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所信表明

更新日:2021年6月24日

令和3年石巻市議会第2回定例会(令和3年6月3日)

 本日ここに、令和3年「石巻市議会第2回定例会」の開会に当たり、市民の皆さま、そして議員各位に対し、私の所信を申し述べる機会をいただいたことは、誠に光栄であり、心より御礼申し上げます。

 私は、29歳で石巻市議会議員に初当選以降、石巻市議会議員を1期、宮城県議会議員を7期務めさせていただきました。この間、常にふるさとの発展のため、東日本大震災以降は、一日も早い復興のために尽力してまいりました。これまで培ってきた政治経験の全てを捧げる覚悟で、「未来への責任ある市政」を実現し、「市民と共に誇りあるふるさと石巻づくり」のために、市長として、全身全霊で職責を果たしてまいります。

 市民の皆さまに深い悲しみと苦しみをもたらした東日本大震災の発生から、間もなく10年3か月を迎えます。
 改めて、震災によりお亡くなりになられた方々と最愛の方を失われ、いまだ深い心の傷と悲しみを抱えた御遺族の皆さまに対し、深く哀悼の意を表します。
 この10年、国内はもとより、世界各国の皆さまから温かい御支援と励ましをいただきながら、様々な困難を乗り越え、復興への歩みを進めてまいりました。前市政がこれまで取り組まれてきた、目指すべき復興の姿、思いを受け継ぎ、残されたハード事業を着実に推進するとともに、被災された方々のお気持ちにもしっかりと寄り添いながら、一日も早い復興の完結を成し遂げてまいります。
 また、これまでの御支援に対し、本市の復興した姿を世界中の皆さまに発信していくとともに、最大の被災都市としての経験や、震災の記憶、教訓を風化させることなく後世に伝えてまいります。

 さて、本市を取り巻く情勢は、地方分権改革の流れの中で自立した行政運営が求められており、全国他の地方都市同様、急速に進む少子・高齢化や人口減少などの諸課題を抱え、一層厳しさを増しております。
 これらに加え、いまだ収束の見えない「新型コロナウイルス感染症」は、これまでの生活様式や経済活動を根底から覆しつつあり、本市においても人の移動が制限される中で、社会生活を維持するための環境形成が必要となっております。
 また、東日本大震災からの復興や毎年のように発生する大規模自然災害への対応などが求められており、非常に厳しい行財政運営を強いられております。
 このような状況を見据え、次の6つの柱を基本姿勢として、「全ての市民が石巻に住んで良かった」と思えるまちづくりを基本の考えとし、「人口減少などの課題に柔軟に対応できる、活力に満ち、市民が住むことに誇りを持てるまち」を築いてまいります。

 私が掲げる基本姿勢のうち最優先に取り組みますのは、2つあります。1つは、「新型コロナウイルス対策」、もう1つは、「全ての世代が生きがいを持って活躍できるまちづくり」であります。
 まず、「新型コロナウイルス対策」についてでありますが、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスは、緊急事態宣言などの措置により、減少と拡大を繰り返している中で、世界各地で変異株が発生し、国内でも感染の中心になるなど、猛威を振るっている状況であります。
 本県におきましても、本年3月18日に独自の緊急事態宣言を発令し、その後「まん延防止等重点措置」が適用されるなど、市民生活や経済活動に大きな影響を及ぼしております。
 本市におきましては、4月から、重症化リスクが高いとされる高齢者の方々を対象に、順次ワクチン接種を進めております。ワクチン接種は、感染リスク及び医療機関の負担を軽減する意味でも、現時点で考え得る最も効果的な手段であると思われますことから、地元医師会や薬剤師会等の関係団体と連携を図りながら、迅速な接種体制の確保に努めてまいります。
 PCR検査につきましては、現在、2市1町で連携し、石巻市地域外来・検査センターを開設し、石巻圏域のPCR検査体制の充実を図っておりますが、検査体制の更なる拡充に向けて、国、県への働きかけを行ってまいります。
 また、地域経済を担う、中小企業、小規模事業者の経営がひっ迫している状況に鑑み、現在も、事業継続に向けた様々な支援策を講じておりますが、飲食業等の関連事業者であるものの、国、県の支援金等の対象とならない事業者や、ポストコロナ・ウィズコロナ時代を見据え、事業の再構築を図る事業者に対して、本市独自の支援策を講じてまいります。
 また、ひとり親家庭及び生活困窮世帯への支援につきましては、市としての独自支援や国等の制度活用に向けた周知徹底に努め、コロナ禍で深刻化する孤独・孤立問題への対策を進めてまいります。

  2つ目の、「全ての世代が生きがいを持って活躍できるまちづくり」についてでありますが、地域の活性化は、地域の人が生き生きと生活できることが基本でありますことから、多彩な祭りや文化、スポーツ、趣味等で楽しく暮らせる政策や交流人口の拡大に繋がる政策を推進することにより、「楽しく面白いと感じられるまちづくり」を目指してまいります。
 地域独自の祭りや文化は、地域の魅力であり、地元への親しみと誇りを感じるために欠かせないものです。各地域で受け継がれてきた、祭りや伝統芸能を保存、継承する取組を支援し、地域の活性化に繋げてまいります。
 また、総合運動公園を拠点として各種スポーツ大会の開催・誘致や本年3月にオープンした、「マルホンまきあーとテラス」を文化芸術活動の拠点として活用し、市民の健康・生きがいづくりの場を創出するとともに、市外からの誘客を図り、交流人口の拡大に繋げてまいります。
 本市最大の魅力は、海、山、川が織り成す美しい自然景観と世界三大漁場に数えられる金華山沖を漁場とした豊かな水産資源や母なる「北上川」が育んだ大地の恵みであります。この魅力ある資源を広く発信するとともに、豊かな自然環境を維持し、未来に継承するための取組を進めてまいります。

 3つ目は、「安全・安心なまちづくり」についてであります。
 近年、地球温暖化の影響に伴う気候変動により、全国各地で、毎年のように大規模な自然災害が頻発し、甚大な被害が発生しております。大雨等の自然災害から市民を守り、安全・安心な暮らしを確保するため、雨水排水施設の整備を推進するとともに、建物所有者等が行う浸水被害の軽減を図る取組を支援いたします。
 また、災害時における迅速かつ安全な避難を可能とする復興街路等の整備を推進し、災害に強い道路交通ネットワークの構築を図るとともに、地域防災力向上の観点から、自主防災組織の育成及び活動に対する支援を継続して行ってまいります。
 女川原発2号機の稼働に対する市民の不安は、払拭されたとは言えません。原子力災害から住民の身体、財産を守る責務を有する国及び事業主体となる県に対して、早急な避難道路の整備を要望してまいります。また、国、県、関係市町と連携した訓練を実施し、繰り返し検証を行うことで、避難計画の継続的な改善、充実に努めてまいります。
 誰もが健康で安心な暮らしを確保するためには、医療・福祉体制の充実も必要です。地元医師会と連携し、休日、夜間の医療体制を確保するとともに、重篤な救急症例に対する高度な医療提供体制を確保するため、石巻赤十字病院との連携を強化してまいります。
 また、超高齢社会への対応も急務となっていることから、介護従事者の処遇改善、労働環境整備について、国への要望を行っていくとともに、広報誌や出前講座等を通じて、介護に対する意識の醸成、重要性を普及啓発し、介護職員の確保、育成を図ってまいります。
 さらには、全ての市民が、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、「地域包括ケア」を推進し、医療、介護、福祉の関係機関と連携するとともに、地域住民と行政の協働による包括的支援体制の構築を図ってまいります。

  4つ目は、「人口減少対策と地域コミュニティの強化」についてであります。
 人口減少対策には、減少原因の綿密な調査、分析とともに、各種施策の推進が必要です。若い世代の定住に向けた取組として、新婚生活への支援や高校生までの医療費助成拡大等、結婚から妊娠、出産、子育てまでの切れ目のない支援を推進するとともに、延長保育、夜間保育等の一時預かり等、保育機能の充実を目指してまいります。
 また、学校の適正規模と適正配置の実現を図りながら、子どもたちが安心して地域で育ち、学ぶことができる環境づくりを推進するとともに、明確な数値目標を掲げた学力向上プランを策定し、具体的な対策を進めてまいります。
 さらに、コミュニティ・スクールの実践を推進し、学校・家庭・地域住民等と連携・協力を強化して、地域と共にある学校づくりに努めてまいります。
 自治体と連携して移住を支援するNPO法人「ふるさと回帰支援センター」の窓口相談者が選定した最新の移住希望地ランキングにおいて、宮城県が5位に選出されております。コロナ禍によるテレワークの推進等により、働き方にも大きな変化が生まれ、地方移住への関心が高まっていることから、5G環境の形成に向けた要望や定住・移住を促進するためのワンストップ窓口として、(仮称)定住・移住推進課の創設を検討してまいります。
 超高齢社会を迎え、通院、買い物等の日常生活を送る上で、交通手段の確保が必要不可欠であります。高齢者が地域に安心して住み続けられる環境を整備するため、事業者や関係団体と連携を図りながら、地域デマンドバスやカーシェアリング等の交通手段確保に向けた対策を講じてまいります。
 また、地域住民同士の繋がりや支え合いが、今後ますます重要となりますので、「地域自治システム」の市民参画による内容の再検討や中間支援組織等の活用などにより、地域コミュニティの活性化を図ってまいります。

 5つ目は、「産業の発展と雇用創出」についてであります。
 第一次産業における従事者の高齢化と担い手の減少による後継者不足は、深刻な状況であるため、担い手センター機能を最大限生かし、担い手の確保や育成に対する支援を行ってまいります。
 また、水揚量の減少により、原材料不足が課題となっている水産加工業を支援するため、石巻漁港への水揚船の誘致を図るほか、石巻ブランドの構築や海外市場における販路の開拓を目指す水産加工業者等が実施する取組等を支援してまいります。
 新型コロナウイルスの感染拡大等も一つのきっかけとなり、企業競争力の強化や行政サービスの向上を目的に、多くの企業や自治体において、デジタルトランスフォーメーションへの取組が加速しております。本市においても、商工会議所等の関係機関と連携した研修会やセミナー等を開催し、デジタルトランスフォーメーションの普及啓発を進めてまいります。
 また、若者の雇用安定と地元定着を促進するため、正規雇用転換した事業主に対する奨励金の支給や桃生豊里インターチェンジ周辺等、恵まれた交通条件を有するエリアへの企業誘致を推進し、地元雇用の創出・拡大を図ってまいります。
 さらには、少子・高齢化が進む中で、高齢者の就労割合は年々増加しております。一億総活躍社会を目指す中で、意欲のある高齢者が年齢にかかわりなく働き続けることのできる社会構築が必要であることから、「(仮称)仕事掘り起こし会議」の設置などにより、関係機関と連携した高齢者の就労支援を行ってまいります。

  6つ目は、「物流拠点の形成と新たな観光の構築」についてであります。
 東日本大震災からの復興に向けたリーディングプロジェクトとして、国が整備を進めている「三陸沿岸道路」が、本年3月に県内での全線開通を果たしたほか、本年度内には、「みやぎ県北高速幹線道路」の全線開通が予定されております。県北エリアの道路交通網の整備が着実に進められる中、海上輸送の拠点となる東北唯一の国際拠点港湾「仙台塩釜港 石巻港区」の物流拠点としての役割も一層重要となることから、港湾機能の強化に向けて、官民挙げた要望活動を展開してまいります。
 また、「石巻新庄道路」は、東北中央部における東西交通軸「みちのくウエストライン」として、広域的な地域連携の強化や物流面において重要な役割を担っており、大規模災害時にも有効に機能する防災道路となりますので、沿線自治体一丸となって、早期実現に向けた取組を進めてまいります。
 水辺のすばらしさを感じ、安全で快適に散策できる「いしのまき水辺の緑のプロムナード」を観光資源として積極的に活用し、映画やドラマのロケ誘致を進めるほか、官民連携によるイベント等を開催し、中心市街地と一体となった賑わいの場を創出してまいります。
 また、先ごろ完成した石巻版RPGアプリを活用した観光PRを推進するとともに、「上品の郷」や「硯上の里おがつ」、「ホエールタウンおしか」などの観光拠点、「齋藤氏庭園」などの文化財、「北上川のヨシ原」などの美しい自然景観、桃生茶やガーベラ、水産品をはじめとする特産品など、あらゆる観光資源の情報発信を強化し、市内における観光周遊ルートの拡大を図ってまいります。
 さらには、広域観光の取組を一層強化するため、仙石東北ラインの女川駅までの増便要望を、女川町と連携して進めてまいります。

  これらの事業を効果的に進めるためには、広域的な取組が必要となりますことから、2市1町による連携・協力体制を一層強化し、地域の課題解決を図ってまいります。
 また、持続可能な地域社会の実現を目指し、SDGsの達成に向けて全庁一丸で取り組むとともに、企業等との連携により普及啓発を図ってまいります。

  以上、基本姿勢を述べさせていただきましたが、今後策定する新総合計画にも、私の考え方を反映してまいりたいと考えております。
 行政の役割は、「市民サービス」が基本であり、多様化する市民ニーズに迅速かつ的確に対応し、サービス向上に努めることが必要となります。
 このため、市民の皆さまの声を伺い、市民参加・参画などによる、協働のまちづくりを進めてまいります。
 また、「市民の皆さまと行政」、「市民の皆さま同士」の間に立ち、中立的な立場から必要な支援を行う中間支援組織が必要であることから、新たに、「(仮称)石巻まちづくり会議」を設立し、民間の人材や大学の研究者といった方々を取り込み、先端的な考え方や手法により、まちづくりを革新してまいりたいと考えております。
 こうした取組を進めていく上で、市民の皆さま、議員の皆さま、職員が一丸となる、正に「オール市民」での取組と徹底した行財政運営の見直しが必要です。
 動く市長室や市長への手紙などの広聴事業の充実を図り、また、積極的な情報公開を通じた開かれた市政を推進するとともに、先に策定した「行財政改革推進プラン2025」に基づき、より効率的、効果的な行財政運営を進めてまいります。

  私の座右の銘は、「忘己利他」己を忘れ他を利するは慈悲の極みなり、私心を捨てて、市民・万民のために尽くすことであります。
 これからの4年間、「ふるさと石巻」の輝かしい未来の実現に向け、全力を尽くしてまいります。

  結びに、市民の皆さま並びに議員各位の一層の御理解と御支援を賜りますよう衷心よりお願い申し上げ、私の市政運営に対する所信表明とさせていただきます。

 

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部署名:復興企画部 政策企画課
電話番号:0225-95-1111

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