体制の充実などを推進してまいります。

 また、健康づくりを推進するため、自らの健康は自らがつくるという意識を啓発し、生活習慣病予防事業を展開してまいります。

 さらに、高齢者等の健康悪化や福祉課題へ対応するため、在宅医療と介護の連携に関する相談体制の構築を図るとともに、地域住民に対する普及啓発や多職種・多機関と連携・協働を図ってまいります。

 これら、「市民の健康づくりの推進」のための施策の展開といたしまして、「市民が健康で暮らせるための施策」、「健康寿命の延伸を目指すための施策」、「地域包括ケアの推進」の3つの区分を設けて取り組んでまいります。

5 絆と協働の共鳴社会づくり

 五つ目の「絆と協働の共鳴社会づくり」についてでありますが、復興を成し遂げ、心豊かに暮らせるまちづくりを進めるためには、市民と行政の協働と連携によるまちづくりが必要であることから、引き続き地域のコミュニティ構築や活性化に向けた支援を進めるとともに、住民主体のコミュニティ活動を進めるため、地域の人材育成に対する支援を行ってまいります。

 また、着実に復興している石巻市を全国、全世界に発信するとともに、地域の活力を取り戻すため、積極的に移住・定住及び交流人口拡大のための事業に取り組んでまいります。

 これら、「絆と協働の共鳴社会づくり」のための施策の展開といたしまして、「地域コミュニティの再生」、「地域の人材育成」、「定住・移住の促進」、「交流人口の拡大」の4つの区分を設けて取り組んでまいります。 

 

 

 以上、五つの柱を中心に施策を進めてまいりますが、更なる復興事業の加速化を図るためには、市民の皆様や各種団体の御協力、御理解が必要不可欠であり、また、マンパワーの確保が急務となっていることから、国・県と連携を深めながら、引き続き全国の自治体等への派遣依頼を積極的に進めてまいりますとともに、本市独自の任期付職員や再任用職員の活用を図りながら確実な復興を目指してまいります。

 

むすび

 

 次に、予算編成について申し上げます。

  平成29年度は、「震災復興基本計画」に掲げる「再生期」の最終年度であり、引き続き復興事業に重点化するため、「発展期へつなぐ復興推進予算」を編成いたしました。

 

  この結果、平成29年度予算は、

 一般会計で1,891億円、

 土地取得特別会計をはじめとする11特別会計で851億円、

 病院事業会計で57億円、

 全会計の総額で2,799億円でございます。

 

 なお、本市の財政運営につきましては、歳入の中心となる市税が、復興事業の進捗など短期的要因により回復する一方で、普通交付税の減少、社会保障関連経費や再建された施設に係る維持管理経費などの諸課題もあることから、財政規律を維持しなければなりません。

 これらのことも含め、平成29年度には、統一的な基準による財務諸表を作成し、予算編成や行政評価に活用することとしています。

 また、市税をはじめとした歳入確保策の一環としまして、平成27年4月のコンビニ収納の導入に続き、本年4月より東北6県のゆうちょ銀行及び郵便局窓口においても納付書での納付ができるようにしてまいります。今後も、納付しやすい環境づくりを推進し、納付される方々の利便性向上を図ってまいります。

 組織機構の見直しにつきましては、「発展期」に向け復興事業を加速するとともに、復興後の地域の発展を見据えた組織体制を確立していく必要があります。

 このため、半島拠点地区の復興事業の加速化に向け、事業推進の強化を図る組織の改編を行ってまいります。

 また、水産基盤整備の強化や復興後の震災伝承施策の推進のほか、地域高規格道路の整備促進を図る組織を確立してまいります。

 以上が平成29年度に臨む私の基本姿勢と平成29年度の予算案であります。

 

 本年度は、再生期4年間の最終年度となり、発展期に向けて重要な局面を迎える年となります。

 震災からの6年間、全国や世界中から物心両面にわたる御支援をいただき、

 開雲見日の思いで、私はこれまで数多くの苦しみと困難を勇気と希望をもって乗り越え、一歩一歩着実に前に進めてまいりました。

 しかし、震災からの復興は道半ばでありますことから、復興事業を加速させるとともに、人口減少など新たに取り組むべき課題を克服するために職員の英知を結集し、全力で市政運営に取り組み、私の責務である震災からの復興を必ず成し遂げる覚悟であります。

 結びに、市民の皆様のお力添えと議員各位のより一層の御理解、御協力を賜りますよう衷心よりお願い申し上げまして、平成29年度の施政方針といたします。

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部署名:復興企画部 政策企画課
電話番号:0225-95-1111

企画調整担当
政策推進担当