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平成27年度施政方針

更新日:2015年2月25日

はじめに

 
 
 平成27年「石巻市議会第1回定例会」に「平成27年度各種会計予算案並びに諸案件」を提案するに当たり、市政運営に取り組む所信の一端と施策の大要について御説明申し上げます。

 

 「歳月人を待たず」と申しますが、東日本大震災からまもなく4年が経過しようとしております。いまだに長く住み慣れた地域を離れて不自由な生活を余儀なくされている方々や、これからの暮らしに不安を抱かれている市民が多い現状を思うと、さらなる復興事業の加速化に向け、千辛万苦をいとわず取り組む決意を新たにする次第であります。

 

 平成26年度は、石巻市震災復興基本計画の「復旧期」から「再生期」へと移行した年であり、「復旧から復興への転換期」として新たな一歩を踏み出す節目の年となりました。
 市民生活の復興の根幹となる住まいの再建といたしまして、昨年9月に戸建型では市内第1号となる復興公営住宅が雄勝地区の桑浜・大須2地区に完成し、11月には、新市街地となる新蛇田地区と新渡波地区で宅地の供給を開始したほか、半島部各地区における防災集団移転促進事業につきましては、市内46地区のうち45地区で着工済みで、今年3月までには、14地区、15団地の111区画が完成し、供給を開始する見込みとなっております。
 復興公営住宅につきましても、3月までに936戸の完成を見込んでおり、また、土地区画整理事業の進展により多くの地区で宅地供給が進み、生活再建の基礎となる「住まいの再建」が本格化する見込みとなっております。
 また、これまでの事前登録の状況を鑑み、復興公営住宅の整備戸数を4,000戸から4,500戸に見直したところであります。
 さらには、石巻市立病院の再建に向けて、昨年10月に移転新築工事に着手し、医療体制の整備に向け1歩を踏み出すことができました。
 また、水産業復興の拠点となる水産物地方卸売市場石巻売場が8月に一部供用を開始したほか、市の管理漁港34漁港のうち33漁港で工事に着手し、本市の基幹産業である水産業の更なる発展に向かって進む体制が整いつつあります。
 一方、教育や子育て施設の復旧につきましては、被災した湊保育所、湊地区放課後児童クラブ、湊幼稚園、総合福祉会館「みなと荘」の複合施設の整備を進めており本年4月の開園に向けて取り組んでおります。
 また、市立女子高等学校と市立女子商業高等学校を統合した市立桜坂高等学校につきましても、本年4月の開校に向けて整備を進めているところであります。
 しかしながら、復旧・復興を進めていく上では、課題も山積し、その道のりは、長く険しいものと覚悟しており、石巻市震災復興基本計画に掲げている、快適で住みやすく、市民の夢や希望を実現する「新しい石巻市」の創造を目指してスピード感を持って取り組んでまいります。
 東日本大震災で未曾有の甚大な被害を受けた石巻市においては、人口減少に拍車が懸かり、地域が消滅する危機に立たされています。本市の昨年11月末現在の人口は、15万人を割り込みました。
 特に半島部の人口減少は深刻な問題であると認識しておりますことから、大きく被災した雄勝、北上、牡鹿地区におきましては、総合支所を中核として観光施設や公益的施設等を集約した拠点整備を進めるとともに、市中心部との連携に不可欠な道路・交通網の整備を図ってまいります。
 また、河北地区を含めた沿岸部各地域の漁港の復旧とともに、低平地の跡地整備による産業基盤の整備を進め、担い手の育成を含めた復旧・復興の加速化を図りながら、人口減少の歯止めに努めてまいります。
 一方、河南・桃生地区等の内陸部においては人口増加が進んでおりますことから、それに対応した基盤整備とともに、コミュニティの再構築を進めながら、市内の均衡ある発展に努めてまいる所存であります。
 さらに、離島につきましては、新造船の検討など航路環境の改善や医療体制の支援を引き続き実施するとともに、島の資源の利活用による定住促進や交流人口の拡大に取り組んでまいります。
 なお、少子化や人口減少問題は、本市の将来に暗雲低迷を懸念させる深刻な課題であり、まさに、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が掲げる人口減少と地域経済縮小の克服に一体的に取り組むことが必要であります。
 この課題の解決には長期間を要すると思いますが、市民の皆様、市議会議員の皆様、そして全職員が一丸となり英知を結集して人口減少克服と地方創生に取り組んでまいりたいと考えております。

 

 それでは、平成27年度に重点的に取り組む施策の四つの柱について述べさせていただきます。
 まず、四つの柱の一つ目として「市民の暮らしの再生」についてでありますが、何よりもまず、仮設住宅に暮らす皆様の住まいの再興、そして生活基盤の整備が不可欠であり、これまでにも増して、復興の加速化を図ってまいります。
 さらに、単に生活するだけでなく、市民の誰もが安心して暮らしていくためには、医療、介護に不安のない街づくりが必要であります。
 そのため、医療、福祉、行政が集約、連携する中心市街地のコンパクトシティ化を進めるとともに、総合支所を中心とした地域の拠点づくりを進め、交通と地域包括ケアによるネットワーク化を図りながら、住み慣れた地域で住み続けることができ、高齢者を地域全体で支えるまちづくりを推進してまいります。

 

 二つ目の「災害に強い街づくり」についてでありますが、平成26年は、
 2月の91年ぶりの豪雪に加え、豪雨や台風による冠水など市民生活に大きな影響を与えた年でありました。
 これらの災害や東日本大震災、さらには全国各地で発生している大規模災害を教訓として、市民の生命と財産を災害から守り、地域社会の安全・安心な暮らしを取り戻すため、ハード・ソフト両面からの備えある盤石の防災体制を構築し、自助、共助、公助の考えに基づく、災害に強い安全で安心なまちづくりを推進してまいります。

 

 三つ目の「産業の再生と雇用の確保」についてでありますが、今年度は、待望の仙石線の全線復旧や東北本線乗り入れの実現、三陸自動車道4車線化等が実現することから、市内外の人の流れが大きく変わり、交流人口の増加、地域の活性化が期待されるばかりでなく、経済の活性化に向けた大きなチャンスにつながる年であると認識しております。
 このチャンスを逃すことなく、6次産業化の推進による販路回復に向けたブランド力の向上や、産学官が連携して担い手育成事業に取り組むことにより、本市の強みである1次産業の活性化に努めるとともに、若者の定住を促す雇用対策、産業振興、企業誘致を進めるため、昨年以上に行動を起こす年にしたいと考えております。

 

 四つ目の「絆と協働の共鳴社会づくり」についてでありますが、地域コミュニティが崩壊してしまった被災地において、いかに「人のつながり」を取り戻すことができるかが、復興を進めていくための重要な課題であります。
 復興に関わる様々な人々、子どもや子育て世代、働き手世代といった地域のあらゆる世代が連携してコミュニティの構築を進めていく必要がありますことから、地域のコミュニティの活性化や再構築に向けた支援を進めてまいります。
 そして、このコミュニティを基盤として、高齢者が元気に地域社会に参加し、自律的、快活にコミュニティの中で暮らし続けられるまちづくりの実現を目指すとともに、安心して暮らすことのできる地域医療・看護・予防等の態勢を構築していくため、次世代型地域包括ケアシステムを推進してまいります。

 

 以上、四つの柱を中心に進めてまいりますが、事業の確実な推進のためにはマンパワーの確保が不可欠であり、その不足を補うためにも、引き続き全国の自治体、民間企業などからOBを含めた職員の支援を得るとともに、任期付職員の採用や再任用職員の活用を図りながら、復興事業の更なる加速化を目指してまいります。

 一方、復興事業の推進のみならず、少子化への対応や定住の促進については、全国の自治体共通の大きな課題でありますが、東日本大震災の被災地、特に最大の被災地石巻市にとって、将来の安定的な行政運営に危機感をもたらす焦眉の急の課題であります。
 そのため、昨年は定住策や少子化対策のための若手職員による横断的なプロジェクトを立ち上げるとともに、本市がいち早く進めております次世代型地域包括ケアの構築や、かわまちづくりと連動した賑わいと安らぎのある、歩いて暮らせるまちづくりの推進に向け取り組んでまいりました。
 その取り組みが、東北地方の被災地としての先導的なものとして、国の地域活性化のモデルケースに選定されており、かつ、昨年末に改正された地域再生法に基づく地域再生計画の第1号認定を得たところであります。
 国においては、「50年後に1億人程度の人口を維持する」という中長期展望を示し、その実現に向け、地方に仕事、人の流れを生み出し「まち」に活力を取り戻し、人々が安心して生活を営み、子どもを産み育てられる社会環境を作り出すことが急務であることから、まち・ひと・しごとの創生に一体的に取り組むこととしております。
 その取り組みにつきましては、地方自治体が主体的に取り組むことを基本とし、活力あふれる発意をくみ上げ、民間の創意工夫を応援するとされており、本市におきましても、「まち・ひと・しごと創生法」の趣旨に沿った地域産業の強化、雇用の確保、魅力的な地域づくり及び子育てしやすい環境づくりや地域再生計画に位置付けした次世代型地域包括ケアの構築やかわまちづくりと連動した賑わいと安らぎのある、歩いて暮らせるまちづくりの推進など、本市の独自性を取り入れた総合戦略の策定に着手してまいります。

 

重点的に取り組む施策

 

 それでは、平成27年度の主要な施策について申し上げます。
 今年度は、復興を確かなものにしていく再生期2年目の年として、生活再建の基礎となる住まいの再建と市民が健康で明るく暮らすことができる施策を優先的に取り組むこととしております。

 

1 市民の暮らしの再生

 

 初めに一つ目の柱であります「市民の暮らしの再生」のための施策の展開として、「市民生活の復興に必要な基盤づくり」についてでありますが、住宅流失等により家屋に甚大な被害を受けた方々が生活の再建を図るためには早期に住宅用地を確保する必要があることから土地区画整理事業により、良好かつ健全な市街地の整備を加速してまいります。
 新市街地につきましては、新蛇田、新蛇田南、あけぼの北、新渡波、新渡波西地区の整備を進め、平成26年度の2地区に続き、今年度から全ての地区において、350区画を目標に順次宅地供給を開始いたします。
 また、既成市街地につきましては、新門脇、湊東、湊北、下釜第一、中央一丁目地区において、引き続き区画整理事業を進めてまいります。
 さらに、防災集団移転促進事業により、安全な高台や内陸部への移転を推進し、25地区、370区画を目標に宅地供給を進めてまいります。
 また、道路事業を始めとする各種復興事業による用地協力者の方々の移転先として、蛇田地区や渡波地区の新市街地の宅地を提供してまいります。
 復興公営住宅の整備につきましては、全体計画戸数を4,000戸から4,500戸に見直したことから、民間住宅の借上げ公営住宅化の検討など、平成29年度までに全体計画戸数を確保するとともに、今年度につきましては、半島部170戸、市街地1,330戸を目標に、整備を進め、被災された方々への1日も早い住宅の提供を推進してまいります。
 被災された方々の住宅再建につきましては、その支援策として平成25年度より市独自の補助制度を創設し、事業を実施してまいりましたが、建築費の高騰や市外移転に伴う人口流出などの状況を鑑み、支援内容を拡充し、さらなる定住促進を図ってまいります。
 本市の都市拠点である石巻駅周辺につきましては、行政・防災、医療・福祉及び交流の核となる「(仮称)ささえあいセンター」や「(仮称)防災センター」整備のための用地取得を継続し、これらの施設を結ぶ歩行者デッキ等の詳細設計と石巻駅前広場から小川町踏切までの道路拡幅に向け、近隣住民に説明を行いながら詳細設計や測量を進めてまいります。
 また、「いしのまき水辺の緑のプロムナード計画の推進」につきましては、旧北上川沿いの市街地再開発事業や区画整理事業及び国の堤防整備と連携し、市街地、堤防、水辺が一体となった空間として整備し、市民が憩い、来訪者が集い、交流する場として整備を進めてまいります。
 市街地の再開発事業につきましては、中央三丁目1番地区、立町二丁目5番地区、中央一丁目14・15番地区の3地区において、施設建築物の早期完成を目指してまいります。
 まちなか居住を進めている中心部においては、高齢化率が高い地域となっており、高齢者の交流の場や復興住宅等の入居者と地域住民との交流の場として、旧市役所跡地に復興公営住宅と寿楽荘を併設した交流拠点を平成28年度中の供用開始に向け整備を進めてまいります。
 さらに、甚大な被害を受けた雄勝、牡鹿、北上地区にも都市機能及び観光交流機能を集積させた地域拠点として整備を進め、中心市街地と地域包括ケアシステムを含めたネットワークを形成し、地域全体で支えるまちづくりを推進してまいります。
 東日本大震災により被災した雄勝総合支所・北上総合支所及び荻浜支所につきましては、被災地域のまちづくりの核となる施設でありますことから、公民館との複合施設として設計業務等を進めてまいります。
 被災した学校等の教育施設の復旧につきましては、平成24年3月に策定いたしました「石巻市立学校施設災害復旧整備計画」に基づき整備を進めており、移転新築を計画している渡波中学校及び雄勝地区統合小・中学校の整備を進めてまいります。
 また、新市街地が形成されることにより、児童数の増加が見込まれる蛇田小学校につきましては、校舎の増築事業を進めるとともに、その他の学校施設につきましても、児童生徒が安全・安心かつ良好な環境で学習できるよう、老朽化対策事業に取り組んでまいります。
 震災により稼働できなくなった湊給食センター及び渡波給食センターは統合集約し、(仮称)石巻東学校給食センターとして整備を進め、平成28年4月の開設を目指してまいります。

 

 次に「市民生活に密着した社会インフラの整備」についてでありますが、災害等から市民の迅速かつ安全な避難を可能とし、また、物流機能の強化による産業復興を図るためには、「災害に強い道路交通ネットワークの構築」が不可欠であることから、都市計画道路等の整備を引き続き推進してまいります。
 今年度におきましては、「御所入湊線」、「石巻工業港運河線」、「渡波稲井線」、「釜大街道線」、「(仮称)鎮守大橋」の調査設計や用地取得を進めるとともに、早期完成を目指して工事に着手する予定としております。
 「七窪蛇田線」につきましては、中心市街地へのアクセス性の向上及び災害時における避難路、緊急輸送道路としての役割など防災上も重要な路線であることから、事業用地の取得を進めるとともに、一部工事に着手してまいります。
 震災に伴う地盤沈下により排水不良を引き起こしている市街地におきましては、市内18排水区において、既設及び新設のポンプ場の整備を推進してまいります。
 さらには、周辺住民や通勤・通学者の交通の利便性の向上と鉄道を利用した地域の発展を目指し、JR線陸前赤井駅と蛇田駅の間に今年度中の開設に向け、新駅の整備に取り組んでまいります。

 

 次に「市民が健康で暮らすための施策」についてでありますが、医療体制の整備が急務となっている中、平成28年夏頃の市立病院の開院を目指し、建設工事と医療機器等の整備を、開院を見据え計画的に進めるとともに、医師をはじめ看護師等の採用も段階的に行い、開院時に必要とされる人員の確保に努めてまいります。
 夜間急患センターにつきましては、石巻赤十字病院の敷地内に整備を進め、平成28年夏頃の開設を目指してまいります。
 また、昨年、東北地方における医学部設置に係る構想審査会において、再建する石巻市立病院内に「石巻地域医療教育サテライトセンター」の設置を掲げた「東北医科薬科大学」の構想が選定されましたことから、今後は、文部科学省への「東北医科薬科大学」の設置認可申請に向けた協力と、サテライトセンター設置にかかる協議を重ねてまいります。
 仮設住宅等での生活が長期化し、健康面で不安を抱える方が増加していること等から、被災した国民健康保険や介護保険の被保険者に対しまして、昨年度に引き続き一部負担金や利用者負担額の免除を継続してまいります。
 また、子どもに対し適正な医療の機会を確保するとともに、家庭における子育てに係る経済的負担の軽減と子育てしやすい環境づくりを推進するため、子ども医療費の助成を、入院は中学校3年生まで、通院は小学校6年生までを対象に引き続き実施してまいります。
 さらに、長期にわたる仮設住宅での生活や、復興公営住宅等での新たな生活環境に置かれた被災者に対し、関係機関と連携し、健康悪化及び孤立化の予防や心身の健康増進に努めるとともに、地域の健康づくりリーダーの協力を頂き、地域コミュニティ支援を行うほか、商業施設3か所では引き続き「まちの保健室」を開催し、生活習慣病重症化予防と心身の健康づくりを推進してまいります。
 また、被災者の心の問題につきましても、専門機関と連携を図り、うつ予防や自殺予防対策等の心のケアに努めてまいります。
 障害者等への支援策として地域で安心して生活できるよう、緊急時や災害時などのいざという時に、必要な支援や配慮を周囲の人にお願いするためのヘルプカードを作製し、必要とする方に配付するとともに、本カードの普及促進に努めてまいります。

 

 次に「子どもたちの健全な育成のための施策」についてでありますが、石巻市子ども・子育て支援事業計画に基づき、幼児期における質の高い教育・保育を一体的に提供するため、幼保連携型認定こども園を設置するとともに、計画的に保育所の整備を進めてまいります。
 また、待機児童の解消に向けて、小規模保育事業、地域型保育事業に対する支援を行うなど、保育の量的拡充を図ってまいります。
 放課後児童クラブにつきましては、今年度より利用対象児童を現行の小学校4年生までを6年生までに拡大することから、新築や施設改修によりクラブ室の整備を行い、待機児童の解消を図るとともに、保育士や教員等の資格保有者であって宮城県が行う研修を終了した放課後児童クラブ支援員を順次配置し、質の向上にも配慮した運営に努めてまいります。
 就学支援として経済的理由により就学が困難な生徒及び学生に学資を貸与し、有能な人材の育成を図ってきておりますが、今年度から大学等に通う学生に対して、貸与金額の上限額を増額し、より充実した就学の支援を図ってまいります。
 児童虐待問題につきましては、地域や関係機関との連携と情報共有の強化を図りながら、被虐待児童等の早期発見及び適切な支援を行い重症化の防止に努めてまいります。
 震災後の家庭環境の変化もあり、不登校、いじめ、暴力行為、また児童虐待など生徒指導上の問題は複雑化、深刻化し、重大な教育課題となっております。これらの課題解決については、学校の教職員だけではなく専門的な知識、技術をもつスクールソーシャルワーカーを配置し、児童生徒の置かれた様々な環境に対応した支援を行い、問題の解決を図ってまいります。
 また、いじめや不登校などの問題行動や震災後の心のケアに対応するため、スクールカウンセラーを希望する小学校及び全ての中学校、市立高等学校に配置することにより、さらなる教育相談体制の充実を図り、問題行動等の未然防止や震災後のPTSDなどの症状を持つ児童生徒の心の安定に向けた取り組みを進めてまいります。
 東日本大震災により児童生徒等を亡くした御遺族の方々は、今なお心の癒えることのない日々を過ごされております。
 このため、昨年度から宮城県教育委員会と協力して「石巻市震災心の支援室」を設置し、個別訪問や電話、来所による面談等を実施することで、御遺族の心の安定に寄与できるように今年度も引き続きサポートしてまいります。
 通常学級に在籍し支援が必要とされる児童への個別支援と学級全体の指導の充実を図るため、特別支援教育支援員の配置を推進してまいります。

2 災害に強いまちづくり

 

 続きまして二つ目の柱であります「災害に強いまちづくり」のための施策の展開として、「市民が安心して生活するための防災対策」についてでありますが、大規模災害が発生した場合には、共助として地域住民による自主的な防災活動が必要不可欠であることから、自主防災組織の強化として、引き続き防災資機材、防災倉庫設置購入費等の補助を行うとともに、防災士養成講座を開催し地域の防災リーダーを養成するなど、地域における防災力の向上と防災意識の醸成を図ってまいります。
 また、ハザードマップは、「土砂災害」と「津波」の2種類を作成し、災害発生時の円滑かつ迅速な避難を確保するとともに、市民の皆様の更なる防災意識の向上に努めてまいります。
 地域の防災拠点として機能を有する(仮称)石巻東消防署につきましては、新渡波西地区に平成28年8月の運用開始を目指して整備を進めてまいります。
 石巻市総合運動公園につきましては、平常時は緑につつまれた市民の憩いとスポーツ活動による交流の場として、災害時には、市民の避難、救援活動など防災拠点として機能する公園整備を進めてまいります。
 さらに、河川内船舶の市街地流出による被害の極小化、長期係留船問題の解決を図るため「防災マリーナ」の整備を進めてまいります。
 また、市民の避難に欠かせない避難路の整備につきましては、先に申し上げましたとおり、「渡波稲井線」や「石巻工業港運河線」などの整備により、災害に強いネットワークの構築を進めてまいります。
 避難困難地域の住民等や避難が遅れた避難者の身の安全を確保するため、緊急一時的に避難する施設として、本年3月までに12か所の津波避難ビルを指定する予定であり、今後も民間の方々の御協力を得ながら、より多くの津波避難ビルの指定をしてまいります。
 また、「津波避難タワー」につきましても、本年3月に1基目となる大宮町避難タワーが完成するとともに、今年度は、魚町1丁目、3丁目の2地区に完成を予定しており、さらに西浜町に整備を進めているところであります。今後は、湊西地区、大街道南地区、門脇明神地区に整備を進めることとしております。
 湊・渡波地区に整備を行う防災緑地は、多重防御施設として津波の減衰機能を担っておりますことから、市民が安心して住宅再建できるよう、早期完成を目指し、整備を進めてまいります。
 また、避難所に指定されている市立小・中学校16校に太陽光発電設備を整備し、災害時における自立的な電源確保を図ってまいります。
 スマートコミュニティ推進事業につきましては、引き続き企業との連携を図りながら、太陽光発電設備、蓄電池、エネルギーマネジメントシステムの公共施設への設置や、住宅への普及を進めるとともに、それらをネットワークシステムに接続させ、設備の遠隔管理やエネルギー利用の効率化を図り、平常時には環境にやさしく、災害時には灯りと情報が途切れないまちづくりの実現を推進してまいります。
 環境に配慮した災害にも強いまちづくりを加速させるため、太陽光発電、蓄電池などの設置や、水資源循環の促進と災害による断水時の活用のほか、短時間豪雨の緩和に寄与することから、雨水利用タンクの設置に対し支援してまいります。
 なお、地盤沈下による浸水被害の解消は、本市の復興の鍵となるものであり、雨水浸水対策として、雨水排水施設整備を実施し、引き続き「浸水被害の防除」に努めてまいります。
 次に、地域の防災力を高めるためには、学校と地域が連携し、学校の立地状況や地理的条件等を踏まえた避難訓練等を実施し、「自助」「共助」の心を育ててまいります。
 また、震災の経験と教訓を次世代に伝えるため、防災教育の充実を図るとともに、小・中学校用の防災教育副読本等を活用し、児童生徒の災害対応能力の育成を図ってまいります。
 さらには、学校の防災機能をより強化するため、教員を対象とした防災研修を充実させ、教員一人一人と学校組織全体の災害対応能力と意識の高揚を図ってまいります。

3 産業の再生と雇用の確保

 続きまして三つ目の柱であります「産業の再生と雇用の確保」のための施策の展開として、「市民の礎となる産業の復興に向けた基盤づくり」についてでありますが、水産物地方卸売市場石巻売場につきましては、本年8月末の完成を目指すとともに、卸売市場後背地に水産業の振興及び防災上の拠点となる「(仮称)石巻市水産総合振興センター」につきましても、今年度中の完成を目指してまいります。
 また、水産加工排水処理施設や汚水管の本格的な復旧工事を継続的に実施し、本市水産加工団地の復興を目指してまいります。
 なお、牡鹿売場につきましては、製氷冷蔵施設と一体的に整備を進めており、今年度中の本格的な開設を目指して事業に取り組んでまいります。
 漁港施設及び漁港施設用地の復旧につきましては、漁業活動の早期復旧や漁船の安全利用など震災前の機能を回復するよう、漁港利用者の方々と調整を図りながら早期完成を目指し計画的に工事を進めてまいります。
 離半島部で被災した漁業集落につきましては、将来的な土地利用の在り方を検討するため、地域住民との意見交換を行い、漁業生産基盤の整備と合わせて沈下戻しや水路整備を進めてまいります。
 なお、共同利用の漁船及び施設の復旧につきましては、かき処理場等の主要施設はほぼ完了し、全体でも約9割程度まで復旧が進んでおりますが、引き続き、復旧が完了していない共同利用施設に対して、補助金による支援を実施してまいります。
 甚大な被害を受けたアワビなどの地先漁場については、国・県の支援によりアワビの稚貝放流を引き続き実施するとともに、北上川のベッコウシジミの資源回復に向けた、生息状況等の調査活動と種苗放流に対しても支援を行ってまいります。
 今もなお懸念事項となっている放射性物質汚染問題につきましては、他に先駆けてモニタリング体制を整え、基準値を超える水産物を市場に流通させない取り組みを進めており、今後とも、地元業界と連携して更に確実で効率的な検査システムの体制づくりに取り組んでまいります。
 一方、農業の復旧・復興につきましては、営農を再開するまでの所得確保策と営農再開に必要な農業用施設等の復旧を支援し、被災農業者の負担軽減を図るとともに、被災農地の復旧につきましても、国、県と連携しながら、早期の復旧に努めてまいります。
 また、北上地区において取り組んでおります「次世代施設園芸導入加速化支援事業」につきましては、平成28年度からの栽培開始を目指し推進してまいります。
 さらに、本市の地域特性を活かした、地域の宝となる野菜や果実等の新たな特産品の研究開発を行ってまいります。
 畜産業の振興につきましては、「茂洋の子、勝洋」などをはじめとする宮城県基幹種雄牛を活用し、引き続きいしのまき和牛のブランド化を図るとともに、平成29年に開催される全国和牛能力共進会宮城大会に向けて出品する和牛への助成を行い、優良和牛生産地としての地位が確立できるよう取り組んでまいります。
 林業の振興につきましては、森林を適切に整備・保全するため、森林環境保全整備事業等を活用して、引き続き間伐を実施し、良質な木材の生産に努めるとともに、間伐材等の有効活用を図るため、合板等への利用を促進してまいります。
 6次産業化の推進につきましては、昨年創設した「石巻市6次産業化・地産地消推進センター」を中心に、地域資源を活用した新商品の開発や販路拡大、ブランド力向上のため、担い手となる人材育成や事業化支援等を行うとともに、一次産業・二次産業・三次産業がネットワークを形成して取り組むプロジェクトに対して、本市独自の助成制度により、6次産業化及び地産地消の更なる推進を支援してまいります。
 企業誘致及び企業の支援につきましては、国の補助金制度や復興特区制度、本市の「企業立地等促進条例」などを活用し、引き続き企業誘致と被災企業の支援を行うとともに、太陽光発電やバイオマス発電、植物工場などの「新エネルギー等関連産業の集積」及び「マリンバイオマス事業」を推進し、産業の活性化と雇用の確保に努めてまいります。
 雇用対策の取り組みにつきましては、産業政策と一体となって雇用面からの支援を行う事業復興型雇用創出事業の実施やICTスキル習得による若手ICT起業家育成推進事業などを実施し、雇用の創出を図り安心して暮らすことのできる環境を整えてまいります。
 市が保有する情報は、市民・企業等との共有財産であるという理念の下、ホームページ等の公的データのオープンデータ化を可能な限り推進するとともにその活用を促進し、市民生活の向上、企業活動の活性化等を図り、社会経済の発展に寄与するため、市民・企業等に開かれた情報インフラストラクチャーの構築を目指してまいります。
 被災企業の移転に必要な産業用地として、須江地区及び不動町地区の造成工事を進め、今年度中の分譲開始を目指してまいります。
 産業の集積地として、土地区画整理事業を進めております湊西地区に加え、上釜南部と下釜南部地区につきましても、事業に着手してまいります。
 石巻港の後背地を含めた沿岸部においては、産業の活性化や雇用の場の確保が図られることから、防災集団移転促進事業等により取得した土地や公共施設跡地等について、土地の売払処分や貸付を行ってまいります。
 創業支援につきましては、地元経済団体や金融機関、民間事業者等の産業支援関係機関と連携しながら、支援事業に取り組むとともに、本市独自の補助制度により、創業等に要する経費の一部を補助することで創業を促し、産業の活性化及び雇用の確保に努めてまいります。
 本市の造船業は、基幹産業である水産業を支える重要な役割を担っておりますことから、集約等による経営基盤の強化を目的として行う造船施設等の整備に対して、その経費の一部を補助し、造船各社の早期復興を後押ししてまいります。
 「石巻港」につきましては、石巻港及び立地企業の早期復興と安全安心なみなとづくりを推進し、東北唯一の国際拠点港湾「仙台塩釜港石巻港区」として更なる発展を実現するため、港湾機能の強化を促進する整備と必要な予算の確保について、国・県に対する要望活動を継続してまいります。また、港湾利用促進による地域の活性化と観光振興を図るため、大型客船等の寄港誘致活動を継続し、港の振興と賑わいを創出する各種イベントを実施するなど、元気な石巻港を引き続き強くPRしてまいります。
 さらには、人口減少の影響を緩和し、地域の活力を取り戻すためには、交流人口の拡大につながる観光事業の推進を図ることが必要であります。
 中心市街地の賑わいの創出に向けて、中央二丁目地区に石巻の街づくりと一体となった、農林水産物をはじめとする本市の地域資源を提供する観光交流施設の整備を進めてまいります。
 震災により全壊となった金華山休憩所の整備につきましては、今年度内に着手するとともに、雄勝硯伝統産業会館、おしかホエールランドにつきましても、基本設計等を行い、早期完成に努めてまいります。
 観光ボランティア協会を中心とした「学びガイド」につきましては、復旧した施設を最大限に活用いただき、活動が更に広がるよう、より連携を密にしてまいります。
 さらに、風評被害が続く特産品等の販売促進対策として、物産市等の開催や参加に支援を行い、販路確保の促進に努めてまいります。
 一方、サン・ファン・バウティスタ号が月浦を出港してから400年となることに合わせ実施している慶長遣欧使節出帆400年記念事業は、3か年事業の最終年度となりますが、今年度におきましても宮城県等の関係機関と連携を図りながら、イタリア祭等の記念イベントを実施し、石巻の魅力を国内外に発信してまいります。
 また、この記念の年に、宮城県、岩手県、一般社団法人 東北経済連合会とともにミラノ国際博覧会に参加し、被災地から世界への謝意の表明と復興の取組状況の報告、石巻の「食」や「伝統芸能」の魅力のPR等を行ってまいります。
 南三陸金華山国定公園に指定されていた本市を含めた沿岸地域が、景観の維持等を図るため、三陸復興国立公園に編入される予定でありますことから、環境省や関係市町と連携し当地域の自然が持つ魅力をよりPRし、観光振興へと繋げるよう推進してまいります。

 

 次に、「中小企業の再生、復興」についてでありますが、震災により被害を受けた中小企業者の事業の再開を支援するため、被災した施設及び設備の復旧に要する経費の一部を補助してまいります。
 また、被災した中小企業者の二重債務問題に対応するため「宮城産業復興機構」及び「東日本大震災事業者再生支援機構」の窓口となる「宮城県産業復興相談センター」や国、県等の関係機関、石巻商工会議所等と連携を図りながら、引き続き中小企業者の既存債務の買取りが促進されるよう対応してまいります。
 震災による被害に加え、景気の不安定要素もあることから、市融資あっせん制度災害関連枠及び緊急経済対策等保証料補給事業を引き続き実施し、資金調達の円滑化を図ることにより、中小企業者の経営の安定を図ってまいります。

4 絆と協働の共鳴社会づくり

 

 続きまして四つ目の柱であります「絆と協働の共鳴社会づくり」についてでありますが、地域コミュニティの再生・発展の流れをより一層強めていくためには、まちづくりの担い手である、市民、NPO、地域など多様な主体による協働の仕組みが必要であります。
 そのため、地域自治システムの推進に向け、河南地区、山下地区に続き、桃生地区の地域自治組織の設立を支援してまいります。
 また、町内会や行政区による積極的な地域づくりを支援するため、引き続き「コミュニティ形成支援事業」を推進するとともに、NPO等によるコミュニティ支援として「地域づくりコーディネート事業」を実施してまいります。
 地域コミュニティの基盤となる集会所の建設を促進するため、「集会所建設費補助」を推進するほか、復興公営住宅の集会所を管理する町内会や団地会に対し、必要となる初期備品の助成を行うことにより、地域の「絆」を強める環境づくりを支援してまいります。
 また、相川小学校の閉校に伴い、新たなコミュニティ施設が必要となった相川地区においては、地域コミュニティ再生の核となる施設整備を進めてまいります。
 さらに、長期にわたる仮設住宅での生活や復興公営住宅へ移転され新たな生活環境に置かれた被災者に対し、現在実施している見守り等の事業と地域のコミュニティづくりを合わせた中で、引き続き被災者の相談や生活支援を推進してまいります。
 被災者の復興のためには、根幹となる住まいの再建とともに、心身ともに健康な生活を取り戻していただくことが不可欠でありますことから、市内のどこに住んでも安心して生活できる地域包括ケアシステムの構築に向けて、保健、福祉、医療、介護などの多職種連携により、「被災者の自立した生活の支援」、「市民主体の地域コミュニティづくり」、「地域包括ケアシステムのしくみづくりと人材育成」について、全市的な展開とその実現に向け、積極的に取り組んでまいります。
 事業の実施に当たっては、医師会等石巻市地域包括ケア推進協議会関係機関の協力をいただきながら、市民の皆様との活発な意見交換や住民自らの健康づくり等の取組を強力に支援することにより、震災の影響により異なる各地域の実情にあった仕組みを構築してまいります。
 また、地域包括ケア推進に不可欠な行政、福祉、医療が連携する拠点として、石巻駅周辺に「(仮称)ささえあいセンター」の整備を進め、ここを拠点に各地域の保健、福祉、医療施設とのネットワークを形成し、市域全体の地域包括ケアシステムの構築を推進してまいります。
 さらに、全ての子どもに良質な成育環境が提供できるよう各種事業を推進するとともに、NPOや子育て支援団体等と協働しながら、子ども・子育て支援事業の充実を図ってまいります。
 また、学校・家庭・地域の連携を図りながら、各学校の保護者等を対象とした「家庭教育学級開設事業」の展開と併せ、親の役割や子育て、望ましい子どもの成長と家庭環境など、家庭教育に関する学習の機会を提供し、子育てについての理解を深め、より良い家庭教育ができるように努めるとともに、震災で傷ついた保護者や子どもの心のケアも支援してまいります。
 さらに、東日本大震災後に、子育てサポーター及び子育てサポーターリーダーなど地域のボランティアにより組織した「家庭教育支援チーム」と連携し、孤立して地域とのコミュニケーションが図れない、又は忙しくて学習の機会等に参加できない保護者に対する支援を引き続き行ってまいります。
 若者の多様なライフスタイルに起因する晩婚化など、婚姻を取り巻く問題を真摯に受け止め、未婚者を対象とした「婚活イベント」等を行い、婚姻に結びつく事業を推進してまいります。
 また、少子化対策の一環として、子どもが欲しくても妊娠ができず、不妊治療を受けている夫婦に対して、今年度から費用の一部を助成するなど、経済的、精神的な負担の軽減を図ってまいります。
 また、核家族化や共働き世帯が増え、男性も育児に参加する必要性が高まってきておりますことから、パンフレット等を活用し、父親の育児参加の必要性を啓発することにより、母親の育児負担を軽減し、安心して子どもを産み育てることが出来るまちを目指してまいります。
 市民の心の豊かさの復興には文化芸術の復興が欠かせないことから、被災者を対象とした寄席や公演等の芸術鑑賞事業を始め、カラオケ教室等の文化芸術参加型事業、被災児童生徒を対象に演奏家が学校等に直接足を運び優れた演奏を間近で体験できるアウトリーチ事業のほか、復興をテーマとした文化芸術事業等を積極的に実施してまいります。
 また、関係団体や関係機関との「協働」によりスポーツ事業に取り組み、市民が主体となり誰もが気楽に楽しめる「総合型地域スポーツクラブ」を積極的に支援し、各種事業の実施と拡大に努めるとともに、スポーツを生かしたまちづくりを推進してまいります。
 東日本大震災からの復旧復興の状況、地域におけるまちづくりの取組に関する情報並びに震災から得た知識及び教訓を発信し、市民同士の意見交換又は来訪者との交流の場を創出することを目的に整備する「復興まちづくり情報交流館」は、本年3月に中央館を開館し、今年度は、雄勝、牡鹿、北上館の開館を目指してまいります。
 南浜地区の公園整備につきましては、昨年10月に同地区に「国営追悼・祈念施設」の設置に関する閣議決定が行われており、本年3月までに国土交通省において、基本計画の策定を進めております。今後も東日本大震災により犠牲となった方々への追悼や御支援いただいた国内外の方々に対して復興への強い意志を発信する場となるような公園整備に取り組んでまいります。
 また、中瀬地区の公園についても、中洲という地形を生かしつつ、中心市街地と一体となった市民の憩いの場となるよう、市民の意見を聴きながら、新たな公園整備を進めてまいります。

 

むすび

 

 

 これらの施策を展開するために必要な平成27年度予算につきましては、「震災復興基本計画」に掲げる「再生期」2年目、「くらし再生実感予算」として、市民の皆様がこれまで以上に復興を実感し、未来に希望を持てる石巻市を目指し、引き続き、「震災復興基本計画」に基づく事業を最優先に実施することとし、財源についても重点配分することを基本に編成いたしました。
この結果、平成27年度予算は、一般会計で2,558億円、
土地取得特別会計をはじめとする11特別会計で1,210億円、
病院事業会計で127億円、
全会計の総額で3,895億円でございます。
 なお、本市の財政運営は、引き続き「復興事業への重点化」により、これまでの復旧・復興への取り組みをさらに力強く進めるとともに、財政の健全性の確保にも留意し、経常的経費の抑制と併せ、「震災復興基本計画」以外の事業は引き続き厳選して取り組むなど、施策の厳しい選択を継続する必要があると考えております。
 また、既存の公共施設や震災復興に伴い建設される新規公共施設だけでなく、道路・橋梁等のインフラを含めた全ての公共施設等の現状を把握し、財政状況、人口推計等を踏まえ、長期的な視点で、公共施設等の更新・統廃合・長寿命化等を計画的に実施し、財政負担を軽減・平準化していくための公共施設等総合管理計画を策定します。
 組織機構の見直しにつきましては、復興の「再生期」へのステージの変化に対応し、復旧・復興事業の進捗に合わせた機動的な組織体制を構築していく必要があります。
 そのため、半島地区の低平地整備の推進や少子化に取り組む体制の強化をはじめ、「住まいの再建」が本格化していくことに伴う、地域コミュニティの再生に向けた組織を確立してまいります。
 さらには、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正により、今年度から新たな教育委員会制度がスタートすることから、これまでどおり教育の政治的中立性、継続性・安定性を確保しつつ、地方教育行政における責任の明確化、迅速な危機管理体制の構築など、教育委員会との一層の連携強化を図ってまいります。

 

 以上が平成27年度に臨む私の基本姿勢と平成27年度の予算案であります。

 

 本年度は、石巻市震災復興基本計画に定めました「再生期」の2年目となる重要な年となります。
 この4年間を振り返った時、最大の被災地である石巻市の復興は、これまで差しのべられた支援と、それを契機に生まれ、育まれた絆やつながり、そして、市民同士の支え合いと一体感があってはじめて、真の復興が成し遂げられるものと感じており、本日説明申し上げました諸施策を一つ一つ着実に実行することで全国、全世界の皆様への恩返しができると確信しております。
 まだまだ、非常に厳しい道程ではあるものの、わたくし自身、復興を成し遂げるという強い意志を持ち、将来の石巻市を見据えた「本格復興の年」となるよう、全力で市政運営に当たってまいる所存であります。

 

 最後に、市民の皆様のお力添えと議員各位のより一層の御理解、御協力を賜りますよう衷心よりお願い申し上げまして、平成27年度の施政方針といたします。

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