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令和5年度施政方針

更新日:2023年2月9日

はじめに

令和5年「石巻市議会第1回定例会」に「令和5年度各種会計予算並びに諸案件」を提案するに当たり、市政運営に取り組む所信の一端と施策の大綱について御説明申し上げます。

はじめに、新型コロナウイルス感染症への対応が長期化する中、日々最前線で尽力されている医療並びに福祉関係者の皆様に、厚く御礼申し上げます。

私が市長に就任いたしましてから、間もなく2年が経過します。この間、市民の皆様の声にしっかりと耳を傾けながら、常に現場主義に徹してまいりました。

なかでも、コロナ禍は医療にとどまらず、教育、産業などはもとより、各種行事・イベントに至るまで、各般の市行政にわたり、更には、生活スタイルや働き方の変革など社会的にも大きな影響と課題を招来しております。

渦中にあって、行政を預かる者としては、「ポストコロナの社会」に思いをめぐらし、その方向性を求めることしばしばでありました。

そうした折に浮かんでまいりましたのが「利他の思い」でありました。もとより、「忘己利他」は、私の座右の銘でありますが、地球温暖化やコロナ禍に直面している今日、「他者」とは、人はもとより「生きとし生けるもの」であり、「自然」さらには「地球」そのものを指しているのではないでしょうか。我々自身の生存の基盤である自然、そして地球を利すること・良い状態を保つこと、そのことが我々に幸福という利益をもたらすことになるのではないでしょうか。

このように、「利他の思い」は改めて私の施政の底流をなしているところであります。

まず、昨年度取り組んできた事業についてでありますが、復興事業につきましては、震災の影響による広域的な地盤沈下に対応するため整備を進めてきた雨水排水ポンプ場、全11施設のうち、既に稼働済みの9施設に加え、来月には全てのポンプ場が稼働します。

また、かわまち交流拠点整備事業の一つとして整備を進めてきた「かわまち交流広場」が完成するほか、災害時における避難路等として整備を進めてきた都市計画道路「釜大街道線」や「石巻工業港運河線」も全線開通するなど、ハード整備につきましては完結を迎えます。

国内はもとより、世界中の皆様からいただきました温かい御支援に感謝いたしますとともに、各種復旧・復興事業に従事いただきました全国の自治法派遣職員等の皆様をはじめ、国・県、その他多くの関係者の皆様に対し、心より御礼申し上げます。

しかしながら、被災された方、お一人お一人が直面されている課題は様々であり、取り巻く社会情勢も大きく変化してきておりますことから、心の復興はもとより、地域社会から孤立することや孤独に悩むことなどへの対応として、地域コミュニティの再構築、心身のケア等に取り組んでまいります。

次に、重点施策についてでありますが、「全ての世代が生きがいを持って活躍できるまちづくり」につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で延期又は中止としてきた各種イベントについて、感染症対策を徹底するとともに、来場された方々にも御協力をいただくことで、徐々に再開することができました。

なかでも、本市最大のイベント「石巻川開き祭り」は、3年ぶりに小学校鼓笛隊パレードや孫兵衛船競漕、花火大会といった主要行事を実施し、大いに盛り上がりを見せたほか、各地域のイベント、お祭りも再開したことにより、地域のにぎわいや魅力の創出などにつながったものと考えております。

また、「いしのまき復興マラソン」や「ツール・ド・東北2022」等のスポーツイベントも再開し、市内外から多くの方々に参加していただき、復興の息吹を感じていただいたほか、地元の特産品を味わっていただくなど、参加者と地域の方々との交流も育まれました。

さらには、アート、音楽、食の総合芸術祭「Reborn-Art Festival 2021-22」は、コロナ禍での開催ということもあり、2か年の分散開催となりましたが、多くの出会いが創出され、交流人口、関係人口の拡大が図られたと考えております。

コロナ禍ではありましたが、このように各種イベントを開催することができましたのも、開催に御尽力をいただきました関係者、御来場いただいた方々や地域の方々の御理解と御協力によるものであり、心より感謝申し上げます。

次に、「安全・安心なまちづくり」につきましては、石巻赤十字病院、地元医師会、薬剤師会、市立病院及び牡鹿病院との連携により、新型コロナウイルスワクチン接種体制を確立したほか、新たに接種対象者となりました乳幼児への接種についても、昨年11月から開始しました。

また、昨年5月からは、濃厚接触者の方々へ物資を配送する支援を講じてきたほか、石巻圏域として年末年始における発熱患者に対応するため、市立病院での患者の受入体制を確保するとともに、石巻赤十字病院、地元医師会、宮城県、東松島市、女川町との連携により、救急当番医に加え、重症化リスクの高い患者が受診することのできる体制を確保したところであります。

さらに、ウィズコロナの下、経済活動の正常化が進展する一方、原材料価格の上昇や円安の影響等によるエネルギー・食料品等の価格上昇が市民生活や事業活動に大きな影響を及ぼしている状況に鑑み、電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金等の速やかな支給に努めるとともに、事業者に対する電気料金支援金の交付、地域商品券、食事券事業の実施により、市民の消費喚起による地域経済の活性化、物価高騰に直面する生活者支援などの独自支援策を講じてまいりました。

次に、「人口減少対策と地域コミュニティの強化」につきましては、移住促進のためのワンストップ窓口として、SDGs移住定住推進課を設置し、定住促進を図るため、住宅取得等に係る補助制度を創設したほか、都市部の若者等が一定期間滞在し、働きながら地域の方々との交流などを通じ、通常の旅行では味わえない石巻をまるごと体験していただく「ふるさとワーキングホリデー事業」を実施したところであり、参加された方々の将来的な移住へとつながっていくことを期待しております。

また、より子育てしやすい環境を整備し、結婚から子育てまで切れ目のない支援の一助とするため、新婚世帯の新居購入、家賃、引越費用及びリフォーム費用を補助する「結婚新生活支援事業補助金」を創設したほか、「子ども医療費助成事業」の助成対象を18歳に達する日の属する年度の末日まで拡大したところであります。

次に、「産業の発展と雇用創出」につきましては、石巻食品輸出振興協議会により、在米日本国大使館との連携事業として、米国のシェフ、ジャーナリスト、インフルエンサーを招致し、石巻産食品の強みをアピールしてまいりました。

また、首都圏等の企業に対し、産業用地の提案や各種優遇制度等をPRするための企業訪問活動の実施、立地を検討している企業との折衝や立地に向けた各種支援に取り組んだことにより、産業用地への立地が進んでおります。

さらに、市内大型商業施設において、創業間もない事業者が、自身の取り扱う商品やサービスをPRする機会を提供し、事業の継続、拡大に向けた支援を行ってまいりました。

次に、「物流拠点の形成と新たな観光の構築」につきましては、昨年7月、涌谷町・気仙沼市・南三陸町、岩手県の陸前高田市・平泉町で構成され、文化庁が認定する日本遺産「みちのくGOLD浪漫 黄金の国ジパング、産金はじまりの地をたどる」に、本市の「金華山詣」と「金華山道」が、新たに追加認定を受けたほか、「石巻地区かわまちづくり」の取組が令和4年度「かわまち大賞」を受賞するなど、本市の知名度を高めることができました。

また、昨年11月に、新型コロナウイルス感染症の影響で寄港中止が相次いでいた大型客船が3年ぶりに寄港し、乗船客の方々に市内観光を楽しんでいただくことができました。

次に、「広域連携体制の強化」につきましては、震災の影響で協議を中断しておりました定住自立圏構想の協議を再開し、震災後のまちづくりや社会情勢の変化等に鑑み、中心市宣言及び協定の一部を変更し、2市1町が連携して推進していく具体的な取組の内容等を示す「石巻圏域定住自立圏共生ビジョン」を昨年10月に策定したところであります。

また、歳入確保のため取り組んできた、ふるさと納税につきましては、魅力的な産品の追加による多様なニーズへの対応、イベント出展をはじめ、名刺や電子メール署名の活用など、あらゆる機会をとらえ、積極的なPR活動等に取り組んだ結果、一昨年度の申込実績は、寄附件数が約4万3千件、寄附金額が約5億3千万円と対前年度比、件数で約1.6倍、金額では約1.47倍と増加し、さらに、昨年12月末現在の申込実績は、寄附件数が約6万件、寄附金額が約7億円と対前年度同期比で件数、金額ともに1.5倍を超えました。

このような着実な歩みを一歩一歩重ね、更なる石巻の発展に尽力してまいります。

重点施策

それでは、令和5年度に取り組む6つの重点施策について、述べさせていただきます。

1.全ての世代が生きがいを持って活躍できるまちづくり

一つ目は、「全ての世代が生きがいを持って活躍できるまちづくり」についてであります。

地域の誰もが生きがいを持って生活するためには、多彩な祭りやスポーツ、文化芸術活動を通じて、多くの方々が楽しみ、生き生きとして活躍できる魅力あるまちづくりに取り組むことで、交流人口を拡大していく必要があることから、次の各施策を進めてまいります。

まず、「交流人口の拡大」に向けた取組といたしまして、本市最大のイベントであります「石巻川開き祭り」が、本年は第100回の記念すべき大会となります。記念大会にふさわしい特別事業を盛り込んだ企画を、市民の皆様と力を合わせ、一体感のある祭りとして開催してまいります。

また、各地域の歴史や文化等を育む魅力ある祭り、イベント等を開催することで、にぎわいの創出を図ってまいります。

本年3月に設立予定の「(仮称)いしのまきスポーツコミッション」の運営支援の取組として、設立後の運営体制の強化に向け、官民連携の下で、スポーツと様々な地域資源を融合した戦略的な取組を実施し、スポーツを通じた地域活性化と交流人口の拡大に取り組んでまいります。なお、スポーツツーリズムのコンテンツに「東京2020オリンピック競技大会」で正式種目となり、注目を集めたスポーツクライミング等を取り込むことの可能性について、研究を進めてまいります。

また、「石巻市総合運動公園陸上競技場整備事業」については、誰もが利用しやすく、アスリートの育成・強化やスポーツを通じた交流のまちづくりに資する環境整備を目指し、施設規模や機能等について、関係団体等を交えた調査・検討を行いながら、基本計画を策定してまいります。

市民が地域の歴史や文化を理解し、自分自身のルーツを確かめることは、地域で生きていくことのモチベーションにつながります。石巻市博物館では、企画展・特別展の開催を通じて、博物館資料や本市に関する調査研究の成果を分かりやすく発信し、地域に対する理解を深め、市民の知的探求心を満たすことで、心の豊かさの醸成を図るとともに市外からの誘客にも努めてまいります。

次に、「高齢者の生きがいづくり」に向けた取組といたしましては、高齢者の方々が住み慣れた地域でいつまでも健康的な日常生活が送れるよう、地域の集会所等において各種介護予防事業を実施し、心身機能の低下を防ぐとともに、社会的な孤立感の解消、仲間づくりを支援するため、高齢者の知識と経験を活かした創造的活動や様々な趣味活動の場を提供することで、生きがいづくりを支援してまいります。

また、旧宮城県石巻合同庁舎跡地を活用し、子どもから高齢者まで自由に憩える場として、そして、健康づくりを通じた健康寿命の延伸に資する場として、隣接するグリーンロードとの一体的な活用なども視野に、多目的広場として整備するための設計業務に着手してまいります。

次に、「豊かな自然の保護と魅力の発信」の取組といたしまして、本市最大の魅力は、海、山、川が織りなす豊かで美しい自然景観であることから、より多くの方々に自然と触れ合う機会を提供し、本市の豊かな自然の魅力を発信するとともに、エコツーリズムや環境教育の推進により、市民の環境保全に対する意識の醸成にも取り組んでまいります。

また、2050年カーボンニュートラルの達成に向け、CO2排出量削減のための検討を進めるほか、新たな海洋汚染をゼロにする大阪ブルー・オーシャン・ビジョン等を見据えながら、引き続き家庭から排出されるプラスチック類の分別回収及び資源化処理を推進するための調査・検討も進めてまいります。

次に、「SDGsの推進」につきましては、これまでSDGsの認知度向上の取組を進めてまいりましたので、市民の皆様の間に着実に浸透・認知されてきていると感じております。

持続可能な地域社会を構築していくためには、SDGsを身近なものと捉え、市民一人一人が17のゴールを意識し、自分事として取り組むことが重要であります。引き続き、SDGsの認知度向上に努めるとともに、「石巻圏域2市1町のSDGs推進宣言」に基づき、石巻圏域のスケールメリットを活かし、2市1町の連携・協力を一層深めながら、SDGsの普及啓発・推進に取り組んでまいります。

2.安全・安心なまちづくり

二つ目は、「安全・安心なまちづくり」についてであります。

近年、全国各地で災害が激甚化・頻発化しており、災害から命と暮らしを守るためには、ハード面とソフト面の対策を組み合わせた総合的な防災・減災対策に取り組む必要があります。

また、長期化する新型コロナウイルス感染症への対応として、社会経済活動への影響等も踏まえつつ、市民の安全・安心な生活を守るため、医療提供体制やワクチンの迅速な接種体制を確保する必要があります。

全ての市民が安心して、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、安全・安心なまちづくりに向け、次の各施策を進めてまいります。

まず、「災害に強いまちづくりの確立」に向けた取組といたしましては、昨年5月の「宮城県津波浸水想定」の公表を受け、津波対策をはじめとした集中豪雨などによる自然災害に備え、地域防災力の機能強化や対策強化が急務となっておりますことから、東日本大震災を上回る津波に対する市民の不安を解消し、安心して暮らしていただけるよう、今年度中に地域防災計画の見直しや津波ハザードマップの作成を行い、「何としても人命を守る」という強い決意で、防災対策に取り組んでまいります。

また、石巻地区広域行政事務組合消防本部に隣接する市有地の一部に、防災倉庫及び自主防災組織や消防団などの各種訓練場を整備し、消防や関係機関と連携・協力を図りながら、地域防災力の向上に取り組んでまいります。

令和6年2月に女川原子力発電所の再稼働が見込まれる中、万一の原子力災害時における避難を確実なものとするためには、避難道の整備が不可欠であります。住民の生命、身体、財産を守る責務を有する国及び事業主体である県に対し、災害に強い避難道の整備を強く求めてまいります。

また、災害時における市民の迅速かつ安全な避難、物流機能の強化はもとより産業振興も含め、都市計画道路「七窪蛇田線」をはじめ、幹線道路等の整備を推進してまいります。

さらに、県が開発中の避難支援アプリの活用などによる避難の円滑化を含め、継続して避難訓練の検証を行い、避難計画の実効性を高めてまいりますとともに、避難支援アプリを普及させるための周知・広報等に取り組んでまいります。

大雨等の被害から市民の生命・財産や安全・安心な暮らしを守るため、引き続き雨水排水ポンプ場や雨水管渠の整備、降雨時の水害等を防止するための下水路の改修を推進するとともに、住宅や店舗などに止水板を設置する方々に対し、工事等に要する費用の一部を助成することで、浸水被害の軽減を図ってまいります。

次に、「市民の健康・命を守る医療体制の充実」の取組といたしましては、安心して暮らせる地域社会を実現するため、地元医師会や医療機関と連携し、休日及び夜間における外来・入院診療や救急医療等の医療体制の確保に取り組んでいくほか、市立病院におきましても、診療体制の充実を図るため、医師の確保に努めるなど、将来を見据えた持続可能な医療体制の構築に取り組んでまいります。

また、新型コロナウイルス感染症への対応として、市立病院での患者対応、診療はもとより石巻赤十字病院、地元医師会、県等との連携により、医療提供体制を確保してまいりますとともに、ワクチン接種の周知徹底を図りながら、国の方針に従い、適宜、地域の実情に応じたワクチン接種体制を整備し、感染拡大の抑止に努めてまいります。

さらに、離半島部における診療所の運営により、地域住民が安心・信頼できる医療の確保に努めてまいります。

次に、「介護従事者の働く環境整備と人材育成」の取組といたしましては、質の高い人材を安定的に確保できるよう、介護従事者の処遇改善や労働環境整備、離職防止等、定着に結びつけるための措置について、引き続き国へ要望してまいります。

また、介護に対するイメージアップを図る普及啓発活動のほか、介護事業所に勤務する職員を対象とした、質の高い介護サービスを提供するための研修会の開催など、介護人材の育成強化を図るとともに、医療、介護、福祉分野の専門資格を有し、本市への居住及び就労を条件に奨学金返還額の一部を助成する奨学金返還支援事業について、事業期間を延長し、人材の更なる確保と定住促進にも努めてまいります。

次に、「地域共生社会の実現」への取組といたしましては、地域包括ケアシステムの構築を一層推進するため、在宅医療と介護の一体的な提供が行えるよう、医療・介護関係者の研修等、情報共有の徹底を図り、連携体制を強化してまいります。

また、「次世代型地域包括ケアシステム」を推進するため、「地域互助活動促進事業助成金制度」を見直し、「コミュニティ形成支援補助金制度」を取り込みながら、住民主体による活動の促進とコミュニティの醸成を図るとともに、複雑かつ複合化した課題を包括的に受け止める多機関の協働による相談支援体制を構築し、適切な支援を行ってまいります。

さらに、高齢者のみならず、障がい者や子ども等も対象とした共生型の通所サービスを提供し、保健・福祉を必要とする方々の居場所の確保と見守り等を行いながら、社会的孤立感の解消と心身機能の維持向上を図ってまいります。

障がい者の自立と社会参加への支援を行うとともに、障がい者に対する理解を深めるため、研修会等の開催や市民と障がい者が交流する様々な機会を周知し、相互に尊重し合いながら、誰もが安心して暮らせる障害福祉の充実を図ってまいります。

また、共助型復興公営住宅の入居者が、自立した生活を送るとともに、お互いに支え合い、生活する環境をサポートするため、常駐型の支援員を配置し、見守りや健康・介護相談、緊急時対応等に取り組んでまいります。

さらに、「コミュニティカーシェアリング」を行う団体の立上げを支援し、移動支援や外出機会の創出を図るとともに、支え合う意識を醸成し、地域力の向上に努めてまいります。

「石巻市犯罪被害者等支援条例」を制定し、犯罪被害者等が受けた被害の早期回復と軽減に努め、安全で安心して暮らすことのできる地域社会の実現に取り組んでまいります。

本市の公共交通の拠点である石巻駅前広場のバリアフリー化事業については、今年度中の完了を目指して整備を進めてまいります。

3.人口減少対策と地域コミュニティの強化

三つ目は、「人口減少対策と地域コミュニティの強化」についてであります。

少子高齢化は一層進行しており、人口減少対策として、出生率を向上させるためには、様々な施策を組み合わせて総合的に推進する必要があります。

また、若者を中心にライフスタイルや働き方の多様化が進み、地方での起業、二地域居住や多拠点居住、テレワーク・リモートワークの普及など、地方移住への関心が高まっている状況に鑑み、積極的な移住促進に取り組んでいく必要があります。

さらに、近年、地域でのつながりの希薄化や高齢化による地域活動の担い手不足など地域コミュニティを維持していくことが困難な状況となってきております。災害時をはじめ、いざというときに住民同士が支え合う地域コミュニティの重要性はますます高まっていることから、次の各施策を進めてまいります。

まず、「結婚から妊娠、出産、子育てまでの切れ目のない支援」への取組といたしましては、結婚を希望する方を後押しするため、独身者が出会える機会の創出に努めるほか、若い世代の婚姻に伴う経済的負担の軽減を図るため、引き続き「結婚新生活支援事業」に取り組んでまいります。

また、核家族化が進み、地域のつながりが希薄化する中で、孤立感や不安感を抱く妊婦や子育て家庭等への対応が課題となっています。全ての妊婦・子育て家庭が安心して出産・子育てができる環境整備に向け、出産・子育ての伴走型相談支援、経済的な支援を一体として実施する事業に活用できる「出産・子育て応援交付金」の概要が国から示されたことから、本市としても、早期に事業を実施してまいります。

近年、若年層の罹患者が増加傾向にある子宮頸がんは、検診の受診率が総じて低く、特に20代、30代の受診率が低い状況にあることから、受診率の向上、早期発見、早期治療につなげるため、感染リスクが高まる年代を対象に「HPV自主検査キット」を無償配布し、安心して子どもを産み育てられる環境づくりを推進してまいります。

また、新生児の音声言語発達等への影響を最小限に抑え、早期発見・早期療育の促進と経済的負担の軽減を図るため、「新生児聴覚検査費用助成事業」を創設するとともに、引き続き3歳児健康診査において屈折検査を実施し、屈折異常や斜視などを早期に発見し、適切な治療につなげてまいります。

「育児ヘルパー事業」をはじめとする子育てに関する各種サービス事業の利用促進に努めるほか、関係機関と連携し、様々な課題を抱えている子どもたちの現状把握、安心して過ごせる居場所の充実、安心して子どもを産み育てられる環境づくりの推進、積極的な周知広報に取り組んでまいります。

また、保育環境の整備としては、「第2期石巻市公立幼稚園・保育所・こども園再編計画」に基づき、民間事業者の積極的な誘致により、市民の幅広い保育ニーズに対応するとともに、公立施設の統廃合により生じる人材の安定確保に努め、特別な支援を必要とする児童への対応、保護者ニーズに即した幼児教育・保育の充実を図ってまいります。

さらに、共働き世帯や核家族世帯の増加に伴い、放課後児童クラブの利用希望者数は、今後も増加することが見込まれますことから、開設時間の延長をはじめ、多様な利用者ニーズに対応するため、民間委託を推進してまいります。

保護者の疾病等により、養育困難な児童や保護を要する児童について、一定期間、里親家庭において養育又は保護する「子育て短期支援事業」により、児童の健全育成を図ってまいります。

昨年度拡充した「子ども医療費助成事業」について、年次更新手続を廃止し、助成対象者の申請手続の負担軽減を図ってまいります。

また、中学生を対象に、将来自分が親になるイメージを抱き、命の大切さや子どもを産み育てる意義の理解促進に向け、子育てに関する講義と併せ、男女の体の違いや妊娠の仕組み、多様性に対する啓発などを取り入れた授業を引き続き実施してまいります。

さらに、昨年、「育児・介護休業法」が改正され、男女ともに子育てや介護をしながら働き続けることができる社会を目指し、育児休業の取得回数制限等が緩和されていることから、職員の率先した休業取得と育児参加を促進するとともに、市内事業者においても休業取得のしやすい機運を醸成するため、制度周知と啓発に取り組んでまいります。

次に、「教育環境の充実」への取組といたしましては、幼児教育は、子どもの基本的な生活習慣や態度を育て、道徳心の芽生えを培い、学習意欲や態度の基礎となる好奇心や探求心を養い、創造性を豊かにするなど、その後の生きる力の基礎や生涯にわたる人間形成の基礎を培う上で重要な役割を担っていることから、「(仮称)石巻市幼児教育推進会議」を設置し、本市の実態に応じた幼児教育プラン等の調査・研究に取り組んでまいります。

また、児童生徒の主体的に生きる力を育成するため、学校と家庭・地域が連携して活動し、教員の指導力を向上させることで、児童生徒の学習や活動意欲を高める、わくわくする学校づくりや、活気あふれるイベントの実施により、児童生徒に挑戦意欲や達成感を与え、学びの土台をつくってまいります。

さらに、児童生徒の学力向上に向け、年2回の標準学力調査の結果分析によるPDCAサイクルを確立し、授業の改善を行うほか、保護者面談において分析結果を共有し、タブレットドリルを有効活用するなど、つまずき解消や学習習慣の確立に家庭と連携して取り組むとともに、教職員の学習指導力向上を図るため、引き続き教職員等研修を実施してまいります。

学校と家庭・地域、教育委員会それぞれの役割を明確にし、互いに連携しながら取り組むための指針として「石巻市子どもの体力向上プラン」の作成を進め、本プランに基づき児童生徒の体力の底上げに取り組んでまいります。

また、生徒のニーズを踏まえた充実した中学校部活動の展開、教員の負担軽減を図るため、「部活動指導員の配置事業」を実施し、併せて、中学校部活動の円滑な地域連携・地域移行に関する意見をいただくため、学識経験者やスポーツ及び文化団体の有識者等による懇談会を設置し、将来的な部活動の地域連携・地域移行のあり方を検討してまいります。

本市の不登校児童生徒への総合的な支援施設として、これまで通所による支援を行ってきた「けやき教室」と学校や家庭への訪問支援を行ってきた「子どもサポートハウス」を統合し、新たに相談支援の役割を加えた教育支援センター「石巻市学びサポートセンター」を設置することから、学校と外部機関との連携を図りながら、児童生徒や保護者に適切な支援を行うことで、不安や悩みなどの心的リスクを軽減し、学習機会の確保と社会的自立につなげてまいります。

学校施設の安全確保のため、「学校施設整備保全計画」に基づき、石巻中学校の校舎及び屋内運動場の長寿命化改修工事を行うとともに、各学校施設の改築工事等を実施し、教育環境の維持・充実に努めてまいります。

また、安全・安心な学校給食の安定供給を維持・継続していくため、令和9年度中の「新学校給食センター」の開所を目指し、準備を進めてまいります。

さらに、徴収・管理業務の効率化と教職員の負担軽減を図るため、文部科学省が策定した「学校給食徴収・管理に関するガイドライン」に基づき、「学校給食費徴収システム」を導入し、令和7年度の運用開始に向け、必要な準備を進めてまいります。

次に、「移住促進と関係人口の創出」に向けた取組といたしましては、全国の移住希望者や首都圏の大学に通う学生に対し、本市の魅力を積極的に情報発信するとともに、移住相談窓口による的確なサポートに努めてまいります。

また、引き続き移住体験機会を提供する「お試し移住事業」や移住される方の住宅取得や改修費用を支援する「定住促進住宅取得等補助金事業」を実施するとともに、車の運転に不慣れな移住者が市内の自動車教習所においてペーパードライバー講習を受けた際の費用を補助する「脱ペーパードライバー支援補助金」を創設し、一人でも多くの方が安心して本市に移住していただけるよう取り組んでまいります。

さらに、海外から広く外国人人材を呼び込むことで、人口減少対策をはじめ、介護、水産業等の多様な人材確保、関係人口や交流人口の増加及び消費の拡大など、将来にわたって活力のある持続可能な地域社会を実現するため、県との連携を図り、日本語学校の開設に向けた調査など準備を進めてまいります。

次に、「持続可能な公共交通ネットワークの整備」の取組といたしましては、高齢者や若者、子育て世代や障がいのある方など、誰もが生活する中で利用しやすい公共交通ネットワークの実現を目指し、半島沿岸部から市街地まで乗り換えなしでの移動を可能とするバス路線の再編をはじめ、全ての市民が利用しやすい、利用したいと思える路線バスの運行ダイヤや運賃設定の見直しなど、総合交通計画に基づく各種施策を推進してまいります。

次に、「地域コミュニティの充実と強化」に向けた取組といたしましては、豊かな地域づくりの実現に向け、公民館機能を活用し、市民が利用しやすい、人と人とのふれあいと交流の場として、更には、地域課題の解決へと寄与する学習の場づくりとしての事業を推進してまいります。

地域コミュニティの基礎となる自治会におきましては、活動の担い手不足や住民同士のつながりの希薄化が進んでいることから、自治会と連携を図りながら加入促進に取り組んでまいります。

また、地域の多様化する課題解決や活力ある住民主体の地域づくりを目指し、「ずっと住みたい地域づくり支援事業」により、地域住民の力や知恵を活かした、住民が主役の地域づくりへの意識醸成を図りながら、住民自治組織の設立に向けた支援を行ってまいります。

さらに、地域コミュニティを推進する上で重要な施設である集会所の整備等に係る補助制度については、昨年見直しを行ったほか、地域の実情に合わせた制度の検討を行い、地域住民の負担軽減を図ってまいります。

本市の離島である網地島及び田代島は、人口減少及び高齢化の進行が特に著しいことから、島民の移動・生活手段となる自動車の輸送費用に対する支援を行い、島民の安定的な暮らしの確保にも努めてまいります。

4.産業の発展と雇用創出

四つ目は、「産業の発展と雇用創出」についてであります。

人口減少要因の一つである若者の流出抑制、定住促進のためには、雇用の場を確保する必要があります。

また、水産業や農業など、本市の基幹的な産業である第1次産業におきましては、担い手の高齢化や後継者不足が進んでおり、新たな担い手の確保に取り組む必要があることから、次の各施策を進めてまいります。

まず、「地場産業の支援・高度化」に向けた取組といたしましては、本市の優れた農林水産物のブランド力の向上及び1次・2次・3次産業事業者の連携による産業振興を促進するため、「石巻市6次産業化・地産地消推進センター」において、地元産品を活用した新商品開発、6次産業化の担い手となる人材育成に取り組んでまいります。

また、地域資源の高付加価値化と地場産業の更なる振興に努めるとともに、今後利用が見込まれる地域資源や新素材・新技術の利活用を促進するため、関連事業者との連携を図りながら普及啓発のためのセミナー等を開催するなど、地場産業の高度化にもつなげてまいります。

次に、水産業分野におきましては、持続可能な水産業を実現するため、藻場の造成や海洋ごみの処理などの海洋環境の保全、安全性の向上や作業労力の軽減による就労環境の改善など、漁業者のニーズを踏まえた漁港施設の改良に取り組むとともに、石巻産水産物の輸出など、販路獲得・拡大に向けた取組を支援してまいります。

また、魚町水産加工共同排水処理施設の機能保全を実施するための調査・計画策定を行い、水産物供給基盤の機能維持に努めてまいります。

次に、農業分野におきましては、持続的な農業を実現するため、自然環境の保全に資する農業の生産方式を導入し、農業生産活動を実施する農業者団体等を支援することで、地球温暖化防止や生物多様性保全等に貢献する営農活動を促進するとともに、資源循環型農業の構築に向け、老朽化した有機センターの設備・機器等を順次更新し、地域資源の利用拡大を促進してまいります。

特に、オーガニック農法におきましては、栽培コストの増加や収量の減少などの課題を有していますが、作物の高付加価値化、国内外における市場の拡大が見込まれるなど、本市の農業が持続的に発展していくための有効な手段の一つであることから、市内でオーガニック農法に取り組む生産者を中心に、その取組を広げていけるよう、課題も含め、調査・検討を進めてまいります。

次に、「第1次産業における担い手の育成」の取組といたしましては、本市への移住希望者や若者へ第1次産業の魅力を発信し、新たな担い手の確保・育成を図るため、「担い手センター運営事業」による、就業相談や就業機会の提供、独立支援などを実施するとともに、就業後においてもフォローアップ活動等を実施し、第1次産業の従事者として定着が図られるよう引き続き支援してまいります。

次に、「企業立地と新規創業の促進」に向けた取組といたしましては、産業ゾーンをはじめとした既存産業用地の企業立地を進めるため、私が先頭に立って、本市の立地環境や各種優遇制度、本市独自の助成制度等をPRしながら、県内外の企業へ積極的なトップセールスを行ってまいります。

また、引き続き創業希望者向けセミナーの開催や創業支援補助金制度を実施するとともに、創業後の支援として、取扱商品等のテスト販売の場の提供や専門家のアドバイスを受けることのできる「トライアルマーケット事業」を拡充するなど、創業準備期から創業後まで切れ目のない支援を行い、創業の促進による地域経済の更なる活性化と雇用の創出につなげてまいります。

次に、「全世代の就労対策と支援」の取組といたしましては、国・県と連携した合同企業説明会を開催するほか、若者の地元定着の促進に向け、高校生を対象として、職業選択の材料となる機会を提供するため、地元企業見学会等を開催し、実際の職場環境や業務内容を理解していただくことで、地元就職につなげてまいります。

また、「仕事掘り起こし会議」の中で、健康で働く意欲と能力のある高齢者が、年齢にかかわりなく就労できる環境の醸成に向け、関係機関等との連携を図ってまいります。

5.物流拠点の形成と新たな観光の構築

五つ目は、「物流拠点の形成と新たな観光の構築」についてであります。

道路網や港湾の整備は、商圏の拡大や交流人口の増加、物流コストの低減などのメリットをもたらすほか、大規模な自然災害発生時においては、救助・復旧活動や支援物資の輸送を円滑に行うための重要な役割を果たしますことから、引き続き整備促進に向けた要望活動に取り組んでいく必要があります。

また、本市の豊かな自然、文化、祭り・イベントなどの様々な観光資源を組み合わせ、新たな観光ルートを構築するとともに、積極的に広く情報を発信していく必要があることから、次の各施策を進めてまいります。

まず、「物流機能の強化」に向けた取組といたしましては、海上輸送の拠点となる国際拠点港湾「仙台塩釜港 石巻港区」の機能強化に向け、耐震強化岸壁等の早期整備について、官民を挙げた要望活動を展開するとともに、石巻港区の利用促進を図るため、港湾管理者等と連携したPR活動を展開してまいります。

また、脱炭素社会の実現を図るため、県が進めている「仙台塩釜港カーボンニュートラルポート形成計画」の策定に当たり組織された協議会に参加し、石巻港区における、カーボンニュートラルポートの形成に向けた調査・研究を進めてまいります。

さらに、広域的な幹線道路ネットワークを形成し、暮らしを守り、豊かで活力ある地域づくりに必要不可欠である、「石巻新庄道路」の早期実現及び「国道108号石巻河南道路」の整備推進について、関係自治体とともに、国・県へ一層の働きかけを進めてまいります。

次に、「新たな観光資源の構築と情報発信の強化」に向けた取組といたしましては、本年4月に供用を開始する「かわまち交流広場」のほか、マンガを活かした街づくり活動の新たな拠点として、かわまちエリア内に交流・創作活動拠点「(仮称)マンガベース」が整備されますことから、交流・創作活動拠点における活動を通じて、マンガ家やクリエイターを目指す方々が市内の事業所で働きながらマンガ等の技術を学ぶことのできる環境を整備するための支援を講じ、マンガを活かした関係人口の拡大と移住につながるような取組を進めてまいります。

また、「いしのまき水辺の緑のプロムナード」の活用におきましては、官民連携によるイベントの開催のほか、中瀬公園の整備を推進し、街づくり会社をはじめとする民間団体等と連携、融合しながら、中心市街地の賑わいの創出に努めてまいります。

日本遺産「みちのく GOLD浪漫」の普及啓発及び活用推進を図るため、構成文化財である「金華山詣」及び「金華山道」の認知度向上や機運醸成に向けた市民講座やシンポジウム等の開催、構成文化財の案内板の設置などに取り組んでまいります。あわせて、「SAVOR JAPAN」に認定された伝統食やトレイル等の体験メニューなど、他の観光資源と連携させた活用を図ることで、インバウンドも含めた観光客の誘客に努めてまいります。

また、「仙台塩釜港 石巻港区」への大型客船の誘致活動を引き続き推進するとともに、石巻港区へ寄港する客船としては史上最大となる「MSCベリッシマ」をはじめ、多くの客船の寄港が予定されていることから、歓迎イベントの開催など、国内外からお越しの観光客の皆様に本市の魅力を発信してまいります。

さらに、新学習指導要領における防災教育の充実を踏まえ、最大の被災都市としての責務である震災の記憶と教訓を後世に伝え継ぐため、県内外の児童・生徒が、目で見て、肌で感じ、防災を学ぶことのできる機会を提供する教育旅行をはじめ、より多くの方々に来訪していただけるよう広くPRし、交流人口の拡大にもつなげてまいります。

観光情報の発信におきましては、これまで観光パンフレットやチラシの配布のほか、各種ソーシャルメディアを活用してまいりましたが、既存の発信方法にとらわれず、市内外のイベントスペースや情報ブースなど、活用できる媒体を幅広く利用するほか、「いしのまき観光大使」の方々の御協力も仰ぎながら、本市を多様な方法でPRしてまいりますとともに、新たに本市のLINE公式アカウントを活用した観光情報の発信にも取り組んでまいります。

6.広域連携体制の強化

六つ目は、「広域連携体制の強化」についてであります。

交通や情報通信手段の発達によって、通勤・通学、買い物、医療、娯楽など、住民の生活圏は行政区域を越えて拡大しており、更には、少子高齢化、高度情報化等の進行によって、新たな地域課題への対応も必要となっています。

市民の価値観や生活様式の多様化が進み、きめ細かな市民サービスの提供や個性的で魅力ある地域づくりなど、そのニーズも高度化・多様化してきている状況の中で、行政サービスを安定的、持続的、効率的かつ効果的に提供するためには、あらゆる行政サービスを広域で連携して提供するとともに、各市町が有する資源を有効に活用していく必要があることから、次の各施策を進めてまいります。

「定住自立圏構想の実現」に向けた取組についてでありますが、圏域間における支援制度の調整をはじめ、2市1町が共同で移住定住イベントへの出展や移住促進イベントを実施し、圏域の魅力を情報発信することで、移住定住の促進に取り組んでまいります。

また、一般社団法人石巻圏観光推進機構との連携、協力体制を一層強化し、観光客のスタイルを通過型から滞在型に変化させるべく、「みちのく潮風トレイル」や「ツール・ド・東北」など、広域観光や教育旅行の事業周知を積極的に行いながら、受け入れ環境の整備と併せ、広域観光の推進に取り組んでまいります。

さらに、「石巻圏域定住自立圏共生ビジョン」に位置付けた、その他の事業についても、情報の共有や事業調整等を進め、「住民が住むことに誇りを持ち、持続・発展する石巻圏域定住自立圏の形成」に向け、着実に推進していくとともに、「石巻圏域定住自立圏共生ビジョン懇談会」において、いただいた意見を踏まえ、必要に応じた見直しを行いながら、圏域全体の魅力の向上と地域経済の活性化による持続可能な圏域社会の構築に努めてまいります。

行財政運営

次に、「行財政運営」の取組についてであります。

時代の潮流の変化やライフスタイルの多様化、ICTの進展等により、市民ニーズの多様化・高度化が進んでおり、市民ニーズを的確に捉え、満足度の高いサービスを提供していく必要があります。

また、限られた財源のもと、健全で持続可能な財政運営に努めていく必要があることから、次の各施策を進めてまいります。

まず、「石巻市DX推進方針」に基づき、市民にとって身近なソーシャルメディアであるLINEを活用して、必要な行政情報を手軽に入手できる環境を整備し、電子申請などの基盤も構築してまいります。

また、「市民サービスの向上」に向けた取組といたしましては、市民からの意見・提案等を市政に反映させるため、引き続き、市長への手紙、市民意識調査、まちづくり懇談会、動く市長室等を実施し、市民の皆様と現状と未来を共有する中で、まちづくりを進めてまいります。

さらに、ICTの活用により庁内事務作業を改善するとともに、職員の負担を軽減し、確認漏れなどの事務ミスを防ぐ取組も進めてまいります。

次に、「持続可能な行財政運営の推進」に向けた取組といたしましては、「第2次石巻市総合計画」に掲げた将来像の実現に向け、昨年度から、「石巻市総合計画推進会議」による施策の進捗状況に係る外部評価を実施しております。評価・検証結果を各事業へ反映させるPDCAサイクルの確立を図り、効率的・効果的な行財政運営とともに、総合計画の着実な推進に努めてまいります。

また、昨年度、試行実施とした「行政評価(事務事業評価)」を本格実施し、業務手法や効率性の改善、類似業務との整理等につなげるとともに、業務のスクラップ・リセットを推進し、総合計画実施計画と連動させた総合的なマネジメントシステムとして運用してまいります。

予算編成

次に、予算編成について申し上げます。

令和5年度当初予算編成に当たりましては、「持続可能な財政基盤の確立」を図ることを基本方針とし、「復興予算から通常予算への転換」、「歳入に見合った歳出予算」、「事務事業の厳選と財政規律の強化」の3つの方針を掲げ、限られた財源の中、健全で持続可能な財政運営の実現を目指した予算編成を行うことといたしました。

この結果、令和5年度予算は、

「一般会計」で、721億円、

「水産物地方卸売市場事業特別会計」を始めとする4特別会計で、337億円、

「病院事業会計」で、60億円、「下水道事業会計」で、153億円、

全会計の総額で、1,271億円となっております。

本市の将来を見据え、財政規模及び人口規模に見合った予算編成を行うことで、「持続可能な行財政運営の推進」に努めてまいります。

そのため、職員一丸となって「職員定員適正化計画」や「行財政改革推進プラン2025」に基づく業務の最適化、経費削減等の取組を着実に推進するとともに、市税等の収入率の向上、遊休資産の売却はもとより、本市で保有している基金の国債等の債券による運用を取り入れるなど、きめ細かに歳入の確保に努めてまいります。

特に、ふるさと納税「がんばる石巻応援寄附金」の更なる増加に向けましては、担当部署の体制及び関係団体との連携強化、体験型返礼品など目玉となる返礼品の開発や新たなポータルサイトの追加、更にはインターネット広告等による効果的な情報発信に努めてまいります。

組織機構につきましては、様々な行政課題に対応し、柔軟な改編に取り組んでまいりましたが、復旧・復興事業の収束と急速に進む人口減少等の行政課題に対応し、本市が将来にわたり持続可能なまちづくりを推進していく組織体制への転換が求められます。

今回の見直しにつきましては、現組織を基本としつつ、ふるさと納税のさらなる増加に向けた推進体制を強化するため「ふるさと納税推進課」を、また、次代を担う子どもたちを育成する教育環境の充実を図るため「学校再編推進室」を、それぞれ設置するとともに、市立病院において病院総務課と病院経営課を統合し「経営課」に改めることにより、効果的・効率的な組織体制の構築を図ってまいります。

以上が令和5年度に臨む私の基本姿勢と令和5年度予算案であります。

むすび

東日本大震災の発災以来12年間、内外の多大な御支援もいただきながら、総力を挙げて取り組んでまいりました復旧・復興事業としてのハード事業は、昨年度で完結することとなり、引き続きソフト事業には十分配慮しつつ、今後は、「地方創生・まちづくり」を強力に推進してまいります。

地方創生が本格的に動き出した平成25年頃とは異なり、格段に国際化・グローバル化された今日、地域が置かれている産業・経済環境は、第4次産業革命、DX(デジタル・トランスフォーメーション)、カーボンニュートラルにコロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻なども相まって、産業・経済の枠組みの転換期真っただ中にあるといわれております。

このような厳しい環境の下で、人口減少の抑制と稼ぐ力を強化・創出する「地方創生・まちづくり」は、まさにこれからが本番であり、正念場であります。

石巻市ならではの伝統・文化、そして産業・経済などを引き継ぎ・創出する先にこそ、「市民が住むことに誇りを持てるまち石巻」があります。

それはまた、内外から言葉には尽くせない大きな支援を賜った我々石巻市民の心からの謝意であり、責務ではないでしょうか。

その実現に向けて、「オール市民」でこの難局に対峙し、突破してまいりましょう。

「雲外蒼天」、努力して困難を乗り越えれば、必ずや晴天・青空を望むことができます。

私の愛するふるさと石巻の持続可能な未来を切り拓いていくために、私自身、気持ちも新たに、全身全霊で取り組んでまいります。

結びに、市民の皆様のお力添えと議員各位のより一層の御理解、御協力を賜りますよう衷心よりお願い申し上げまして、令和5年度の施政方針といたします。

 

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部署名:復興企画部 政策企画課
電話番号:0225-95-1111

企画調整担当
政策推進担当