コンテンツにジャンプ メニューにジャンプ

トップページ > パブリックコメント結果 石巻市地域防災計画(案)

パブリックコメント結果 石巻市地域防災計画(案)

更新日:2013年3月4日

 本市では、「石巻市地域防災計画(案)」について、平成20年1月25日(金曜日)から平成20年2月13日(水曜日)までの間、市ホームページ等を通じ、市民の皆様のご意見等を募集いたしました。

 この結果、8件の貴重な御意見・御提言をいただきました。

 ご意見等につきましては、「石巻市地域防災計画」策定の参考とさせていただきました。

 ご協力ありがとうございました。

 いただきましたご意見等に対する本市の考えかたにつきましては、以下のとおりです。


 【ご意見・ご提言の内容】「防災業務関係者の安全確保」をめぐって(1)

 原子力災害対策計画案の表3-4-5の「防災業務関係者の防護指針」の指標線量(上限50ミリシーベルト、災害の拡大防止や人命救助等の場合の例外規定100ミリシーベルト)は高すぎる。

 3-4-7「防災業務関係者の被曝管理」の項に、「本部長は、原子力災害時、応急対策や災害復旧に当たる職員の被曝線量(実効線量)をできるだけ(例えば)10ミリシーベルト以下とするよう配慮する」旨の追加が必要だ。

 また、このような防災業務関係者の「防護対策」や「被曝管理」に関しては、労使の協議事項とすることも必要だ。

 JCO臨界事故(1999年9月30日)が起きたとき、現場で指揮をとる結果となったのは(そのような権限はない)原子力安全委員会の住田委員だった。住田委員は、臨界をとめるための決死の水抜き作業を「JCOの事故だからJCOがやるべきだ」(読売新聞編集局著『青い閃光-ドキュメント東海臨界事故』中央公論社)と越島所長にせまった(注)。

 そして、「『計画被曝線量は100ミリシーベルトまではやむをえない』という安全委員会の佐藤委員長の了解事項を伝えた。

 しかし、現場では『100ミリシーベルトは酷だ』との意見が多く、結局、20ミリシーベルトを上限とすることが確認された」(同書)。

 だが、「上限20ミリシーベルトを守っていたら、とても作業は続けられない。線量限度は急遽50ミリシーベルトに引き上げられた。・・・Aの順番も来た。『1分以上作業するな。アラームがなったら帰って来い』と指示を受けた。事務棟を出ようとすると、越島が目を潤ませ、『お願いします』と深々と頭を下げていた」(同書)。

 結局、作業に当たったJCO職員で最も被曝した者の線量は約120ミリシーベルトに上った(ガンマ線計と中性子線計の合計)。

 2001年、国際放射線防護委員会(ICRP)の1990年勧告の基準が国内の法令に取り入れられ、「放射線業務従事者」の被曝限度が次のように引き下げられた。

 「事業者は、管理区域内において放射線業務に従事する労働者(以下、「放射線業務従事者」という)の受ける実効線量が5年間につき100ミリシーベルトを超えず、かつ、1年間につき50ミリシーベルトを超えないようにしなければならない」(「電離放射線障害防止規則」第4条)。

 市職員は「放射線業務従事者」ではない。原子力災害時とはいえ、上限を50ミリシーベルトもの高い値とするのは、酷ではないか。

(注)この事故は、核燃料サイクル開発機構(旧動力炉・核燃料開発事業団)の無理な注文が原因となり、「国」のずさんな安全審査が背景となって起きた事故だった。


意見に対する考えかた

 原子力安全委員会では防災業務関係者の防護指針として、「災害応急対策活動及び災害復旧活動を実施する場合」の外部被ばくによる実効線量の上限を50ミリシーベルト、「事故現場において緊急作業を実施する者が、災害の拡大の防止及び人命救助等緊急かつやむを得ない作業を実施する場合」の外部被ばくによる実効線量の上限を100ミリシーベルトと定めております。

 市といたしましては、原子力災害時に現地で行う業務としては、住民への広報、避難や屋内退避等の指示・確認等であり、ほとんどは住民と同一行動になるものと考えており、一般の職員が、高いレベルの被ばくを強いられることは極めて少ないものと思われますが、これらの業務にあたっては、従事する職員への防護対策を講じ、適切な被ばく管理により、安全確保に万全を期すこととしております。

 なお、万が一の事態で人命救助等の業務が必要となった場合は、原子力防災の専門的な研修を受けている消防職員等が行うこととしており、当該基準は、このような場合等も考慮して定めているものと認識しております。

〈参考〉
 総務省消防庁では原子力施設等における消防活動対策マニュアルで消防職員が従事する放射線危険区域での活動において、被ばく線量限度を定めており、石巻地区広域行政事務組合消防本部でもこれに準じて従事者の安全確保という観点から、被ばく線量限度を通常の警防活動で10ミリシーベルト、人命救助等の緊急活動で100ミリシーベルトと定めています。

 



【ご意見・ご提言の内容】「防災業務関係者の安全確保」をめぐって(2)

 「防災業務関係者の被曝管理」の項に、「妊娠中の女性は、被曝の可能性のある原子力災害対策業務につかせないこととする」を追加すること。

 2001年、国際放射線防護委員会(ICRP)の1990年勧告の基準が国内の法令に取り入れられた際、女性の「放射線業務従事者」については、事業者に次も課された。

 「女性の放射線業務従事者の受ける実効線量については、3ヵ月間につき5ミリシーベルトを超えないようにしなければならない」(「電離放射線障害防止規則」第5条2)

 「妊娠と診断された女性の放射線業務従事者の受ける線量が、妊娠と診断されたときから出産までの間につき、『内部被曝による実効線量については1ミリシーベルト』、『腹部表面に受ける等価線量については2ミリシーベルト』を超えないようにしなければならない」(同規則第6条)。

 「一般人」である(「放射線業務従事者」ではない)女性市職員の原子力災害対策業務に関しては、上記意見をはじめとした、より厳格な安全確保策が講じられて当然ではないか。


意見に対する考えかた


 妊娠中の女性が被ばくする可能性のある環境下での作業に従事させないようにいたします。




【ご意見・ご提言の内容】屋内退避及び避難等に関する指標」をめぐって(1)

 現行の「屋内退避」と「コンクリート屋内退避又は避難」の2段階の住民防護対策(表3-7-1)を、「屋内退避」と「避難」の2段階に改めるべきだ。

 「コンクリート屋内退避又は避難」などといった曖昧な基準は、大量の放射能放出事故が発生した場合、子どもや妊娠中の女性をはじめとした住民にとって危険。住民の安全を図るために第2段階の防護対策を「避難」一本とし、万が一の事態が発生したら、一刻も早く、放射性物質が達する恐れのない(あるいはその影響の少ない)遠方に脱出(避難)させるべきだ。

 「コンクリート屋内退避」は「屋内退避」に含めるべきだ。


意見に対する考えかた

 原子力災害時には県等とも連携を図ることから、対応にあたる者の解釈に混乱を生じさせないためにも現行のままで変更をしない考えです。

 しかし、原子力災害が発生した場合、市民の安全を図ることを何よりも優先させ、これらの措置を速やかに実施することはいうまでもありません。

 本市としましては、特に、牡鹿地区等の交通手段が遮断され医療の提供や物資供給が困難となる地域については、コンクリート屋内退避は避難の暇がない場合の一時的な手段と考えており、このような恐れのある地域は避難を優先させることとします。




【ご意見・ご提言の内容】「屋内退避及び避難等に関する指標」をめぐって(2)

 (住民防護対策を「屋内退避」と「避難」の2段階に改めたうえで)それぞれの指標となる線量についても、表3-7-1の高い現行線量をより低いものに改めるべきだ。

 たとえば、「屋内退避」の指示(勧告)の指標となる外部被曝線量(放射性物質の放出期間中、屋外に居つづけ、なんらの措置も講じなければ受けると予測される線量)を「5ミリシーベルトから10ミリシーベルト」とし(現行は10ミリシーベルトから50ミリシーベルト)、「避難」の指示(勧告)の指標となる外部被曝線量を「10ミリシーベルト以上」とする(現行は50ミリシーベルト以上)など。
 福井県は、現に、「5ミリシーベルトから10ミリシーベルト」を「屋内退避」の指標線量としている。

 防護対策:第1段階 屋内退避
 指標線量:5ミリシーベルトから10ミリシーベルト
 現行防護対策:屋内退避
 現行指標線量:10ミリシーベルトから50ミリシーベルト

 防護対策:第2段階 避難
 指標線量:10ミリシーベルト以上
 現行防護対策:コンクリート屋内退避又は避難
 現行指標線量:50ミリシーベルト以上

 放射線被曝の影響は、急性放射線症などの急性障害(確定的影響注1)にとどまらない。ガン死などの晩発性障害(確率的影響注2)も起きる。1万人の人がそれぞれ20ミリシーベルトの放射線を外部から全身に受けたとすると、たとえばそのうちの80人から10人が将来ガン死することになる。

 原発で放射能(放射性物質)放出事故が発生したとき肝心なことは、子どもや妊娠中の女性をはじめとした住民ができるだけ放射線を被曝することがないようにして、ガン死などの晩発性障害もできるだけ起きないようにすることだ。

 現行のような高い指標線量では、防護対策の発動が遅れてしまい、こどもや妊娠中の女性をはじめとした住民をみすみす被曝させる結果となってしまう可能性が高い(JCO臨界事故のときがまさにそうだった)。

 ちなみに、人工放射線による一般人の被曝限度は1年あたり1ミリシーベルトである。

(注1)確定的影響 しきい値を超える線量を浴びると必ず決まった障害が起きる。

(注2)確率的影響 しきい値はなく、どんなに低い線量でもそれなりの確率で障害が起き、重症度は被曝線量に依存しない。



【意見に対する考えかた】

 市としましては、市民の安全を図ることを優先し、避難等の実施の判断基準とする予測線量は、「屋内退避及び避難等に関する指標」によりますが、条件によっては、十分に低い予測線量で意志決定することもあり、市民の安全確保に努めることを第一としています。




【ご意見・ご提言の内容】原子力防災訓練に関して

 「訓練計画の策定」の「国が行う総合的な防災訓練の計画作成への参画」(2-11-1-(1))に、次のようにある。

 「市は、経済産業省が原災法第13条に基づき行う総合的な防災訓練に市が含まれる場合には、住民等に対する情報提供及び住民避難等、市が行うべき防災対策に関する具体的な訓練シナリオを作成するなど、訓練の実施計画の企画立案に共同して参画するものとする」

 これは、女川町の原子力災害対策計画の文言と(「市」が「町」となっている点を除けば)同じである。

 近く宮城県でも行なわれるという、この国主催の「原子力防災訓練」に関して、市の担当者には、以下の二つの事実を銘記していただきたい。そのうえで、「訓練の実施計画の企画立案に共同で参画」していただきたい。
 

  1. 原子力災害対策特別措置法の制定を受けて、「国」(科学技術庁、通商産業省、運輸省)が「施行令試案」と「施行規則試案」に対する意見募集を行なった。

     このとき、「国の計画に基づく訓練が、自治体の訓練を小規模な枠内に押し込めるなどの結果を招くものであってはならない。各自治体は独自に創意工夫を重ね、年々訓練の充実を図っていくべき」との意見に、「国」は次のように回答している(2000年3月29日付け)。
     「国が定める計画は、国、自治体、原子力事業者が共同して行うものについてであり、自治体が行う防災訓練を何ら制約するものではありません」

  2. 以下は、JCO臨界事故総合評価会議の『JCO臨界事故と日本の原子力行政』(七つ森書房)からの引用。

 「防災指針の避難基準がいかに高いかを示す象徴的な話がある。臨界事故前の1999年9月3日に宮城県が実施した防災訓練では、住民参加の避難訓練が行われている。
 この時宮城県が、女川原発から5キロメートル離れた石巻市の避難が必要になるように事故想定を行った結果、希ガスでチェルノブイリ事故の10数倍の放射能放出量が想定されている。このことは、それぐらいの大規模な事故にならないと防災指針の避難基準が役に立たないことを示している」(158ページ)

 このとき宮城県が想定した放射性の希ガスの放出量は3000京ベクレル(3×10の19乗ベクレル)、放射性ヨウ素の放出量は750兆ベクレルだった。前者は、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の際の放射性希ガス放出量(185京ベクレル=1.85×10の18乗ベクレル、同年8月のソ連政府の発表値)を上回るものだった。


意見に対する考えかた

 原子力防災訓練は、これまでも住民の安全安心のため、訓練の実施計画立案について県、女川町とも連携を図りながら、市の独自性も含めた中でこれまで実施してきたところですが、国が行う総合的な防災訓練の計画作成の参画についても、市としての考えかたを明確にしながらより効果的な訓練の充実を目指していきます。




【ご意見・ご提言の内容】「原子力防災に関する住民等に対する知識の普及と啓発」(2-9)

 「市は、国、県及び原子力事業者と協力して、住民等に対し原子力防災に関する知識の普及と啓発のため…広報活動を実施するものとする」(2-9)とあるが、原災法ができて改定されるまで、市の地域防災計画・原子力防災対策編には「原子力事業者」は入っていなかった。元にもどすべき。

 また、「教育機関においては、防災に関する教育の充実に努めるものとする」とあるが、「…教育を実施するものとする」と改め、実際に実施すべきだ。



意見に対する考えかた

 「市は、国、県等と協力して、…中略…実施するものとする。」とします。

 また、「教育機関においては、防災に関する教育を実施するものとする。」につきましては、原案のままといたします。

 なお、防災に関する教育の充実につきまして、今後も様々な機会を通して、防災知識の普及と啓発に努めていきます。



【ご意見・ご提言の内容】「複合災害にも対処しうる柔軟な体制の整備」をめぐって(1)

 1-2-1(1)に、「市等関係機関は想定されるすべての事態に対応できるよう対策を講ずることとし、たとえ複合災害などの不測の事態が発生した場合であっても対処し得るような柔軟な体制を整備するものとする」とある。

 「柔軟な体制を整備する」ことは、とりわけ女川原発に近い住民の安全を図るうえで、たいへん重要だ。

 そのために肝心なのは、これまで「退避・避難措置計画」(旧名称「退避等措置計画」)を立てていなかった牡鹿地区(旧牡鹿町)と雄勝地区(旧雄勝町)についてもそれを立てることだが(新石巻市の既定方針)、次のようなことも必要だ。

 旧牡鹿町と旧雄勝町の原子力防災計画にあった緊急事態の状況把握のための体制や通報・連絡体制等を新石巻市の原子力防災計画に生かすこと(一つだけ具体的にあげると、「図3-5-1住民に対する広報及び指示伝達系統図」に加え、牡鹿地区・雄勝地区も含んだ通報・連絡系統図を作成すること)。



【意見に対する考えかた】

 防災計画の中に「退避・避難」を実施するための市の体制や地域住民への連絡体制等の基本的な部分を記述する考えです。

 また、これらの詳細な点は、別に定める「退避・避難措置計画」に盛り込む考えです。




【ご意見・ご提言の内容】「複合災害にも対処しうる柔軟な体制の整備」をめぐって(2)

 大地震が起きて震災(と津波災害)が発生し、各地で地割れやがけ崩れ、トンネル崩落、橋の落下等が起きるなか、地震が原因となり原発で放射能放出事故まで起きて放射能災害が重なる複合災害が「原発震災」。原子力施設が林立する地震列島でいま最も心配されているのが、この自然災害と最悪の人工災害が複合する破局的災害だ。

 「想定されるすべての事態に対応できるよう対策を講ずることとする」、「たとえ複合災害などの不測の事態が発生した場合であっても対処し得るような柔軟な体制を整備するものとする」と計画案にあるが、「柔軟な体制」がどのようなものであれ、この「原発震災」に対処することは不可能だろう。

  1. 老朽原発や想定をはるかに上回る地震動に襲われた柏崎刈羽原発の廃炉化を求める。
  2. 経産省の外局の資源エネルギー庁は原発推進行政庁。この資源エネルギー庁に属する原発規制行政庁注の原子力安全・保安院を経産省から切り離すことを求める。
  3. 「原子力の研究、開発及び利用の推進」に「安全の確保」を従属させる現行の原子力基本法を改正し、「原子力の研究、開発及び利用の推進」と「安全の確保」を法の目的とすることを求める。

 このようなことこそ、住民の安全を図るために、いま原子力施設の地元市町村がなすべきことだろう。

(注)日本政府が1996年に批准した原子力安全条約の8条2項には、「規制機関の推進機関との効果的な分離」が明記されている。



意見に対する考えかた

 ご意見の趣旨を尊重し、2については、今後とも引き続き行政運営における事務執行の中で様々な機会を捉えながら国等への要望をしていきながら、市民の安全安心に努めていくことといたします。

 また、1、3については、今後の状況を見据えながら検討していきます。

このページへの問い合わせ

部署名:総務部 危機対策課
電話番号:0225-95-1111

災害対策担当
原子力担当
消防担当