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令和6年度施政方針

更新日:2024年2月15日

はじめに

令和6年「石巻市議会第1回定例会」に「令和6年度各種会計予算並びに諸案件」を提案するに当たり、市政運営に取り組む所信の一端と施策の大綱について御説明申し上げます。

まず初めに、令和6年能登半島地震により、お亡くなりになられました方々の御冥福をお祈りし、衷心より哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。

雲間から新春の陽光を臨み、穏やかな年明けの一日が暮れようとしていた元日の夕刻は、突然鳴り響いた緊急地震速報により事態は一変しました。

押し寄せる津波や輪島朝市の大規模な炎上、倒壊した多くの家屋、無数の亀裂により寸断された道路などがテレビに映し出され、多くの市民の皆様の脳裏に東日本大震災の惨状がフラッシュバックし、涙された方も大勢おられました。

本市としては、先んじて支援にあたることが使命であり、責務であると肝に銘じ、早速、現地と災害情報・初動対策を共有し、最優先で人的・物的支援を行ってきたところであります。

東日本大震災においては、今回被災された自治体からも、物心両面にわたる甚大な御支援をいただいておりますことから、先の教訓も活用しつつ、しっかりと支援を続けてまいりますとともに、改めて最大の被災地の責務として、震災の記憶、教訓の次の世代への引き継ぎなど、引き続き安全・安心なまちづくりに真摯に取り組んでまいります。

さて、私が市長に就任いたしましてから間もなく3年、任期も残り約1年となりました。この間、議員各位をはじめ、市民の皆様の御支援、御理解をいただきながら、「全ての市民が石巻に住んで良かったと思えるまち」の実現に向け、現場主義に徹し、動く市長室など市民の皆様の声をお聴きしながら、全身全霊で取り組んでまいりました。

振り返りますと、復興事業につきましては、国・県はもちろん、全国の自治法派遣職員をはじめ、国内外の皆様の言葉には尽くせない御支援、御協力をいただき、令和4年度で復興財源を活用した防潮堤や道路・橋りょう、雨水排水施設などの基盤整備事業、いわゆるハード事業を完結することができました。

その感謝の気持ちをお伝えするとともに、現在の国際情勢、DX(デジタル・トランスフォーメーション)・GX(グリーン・トランスフォーメーション)の進展、人工知能(AI)やChatGPTの目覚ましい進化など、経済・社会の基盤が歴史的な転換期にある中、人口減少の抑制と稼ぐ力を強化・創出する、地方創生・まちづくりもまさに正念場を迎えており、この難局にオール市民で対峙し、突破していく契機を、復興事業(基盤整備)完結式典に期した次第であります。

地方創生・まちづくりは、東日本大震災の翌年から全国で始まり、それぞれの市区町村が、人口減少の抑制、稼ぐ力の創出を最優先課題として、全力で取り組んで今日に至っております。この間、東日本大震災の復旧・復興を最優先に取り組んでまいりました本市といたしましては、先ずは、経済・財政を平常時へとソフトランディングさせることが急務であります。

併せて、百年に一度ともいわれている経済・社会の基盤転換に取り残されることなく、市民生活・産業が順応できますよう、市民の皆様ともども意を決して取り組むこともまた急務であります。

当然のことながら、心の復興はもとより、地域コミュニティの再構築なども、このような社会・経済・財政のダイナミックな趨勢への適切な対応の下でこそ、より良く推進されていくのではないでしょうか。

今後も引き続き行政の責任として、大局観をもって、市民一人ひとりが真の復興を享受できる社会の実現と心豊かな未来を見据えた地域づくりを目指して取り組んでまいります。

また、就任時に優先課題として取り組んできた新型コロナウイルス感染症対策につきましては、市民の皆様の健康を第一に、地元医師会、薬剤師会、石巻赤十字病院、市立病院及び牡鹿病院との連携により、迅速なワクチン接種体制を確立したほか、予約代行窓口の設置、民間企業と連携したPCR検査所の設置、事業者や生活者支援といった総合的な経済対策をスピード感をもって行ってきたところであり、関係者の皆様に、改めて心からの感謝と敬意を表する次第です。

3年以上にわたり、各種イベントが延期又は中止を余儀なくされましたが、感染症対策を徹底しながら、徐々に再開することができました。こうした中、令和5年5月8日には新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症へと移行したことにより、行動制限を伴わずにイベント等を開催することができるようになりました。

昨年、100回目の節目を迎えた本市最大のイベント、石巻川開き祭りでは、孫兵衛船競漕や小学校鼓笛隊パレードなどの恒例行事に加え、街なかには多くの露店が出店したほか、多くの若者たちが復活させた、お化け屋敷など工夫を凝らしたイベントで大いに賑わい、さらには、記念大会にふさわしい特別事業として、中瀬公園でのスペシャルLIVEや約700機のドローンが夜空を彩るスペシャルドローンショーのほか、震災前と同じ約1万6千発の規模とした花火大会の会場では、大きな拍手や歓声が上がるなど、3日間で計27万6千人の方々に来場いただき、それまでの閉塞感を打ち破る大きな盛り上がりを見せました。

また、4年ぶりに外国客船の寄港が再開し、石巻港に過去最大級の大型客船MSCベリッシマをはじめ、延べ5隻の客船が寄港し、まちに賑わいをもたらしました。

このような取組によって、令和5年の主要なイベントの入込数は約38万6千人、令和4年との比較では、約18万2千人の増、まきあーとテラスの入館者数についても約1万4千人の増となり、コロナ禍前の賑わいが戻りつつあります。

雇用の場を確保するための企業誘致については、トップセールスの結果、下釜南部地区産業ゾーンへ大手製造業者の立地が決定し、宮城県も含めた三者による新工場建設に関する立地協定の締結を行い、いよいよ今年度には着工が見込まれることとなりました。

また、働く意欲のある高齢者を掘り起こし、能力や知識・経験を活かすとともに、生きがいをもって働くことができる場の確保を推進するために設置した「高齢者仕事掘り起こし会議」において、アンケート結果を踏まえ、60歳以上の方を対象とした「高齢者向け合同企業説明会」を開催したところ、多くの高齢者の方々が来場されました。

そして、教育環境の充実として、生きる力など人間形成の基礎を養う上で重要な役割を担う幼児教育を推進していくため、石巻市幼児教育推進会議を設置し、現在、本市の実情に応じた「幼児教育プラン」の策定を進めております。

さらに、グローバルに産業・経済・社会の基盤が大きく転換する中で、たくましく生き抜いていくために必要となる基礎的な学力、持続的に体力の向上と健康の維持を自ら管理する資質や能力を育むため、「学力向上プラン」において、標準学力調査結果を分析し、PDCAサイクルを確立するなかで、児童生徒の学力の向上や「子どもの体力向上プラン」に基づき、各学校の実態に応じたアクションプランを展開することにより、生活習慣の改善を図っているところであります。

そのほか、必要な政策を実現するためには、財源の確保が重要であることから、ふるさと納税の収入増加に向け、私が先頭に立って様々な機会をとらえ積極的にPRを行ってきたほか、ふるさと納税推進課を設置し、魅力的な産品の追加による多様なニーズへの対応、取扱ポータルサイト数の増加、企業訪問や事業者向け研修会の実施、現地決済型ふるさと納税「ぺいふる」の導入など、あらゆる取組を戦略的に行ってきた結果、本年1月には、昨年度の目標金額である10億円を大きく上回る12億円超を達成し、寄附額については「結婚等支援事業」をはじめ、「新生児聴覚検査費用助成事業」などに充当し、併せて返礼品による地域経済効果に加え、本市の魅力を、より多くの方々に知っていただくことができたものと考えております。

さて、日本経済は、コロナ禍を経て全体としては緩やかに回復しておりますが、物価高騰が続き市民生活や事業活動に大きな影響が及んでおります。

国においては、デジタル技術を活用し、経済社会全体の効率性・生産性を高め、持続可能な経済社会を構築すること、社会全体で子育てに取り組むための環境整備による少子化対策の推進、公教育の再生、高齢社会と向き合い、認知症施策をはじめとした包摂社会の実現等に向けた取組が行われております。

本市といたしましては、人口減少や少子高齢化の進行、さらには、社会保障経費や復興事業で新たに整備した公共施設の維持管理経費の増加、各種公共施設等の老朽化対策など、厳しさを増している財政状況を踏まえ、健全な財政運営に努めるとともに、社会課題、地域課題へ取組み、それ自体を成長のエンジンとする中で、市民ニーズも踏まえた、効果的・効率的な行財政運営に取り組んでまいります。

重点施策

それでは、令和6年度に取り組む6つの重点施策について、述べさせていただきます。

1.全ての世代が生きがいを持って活躍できるまちづくり

一つ目は、「全ての世代が生きがいを持って活躍できるまちづくり」についてであります。

郷土の豊かな自然、昔から親しまれている祭りや行事、地域に根ざした文化活動などは、独自の価値を持つだけでなく、市民が石巻への誇りや愛着を深めることにつながり、また、地域の魅力にもなりますことから、次の各施策に取り組んでまいります。

まず、「交流人口の拡大」に向けた取組といたしましては、本市最大のイベント、石巻川開き祭りをはじめ、サマーフェスタ・イン・かほく、雄勝海鮮まつり、かなんまつり、ものうふれあい祭 はねこ踊りフェスティバルin桃生、北上にっこりまつり、牡鹿鯨まつりなど、各地域の歴史や文化等を伝える魅力ある祭りや、イベント等の開催により観光誘客を推進してまいります。

また、一流のアスリートによるスポーツ教室や、プロスポーツチームと連携した交流イベント等の開催をはじめ、国内でも屈指の人気を誇るサイクリングイベントとして定着しているツール・ド・東北、いしのまき復興マラソンなどを開催してまいります。

さらに、昨年3月に設立した、いしのまきスポーツコミッションが行う各種大会・イベントやスポーツ合宿の誘致のほか、地元競技団体等が主催する大会運営などを支援していくとともに、本市出身の弓聖「阿波研造氏」をコンテンツとした、外国人に人気の高い弓道をテーマに武道ツーリズムの商品開発にもスポーツコミッションと連携し、積極的に取り組んでまいります。

様々なスポーツの基本である陸上競技を幼少から身近に体験し、スポーツ振興を通じて、子どもたちの未来を紡ぎ、スポーツ全体の向上と市民の健康増進に寄与することを基本理念とし、第3種公認を目指して「石巻市総合運動公園陸上競技場整備事業」を推進してまいります。

文化芸術は、感動や生きる喜びをもたらし、人生を豊かにするものであるとともに、市民の郷土に対する愛着や誇りの醸成にも大きな役割を果たすことから、市内の文化芸術活動の現状や担い手となる方々の状況を把握しながら、多様化が進む文化芸術の指針となる「石巻市文化芸術振興基本方針」の改定を進めてまいります。

また、心の豊かさの醸成を図るため、石巻市博物館では、博物館資料や本市に関する調査研究の成果を分かりやすく発信することで、地域の魅力向上につなげるとともに、時宜にかなった企画展・特別展を開催してまいります。

次に、「高齢者の生きがいづくり」に向けた取組といたしましては、地域の実状に応じ、高齢者等が可能な限り住み慣れた地域で、健康的な日常生活を営むことができるよう実施している各種介護予防事業について、コロナ禍前の状況に戻れるよう、地域の支え合い体制を推進するとともに、高齢者の知識と経験を活かした創造的活動や様々な趣味活動の場の充実を図ってまいります。

また、子どもから高齢者まで、市民が自由に憩える場として、さらには、グリーンロードとの一体性を持たせた、健康づくり機能を有する広場として、(仮称)東中里広場の施設整備工事に着手するとともに、公園施設未整備の公園に遊戯施設や休養施設等の整備を進めてまいります。

次に、「豊かな自然の保護と魅力の発信」に向けた取組といたしましては、本市の健全で恵み豊かな環境を保全し、美しいふるさとを次の世代に継承するため、地方公共団体実行計画における区域施策を含む「環境基本計画」の策定を進め、市民・事業者と行政が連携して、2050年温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す、「ゼロカーボンシティ」を表明いたします。

また、カーボンニュートラルの実現に向けて、環境性能に優れたEV車の普及を促進するため、昨年度、本庁舎等の9施設に18基のEV充電インフラを設置したところであり、引き続き、昨年度設置したものを含め、本市公共施設へ全100基のEV充電インフラの設置を目指してまいります。

さらに、家庭から排出されるプラスチック類の分別回収及び資源化処理を推進するための調査・検討を引き続き進めてまいります。

次に、「SDGsの推進」に向けた取組といたしましては、SDGsの市民認知度、取組度ともに上昇し、これまでの成果が表れてきたものと考えておりますことから、引き続き、持続可能な地域社会の実現に向け、一人ひとりがSDGsに適う日常を過ごせるよう、SDGsの達成に資する学校、各事業所の取組事例の紹介や親子向けワークショップなどを実施してまいります。

また、石巻専修大学の協力をいただきながら、ハイブリッドリユース事業で得た技術等の活用に向けた研究も進めてまいります。

2.安全・安心なまちづくり

定住を促進していく上で、全ての市民が安全に安心して暮らすことのできるまちづくりを進めるため、次の各施策に取り組んでまいります。

まず、「災害に強いまちづくりの確立」に向けた取組といたしましては、「津波避難対策緊急事業」として、宮城県が公表した「津波浸水想定」や「石巻市地域防災計画」の改訂内容を踏まえ、「津波避難対策緊急事業計画」を策定し、新たに必要な避難関連施設等の整備や防災サインの見直しなどを行い、地域防災力の向上に努めてまいります。

また、「防災行政無線更新事業」として、防災行政無線の屋外子局及び戸別受信機設置の適正配置や、スマートフォンをはじめとした情報伝達手段の多重化により、災害時における防災情報の発信強化を図るため、「(仮称)防災行政無線整備基本計画」を策定してまいります。

さらに、災害発生時や急病者発生時における救助の迅速化を図るため、「ヘリポート整備事業」として、大須地区に夜間ヘリポート場を整備し、大雨や地震等の自然災害による道路の寸断で孤立が懸念される雄勝地区半島部の皆様の安全・安心を確保してまいります。

女川原子力発電所の再稼働が見込まれる中、万一の原子力災害時における避難を確実なものとするためには、避難道の整備が不可欠であることから、住民の生命、身体、財産を守る責務を有する国及び事業主体である県に対し、災害に強い避難道の早期整備を強く求めていくとともに、災害時の迅速な避難や緊急車両等の通行を可能とすることで、住民の安全・安心を確保するため、道路機能が脆弱な寄磯浜前浜地区に避難道路を整備してまいります。

局地的な集中豪雨が頻繁に発生しておりますことから、「緊急冠水対策事業」として、冠水常襲箇所における被害の軽減・解消に向けた緊急対策を実施してまいります。

次に、「市民の健康・命を守る医療体制の充実」に向けた取組といたしましては、東日本大震災の影響により、本市の人口、医療施設ともに内陸部に集中し、東部地区と西部地区の医療体制の格差が拡大しております。また、産科医及び小児科医が不足している状況から「医療施設開設支援事業」を創設し、民間の医療施設の開設を促進してまいります。

また、休日及び夜間における外来・入院診療、救急医療等の医療体制を確保するため、医師会や医療機関と連携するとともに、診療所を運営し、離半島部における地域住民が安心して受診できる、信頼される医療の確保に引き続き取り組んでまいります。

さらに、市立病院については、診療体制の充実を図るため、引き続き医師の確保に努めるとともに、「石巻市公立病院経営強化プラン」に基づき、各医療機関との機能分化、連携強化などに取り組み、将来を見据えた持続可能な医療体制を構築してまいります。

新型コロナワクチンの接種については、特例臨時接種として実施してきましたが、今年度以降、インフルエンザ等と同様の定期接種となることから、これまでの実施状況を踏まえ、安定した接種体制を構築し、市民への周知を図りながら円滑な移行に取り組んでまいります。

次に、「介護従事者の働く環境整備と人材育成強化」に向けた取組といたしましては、介護サービスの担い手である介護人材の必要性が高まっていることから、質の高い介護人材が安定的に確保できるよう、適切な水準の介護報酬の設定を含めた介護職員の処遇改善や労働環境整備について、国への要望を継続してまいります。

また、介護人材の育成強化を図るため、介護事業所が主催する、介護人材確保対策及び地域住民への介護や福祉に関する意識啓発を目的として実施するイベントを継続して支援するとともに、介護事業所に勤務する職員を対象とした研修会等を開催してまいります。

さらに、高齢者の人材確保にも視点を置き、60歳以上の方を対象とした合同企業説明会を開催し、介護事業所への就職支援にも取り組んでまいります。

次に、「地域共生社会の実現」に向けた取組といたしましては、複合・複雑化した課題を抱える方々に対応するため、既存資源の活用を図りながら、包括的な支援体制を構築し、属性を問わない相談支援、支え合う地域づくりなどに取り組んでまいります。

また、在宅医療と介護に携わる専門職の連携を目的として設置した会議により、各専門職の課題抽出と検討などを行うことで、多職種間における顔の見える関係を構築するなど、在宅医療と介護の連携を進めてまいります。

被災者支援として行ってきた地域生活支援員による公営住宅等の見守り・声がけ支援について、依然として見守りを必要とする入居者が多いことから、「公営住宅等見守り連携事業」として、民生委員、地域包括支援センター、社会福祉協議会等との連携により、主に高齢単身及び特に配慮が必要な世帯を対象として、効率的かつ効果的で持続可能な見守り支援を実施してまいります。

3.人口減少対策と地域コミュニティの強化

三つ目は、「人口減少対策と地域コミュニティの強化」についてであります。

人口減少は、自治体の消滅など「静かなる有事」といわれております。経済や市場規模の縮小、地域社会の担い手不足など、様々な影響を及ぼし、ひいては地域の活力自体の低下につながることから、様々な施策を組み合わせ、その抑制に取り組んでいく必要があります。

また、災害時のみならず、個人や地域が抱える課題も多様化・複雑化してきている状況において、地域コミュニティの果たす役割は大きく、移住定住を進めていく上でも重要であることから、次の各施策に取り組んでまいります。

まず、「結婚から妊娠、出産、子育てまでの切れ目のない支援」に向けた取組といたしましては、出会いの機会が少ない独身男女のために、団体等が実施する結婚への意識向上を図る事業への支援をはじめ、結婚相談会の開催、若い世代の婚姻に伴う新生活のスタートアップに係る費用の一部を補助する「結婚新生活支援事業」を引き続き実施してまいります。

また、これまで、市職員をはじめ、民間事業者の管理職等を対象とし、部下や同僚のワークライフバランスの向上のため、意識啓発等を目的としたイクボス研修などに取り組んできましたが、イクボス宣言を行い、部下等の育児、介護、ワークライフバランスをより一層応援することで、働きやすい職場づくり、ひいては、子育てしやすい地域づくりを推進してまいります。

さらに、本市職員、特に男性職員の育児休業の取得を促進するため、任期付職員を代替職員として配置し、育児休業を取得した職員及び職場双方の負担軽減を図り、育児休業を取得しやすい環境を整備することで、育児等と仕事の両立を支援してまいります。

我が国には、「女性の役割は家事育児、男性の役割は仕事」といった性別役割分業意識が残っており、今日、結婚や出生に対して消極的な影響を与えているとされております。本市が率先して職員の子育て支援策に取り組むことで、男性の育児休業取得は当たり前という市全体の機運醸成と、「子育てにやさしいまち・石巻」との評価につなげてまいります。

母子保健と児童福祉の包括的な支援体制を構築し、様々な課題を抱えている妊婦や子育て家庭の課題解決等に取り組んでまいります。

少子化や核家族化、共働き世帯の増加、就労形態の多様化により、子どもを取り巻く環境が大きく変化していることから、保護者の就労形態に関わらず、子どもが教育・保育の機会を得られる仕組みづくりや多様化する保育ニーズに対応するため、「第2期石巻市公立幼稚園・保育所・こども園再編計画」を着実に実行してまいります。

また、公立施設の民営化にともなう民間事業者の保育人材確保のため、「保育士宿舎借り上げ支援事業」を創設し、安心して子どもを産み育てられる環境づくりも推進してまいります。

さらに、地域の宝であり、市の宝である子どもたちが健やかで幸せに成長できる、こどもまんなか社会を実現するため、子どもや子育て当事者等の声を聴きながら、子どもの権利保障の推進や、安心して過ごせる居場所の充実、併せて積極的な情報発信に取り組んでまいります。

次に、「教育環境の充実」に向けた取組といたしましては、市内全ての幼児が、小学校へ入学する時期までに、豊かな心情や学びへの興味・意欲、健全な生活を送る態度など、より良質な学びへ導き、定着を図るため、「幼児教育推進事業」として、教育委員会内に幼児教育センターを設置し、新たに配置する幼児教育アドバイザーが公立及び私立の幼稚園、保育所、こども園等を巡回し、幼稚園教諭、保育士等への助言等を行うことで、指導力の向上に取り組んでまいります。

また、児童期から本を読むことの楽しさを知り、生涯にわたって本に親しめる読書習慣を身に付けるため、「電子図書整備事業」として、市内の全小学生に配付したタブレット端末を活用し、児童が自主的に、いつでも、どこでも、気軽に本を読むことができる電子書籍を導入してまいります。

教育こそ未来への鍵であります。石巻の子どもたちには、何としても未来への確かな鍵を手にしてもらうことを念願しております。その一助として、一人ひとりの学力の向上を目指し、教育委員会に新たに「学力向上推進監」を配置するほか、指導力のある教員による授業公開などの研修・検討の場を積極的に設け、教員の指導力の向上を図るとともに、年2回の標準学力調査の結果から学習定着度を測り、授業改善を推進することで、震災前から全国平均を下回り、さらに仙台市を除いた県平均にも達していない全国学習状況調査の正答率を、県平均以上とすることを一つの目標に、子どもたちが楽しく主体的に学べるよう取り組んでまいります。

併せて、生涯にわたり、体力の向上と健康の維持に主体的に取り組み、たくましく生きる資質、能力を育成するため、各学校の実態に応じたアクションプランを作成し、体力・運動能力向上に取り組むとともに、石巻専修大学と連携し、身体組成と運動能力の関連性を科学的根拠に基づき分析し、運動に親しみながら、目標に向かって継続的に努力しようとする児童生徒の育成に取り組んでまいります。

また、全ての児童生徒が安心して学校生活を送ることができるようにするため、小中学校の通常学級に在籍する特別な配慮を必要とする児童生徒に特別支援教育支援員を配置し、学習や学校生活への困り感を抱えた児童生徒に寄り添いながら援助することにより、学級担任等の授業運営を支援してまいります。

さらに、教員の働き方改革を推進し、教員が児童生徒と向き合う時間や授業準備に専念する時間を確保するため、「校務支援システム導入事業」として、市内全小中学校において、児童生徒の成績や出欠状況、教員の出退勤等を一元管理することで、効率的な校務処理による教育活動の質の向上に取り組んでまいります。

各種体育大会や音楽コンクールに出場する際の児童生徒のバス代等への補助率を引き上げることで、部活動や特別クラブに打ち込む児童生徒を後押しするとともに、食材料費の高騰に対応するため、「学校給食保護者負担軽減事業」及び「保育施設利用者給食費負担軽減事業」として、保護者や利用者等の負担を増やすことなく、質と量の保たれた給食を提供してまいります。

少子化にともない、適正規模を下回る学校が市内全域で増加してきていることから、地域の実情に配慮しつつ、最適な教育効果の発現を期して、引き続き、小中学校の適正規模と適正配置の実現に向け、取り組んでまいります。

また、令和7年度の桃生地区3小学校統合に向け、「学校施設保全事業」として、当面使用する桃生小学校校舎の施設保全を図るとともに、統合後の学校施設整備手法検討のため、「学校施設改築事業」として、桃生中学校校舎及び屋内運動場の耐力度調査を実施してまいります。

次に、「移住促進と関係人口の創出」に向けた取組といたしましては、全国の移住希望者、特に首都圏や県内の大学に通う学生に対し、本市の良さを積極的に情報発信するとともに、移住体験機会を提供する「お試し移住体験事業」、移住希望者からの相談やサポート等を行うために設置している移住相談窓口により、移住定住を促進してまいります。

また、「定住促進住宅取得等補助制度」を子育て世帯に焦点を当てた支援内容に見直し、これまで地域包括ケアシステムの展開に必要となる医療及び福祉分野における人材確保と定住促進を目的として実施してきた「奨学金返還支援事業」に加え、市内に居住し、昨年度、新たに正規雇用された方や個人事業主、第一次産業従事者を対象とした奨学金返還額の一部を助成する制度を新たに創設し、より一層の定住促進に取り組んでまいります。

さらに、地域振興及び地域活性化に資する人材を積極的に受け入れ、本市への移住定住を後押しするため、地域おこし協力隊の受入れを拡大してまいります。

次に、「持続可能な公共交通ネットワークの整備」に向けた取組といたしましては、地域特性や実情を踏まえながら、高齢者や若者、子育て世代や障がいのある方など、誰もが利用しやすい最適な公共交通ネットワークを確保・維持するため、路線再編や運行ダイヤ及び運賃設定の見直しなど、公共交通の利用促進に努めるとともに、引き続き、モビリティマネジメントを推進するため、市職員が率先して公共交通を利用する、公共交通利用促進デーに取り組んでまいります。

また、公共交通に関する情報提供の多様化・デジタル化のため、「公共交通デジタルサイネージ設置事業」として、本市の公共交通の拠点かつ市民、観光客等の玄関口であるJR石巻駅前にバスの運行時刻や周辺情報を表示するデジタルサイネージを設置し、公共交通をより利用しやすくなるよう環境整備に取り組んでまいります。

次に、「地域コミュニティの充実と強化」に向けた取組といたしましては、多様化する地域課題の解決や住民主体の活力ある地域づくりを進めるため、これまでに6地区の住民自治組織が設立されましたので、設立されていない10地区の早期設立に向け、引き続き「ずっと住みたい地域づくり支援事業」により、住民への意識醸成を図り、地域の特色や地域住民の力を活かした住民自治組織の設立を促進していくとともに、地域コミュニティの中核となる重要な施設である集会所の施設整備等も支援してまいります。

地域に根差した公民館事業をより一層効果的に進めるため、業務内容や組織体制を見直し、横断的な事業を展開するとともに、公民館事業を通じて地域におけるニーズを共有し、公民館機能を活かしたふれあいの場の充実・強化を支援してまいります。

また、合併後初となる全公民館合同企画として、(仮称)石巻市公民館合同文化祭を開催し、各地区の公民館利用団体の文化的交流と公民館職員の相互協力を促進してまいります。

4.産業の発展と雇用創出

四つ目は、「産業の発展と雇用創出」についてであります。

本市は、豊富な地域資源に恵まれ、漁港や港湾などの産業基盤も整っており、第一次産業から第三次産業までがバランスよく発展してまいりましたが、少子高齢化等にともなう担い手不足、近年の異常気象、ALPS処理水の海洋放出にともなう風評被害などに加え、物価高騰の影響もあって地域産業は厳しい状況にあります。

この状況を打開し、稼ぐ力を強化していくため、地域資源の活用、販路の拡大、担い手の確保・育成をはじめ、企業の経営体質強化や新たな事業展開に取り組む事業者の支援、雇用の場を確保するための企業立地の促進や創業支援に取り組んでいく必要があることから、次の各施策に取り組んでまいります。

まず、「地場産業の支援・高度化」に向けた取組といたしましては、本市の優れた農林水産物のブランド力の向上等を図るため、引き続き石巻市6次産業化・地産地消推進センターによる販路拡大、商品開発などの支援に取り組むとともに、輸出スキルの向上、地域が輸出しやすい環境づくりを推進し、アメリカ向け輸出を中心とした体制強化を図るため、石巻食品輸出振興協議会の活動を支援してまいります。

また、石巻地域産学官グループ交流会などの機会を活用し、今後、新たな利用が見込まれる新素材や新技術の活用について、関連事業者と連携しながら普及啓発と事業化に向けた取組を推進してまいります。

さらに、物質の構造をナノ(10億分の1)レベルで分析できる世界最高水準の分析機能を有し、国内外から大きな期待を集めている次世代放射光施設ナノテラスが今年度、本格運用される予定であります。この機会に、東北大学等の協力もいただきながら、幅広い事業者を対象とした活用事例等に関する勉強会の開催、施設利用に関する相談等に対応していくとともに、本施設における実験結果やデータ分析結果に基づき、地域資源を活用した製品等の研究開発や製品化等、さらには、その販路開拓など、各段階に応じて事業者をきめ細やかに支援し、新たな事業の創出を期してまいります。

併せて、企業の経営体質の強化や新たな事業展開を促進するため、「プロフェッショナル人材雇用助成金事業」を創設し、企業の成長戦略を具現化していく人材の雇用を支援してまいります。

水産分野におきましては、災害復旧事業完了後の漁港の利用状況や地盤隆起等自然環境の変化を踏まえ、漁業従事者の就労環境の改善と安全性の向上のため、漁港施設の機能強化、改良及び整備に努めてまいります。

また、ALPS処理水の海洋放出、海洋環境の変化等の諸問題により、苦境に立つ水産業界に対する、長期的視点に立った支援等の要望に加え、水産業における流通・生産の拠点としての機能強化等を図るため、特定第三種漁港市長協議会等の構成自治体との連携を強化してまいります。

磯焼けの改善をはじめ水産資源及び海洋環境の保全のため、引き続き種苗放流、藻場・干潟の保全や漂流漂着物の処理等、環境・生態系保全に資する事業を支援してまいります。

また、石巻魚市場の水揚げ高の増加や、水産加工業者への安定した原料供給に向けて、県内外の船主・生産者組合等への漁船誘致活動を継続的かつ効果的に実施してまいります。

石巻くじら振興協議会の活動を通じ、本市の伝統的な食材である鯨肉の消費拡大等を図り、鯨食文化の普及・継承を推進してまいります。

農業分野におきましては、気候変動や生物多様性の低下など地球規模での環境問題の影響を踏まえ、環境への負荷軽減に配慮した農業を推進してまいります。

また、オーガニック農法につきましては、食や環境への関心の高まりを受け、世界の有機食品売上は増加を続けており、国内市場も拡大傾向にあるなど、農業が持続的に発展していくための有効な手段の一つでありますので、生産者や消費者等の理解の醸成も図りながら、オーガニックビレッジ宣言に向けて、引き続き調査・検討を進めてまいります。

次に、「第一次産業における担い手の育成」に向けた取組といたしましては、若者や移住希望者を積極的に受け入れるため、体験交流型プログラムの事業実施、短期・中期の住まいや研修の場としてのシェアハウスの運営など、総合的な支援を行う「担い手育成センター運営事業」に引き続き取り組むとともに、独立支援をはじめ就業後のフォローアップを行い、就業者の受け入れ促進とその定着に努めてまいります。

次に、「企業立地と新規創業の促進」に向けた取組といたしましては、本市に新しい企業を呼び込むため、県内外の企業に対し、各種優遇制度や本市独自の助成制度、立地環境等をPRするなど、引き続き私が先頭に立って、積極的な企業誘致活動を推進してまいります。

また、事業所数が減少している中、雇用の場の確保と地域産業の活性化を図るため、関係機関との連携を図りながら、創業機運の醸成をはじめ、創業準備期から創業後に至るまでの包括的な支援に引き続き取り組んでまいります。

次に、「全世代の就労対策と支援」に向けた取組といたしましては、若者の地元定着を促進するため、高校生を対象とした合同企業説明会や地元企業見学会等、職業選択の材料となる機会を提供し、地元就職につなげてまいります。

また、働く意欲のある高齢者と働く場を掘り起こすため、引き続き、高齢者向けの合同企業説明会を開催するなど、関係機関等と連携を図りながら、年齢にかかわりなく就労できる環境を整備してまいります。

5.物流拠点の形成と新たな観光の構築

五つ目は、「物流拠点の形成と新たな観光の構築」についてであります。

本市の産業・経済の活性化、観光・文化の振興、さらには高度救急医療体制や災害時における緊急輸送・物流機能の強化といった面において、道路網や港湾の果たす役割は大きく、非常に重要なものとなっております。

また、豊かな自然や多彩な食材、文化など本市の魅力ある地域資源を様々な形で発信し、新たな観光ルートの構築による観光振興を進めていくため、次の各施策に取り組んでまいります。

まず、「物流機能の強化」に向けた取組といたしましては、粘り強い要望活動によって、海上輸送の拠点となる石巻港への耐震強化岸壁の整備が進められておりますが、更なる機能強化に向け、官民を挙げた要望活動を展開するとともに、石巻港の利用促進を図るため、港湾管理者等と連携したPR活動を展開してまいります。

また、宮城県が「仙台塩釜港港湾脱炭素化推進計画」の策定を進めておりますことから、港湾の競争力強化と脱炭素社会の実現への貢献のため、国・県との連携をより一層強化してまいります。

さらに、産業・経済の活性化はもとより、地域間連携による観光ネットワーク形成の効果が大いに期待できる、石巻新庄道路の早期実現に向け、関係自治体と国・県への働きかけを進めていくとともに、国道108号石巻河南道路の整備を促進してまいります。

次に、「新たな観光資源の構築と情報発信の強化」に向けた取組といたしましては、首都圏や仙台圏のイベントスペースや情報ブースなど、従来の発信方法に捉われることなく、活用できる媒体を幅広く、積極的に利用していくとともに、いしのまき観光大使の皆様にも御協力をいただくなど、多様な方法で本市をPRし、さらなる観光誘客に取り組んでまいります。

また、せんだい・宮城フィルムコミッションと連携し、本市を舞台とした映画やドラマ、CM等のロケーション撮影を誘致するとともに、映画等のプロモーションやロケ地マップの作成にも積極的にかかわることで、本市の魅力をより効果的に発信してまいります。

さらに、石巻港への客船誘致活動を積極的に行い、国内外からの誘客を推進するとともに、寄港時には市民と一体となった歓迎イベントを開催するなど、港湾を活用した地域活性化に取り組むほか、みちのく潮風トレイル関係自治体協議会及び日本遺産「みちのくGOLD浪漫」推進協議会会員自治体との連携を図りながら、認知度の向上と新たな魅力の発信に取り組んでまいります。

中心市街地の回遊性の向上等による賑わいの創出を図るため、「ベンチアート事業」として、マンガモニュメントと一体化したベンチを設置するとともに、マンガやアニメ好きな方々の交流や創作活動の拠点ヒトコマの運営を支援し、マンガの街いしのまきとしての魅力を高めてまいります。

中心市街地における歴史や文化の発信拠点の一つとして位置付けている旧石巻ハリストス正教会堂を価値ある文化財として、市内外に広く発信するため、「石巻市指定文化財旧石巻ハリストス正教会堂整備事業」として、教会堂の外壁及び施設周辺の環境整備を実施してまいります。

また、「文化財ガイドボード等整備事業」として、旧観慶丸商店をはじめとした案内板設置のほか、本市の歴史や東日本大震災の被害状況等を後世に末永く伝えていく説明板の設置に向け、整備方針や説明内容等を検討していくとともに、水辺空間を活かした中瀬公園の整備を進めてまいります。

川沿いエリアから立町・中央、そしてJR石巻駅前等への回遊性の向上のため、「街なかデジタルサイネージ設置事業」として、かわまち交流拠点に観光情報や中心市街地のイベント情報等を発信する、デジタルサイネージを設置してまいります。

また、市民が集い、賑わいと活気ある中心市街地の活性化に向け、引き続き、「中心市街地賑わい創出事業」により空き地・空き店舗を活用した事業や街なかで開催するイベント等を支援してまいります。

6.定住自立圏構想の実現

六つ目は、「定住自立圏構想の実現」の取組についてであります。

全国的に人口減少、少子高齢化が進んでいる中、各市町が有する機能、資源を有効活用し、住民が安心して暮らし続けることができるよう、様々な分野において連携・協力しながら圏域全体の活性化を図り、住民はもとより移住者の定住を促進することで、今後も石巻圏域が将来にわたって持続していくため、次の各施策に取り組んでまいります。

まず、「圏域における移住定住の促進」に向けた取組といたしましては、首都圏等で開催される移住相談イベントにおいて、圏域の魅力を発信するほか、2市1町の魅力的なスポットを巡る移住体験ツアーなどに引き続き取り組んでまいります。

次に、「圏域における交流人口の拡大」に向けた取組といたしましては、2市1町で構成する、一般社団法人石巻圏観光推進機構との連携、協力体制のもと、通過型から滞在型観光への転換に向け、みちのく潮風トレイルや教育旅行の事業周知を積極的に行いながら、引き続き受入れ環境の整備、地域資源を活用した広域観光を推進してまいります。

次に、「持続可能な地域社会の構築」に向けた取組といたしましては、広域で連携し、スケールメリットや相互補完により実行可能性を高めていくため、2市1町が連携し、いしのまき圏域SDGsシンポジウムをはじめ、いしのまき圏域ビーチクリーンを実施するなど、SDGsの推進に取り組んでまいります。

また、新たに図書館における共同イベントの開催や市民環境教室への圏域住民の参加、各市町が開催するごみ減量化・再資源化推進のための普及啓発イベントへの相互参加といった連携を進めてまいります。

行財政運営

次に、「行財政運営」の取組についてであります。

限られた行財政資源を活かした持続可能な行財政運営を推進していく必要があることから、次の各施策に取り組んでまいります。

まず、「市民サービスの向上」に向けた取組といたしましては、動く市長室をはじめ、まちづくり懇談会など様々な機会を捉え、積極的に市民の皆様の意見を伺いながら、市民の皆様とともに未来を見据えたまちづくりを進めてまいります。

また、次世代を担う若者に石巻の将来を考えていただくなかで、郷土に対する愛着と誇りを持っていただくため、いしのまき政策コンテストを開催するほか、子どもたちがまちづくりについてアイデアを出し合い、直接、市に提言する事業についても、引き続き支援してまいります。

なお、デジタル技術を活用した行財政運営の一環として、職員がこれまで手入力で行っていた議事録作成事務に、AI音声認識システムを導入し、音声を自動的に文字化することで職員の作業負担の軽減と事務効率の向上に取り組んでまいります。

次に、「持続可能な行財政運営の推進」に向けた取組といたしましては、昨年度は、事務事業評価の本格実施とともに、「第2次総合計画基本計画」の各種指標の変更を含めた評価・検証を行うことにより、PDCAサイクルの確立に取り組んでまいりました。今年度は、業務の目的、成果、コストを意識した遂行と行財政資源の効果的・効率的な配分を推進する事務事業評価制度を確立し、業務の改善と事務事業の見直しを積極的に進めてまいります。

政策評価には、政策の「現在地」を正しく知り、そこから「目的地」に向けた道標としての機能が期待できます。内外の歴史的・構造的な変化と課題に直面している状況下ですので、政策評価の機能を積極的に活用し、積年の課題や前例のない課題に、果敢に挑戦し、政策を前に進める行政を実現してまいります。

ChatGPT等の生成AIの導入については、情報漏えいや著作権の侵害といった危険性も指摘されている一方、業務の効率化や住民サービスの向上などが見込まれることから、国の動向を注視するとともに、生成AIの導入や試行利用等に取り組んでいる先進自治体の情報も収集し、導入に向けたルールづくりなどの検討を進めてまいります。

また、持続可能な行財政運営を進めていくためには、職員一丸となって「行財政改革推進プラン2025」掲載事業を確実に実施していくことが必要です。特に、歳入の確保策として、「債権管理基本方針」に基づく債権の適正管理、遊休資産の売却、国債等の債券による基金の運用に取り組むとともに、ふるさと納税制度を活用した、がんばる石巻応援寄附金についても、より魅力的な返礼品の提供、掘り起こしを行い、寄附金額のさらなる増加に取り組んでまいります。

予算編成

次に、予算編成について申し上げます。

令和6年度当初予算編成に当たりましては、健全で持続可能な財政基盤の確立を基本方針とし、歳入に見合った歳出予算、財政規律の遵守及びコスト意識の徹底、事務事業の厳選及び厳選した事業の推進の3つの方針を掲げ、限られた財源の中、健全で持続可能な財政基盤の確立と施策の推進の両立を目指した予算編成を行うことといたしました。

この結果、令和6年度予算は、

「一般会計」で、712億円、

「水産物地方卸売市場事業特別会計」をはじめとする4特別会計で、348億円、「病院事業会計」で、60億円、「下水道事業会計」で、149億円、全会計の総額で、1,269億円となっております。

厳しい財政状況を踏まえ、徹底した歳入確保及び歳出削減に取り組み、持続可能な行財政運営の推進に努めてまいります。

組織機構の見直しにつきましては、少子高齢化が急激に進行する中、アフターコロナや物価高騰への対応、子育て環境の充実など、持続可能なまちづくりを推進する組織体制への転換が求められます。

今回の見直しにつきましては、現組織を基本としながらも、国が物価高騰対策として実施する給付金支給等に対応するための「臨時特別給付金室」、妊娠期から子育て期までの包括的な支援を行うための「こども家庭センター」を設置するとともに、本市への観光誘客の促進とDXの更なる推進に向けて、観光課を「観光政策課」に、ICT総合推進課を「DX推進課」に課名を変更し、体制を強化するなど、効果的・効率的な組織体制の構築を図ってまいります。

以上が令和6年度に臨む私の基本姿勢と令和6年度予算案であります。

むすび

この3年間、その大半は新型コロナウイルスの感染拡大が続き、かつてない様々な制約下における市政運営を余儀なくされるなど、大変厳しい状況にありました。

もとより、私たちの社会は相互依存関係の下で成り立っております。人には他者が必要であり、自分が抱える問題を独りで解決することなど誰にもできないわけであります。そして、誰かが問題を抱えているならば、ほかの人もまた、同様の問題を抱えているということであります。

そうした中、改めて、私は座右の銘である、己を忘れ他を利する「忘己利他」の思いを強くし、何よりも市民のため、そして愛するふるさと石巻を想い、身を粉にして奔走してまいりました。

一方、経済・社会の基盤が大きく変わろうとしている今日、私たちは、一人ひとりが多様性に満ちた社会の一員であり、これまでの、そしてこれからの長い歴史の一端を担っていること、なればこそ、私たちはなぜ生まれたのか、どう生きるのか、こうした根源的な問いや思考することこそ、これからの社会を形づくるエネルギーになるのではないでしょうか。

そのような思いの下で、今年度は任期の集大成として、ゆるぎない決意をもって、これまで述べてまいりました6つの重点施策に取り組み、人口減少の抑制と稼ぐ力を強化・創出する地方創生・まちづくりを強力に推し進めてまいります。

併せて、自然災害が激甚化・頻発化している状況から、市民が安全に安心して暮らすことができるよう、災害に強いまちづくりも進めてまいります。

次代を担う子どもたちがより健やかに、また、より豊かな人生を送ることができるよう、そして、市民の皆様の幸せを願いながら、この厳しい状況を皆さんと手を携えて、オール市民で人口減少・少子高齢化など山積する諸課題に柔軟かつ力強く対応できる、活力に満ち、市民が住むことに誇りを持てるまちを築いていくため、これからも全身全霊で取り組んでまいります。

結びに、市民の皆様のお力添えと議員各位のより一層の御理解、御協力を賜りますよう衷心よりお願い申し上げまして、令和6年度の施政方針といたします。

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部署名:復興企画部 政策企画課
電話番号:0225-95-1111

企画調整担当
政策推進担当